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原作「満月編」を再構成!「トワイライト・ミュージカル ZONE-00 満月」公開ゲネプロ&カコミ取材レポート

2019年7月14日(日)、東京・渋谷の「CBGKシブゲキ!!」にて「トワイライト・ミュージカル ZONE-00 満月」が全13公演で開幕しました。初日公演の直前に行われた公開ゲネプロと、メインキャストへの囲み取材のレポートをお届けします。

「コミックNewtype」で連載されている九条キヨさんによる「ZONE-00」を原作とする本公演は、原作コミックと同じように、クラス総出のかくれんぼで誰も見つけられずにいた九浄三郎を転校生の志萬安吾が見つけるくだりからのスタート。九浄と志萬の出会い、そして、人を自我のないモノノケに変え、モノノケが服用すれば傷が立ちどころにいえる薬物「ZONE-00」の存在の発覚から、物語は大きく動き出します。

志萬と九浄の出会いをはじめ、物語全体を通してのモチーフとして「かくれんぼ」が用いられているのも印象的です。千両を探し続ける月彦、かくれんぼはもう終わりといわんばかりに、人気のないところで弁天に襲い掛かる烏天狗たち、そして、九浄の体に隠れている(封印されている)悪鬼・浄阿弥……と、要所で物語が大きく動く際の理解を助ける演出として機能しており、原作を知らない方もすんなり楽しめる構成になっていると感じました。

物語は原作コミック第12巻の「満月編」ラストまでを大胆に再構成。スポットを当てるキャラクターを志萬安吾、九浄三郎、弁天、千両、黒薔薇憐児、月彦の6人に絞っているのでいわゆる"駆け足感"はなく、1人1人の心情を丁寧に追った構成となっています。九浄の「だって、志萬に懐いたもん、俺!」という原作通りのセリフがあれば、居酒屋「弁天」の仕事を手伝うことになった志萬と九浄、憐児が客席まで降りて注文を取りにいくというホール全体を使っての演出もあり、終始観客を退屈させません。

ミュージカルであるだけに、もちろん歌も必聴です。キャラクターたちの思いが歌で歌い上げられ、それぞれの魅力を際立たせています。一見コミックリリーフと思わせながら、それぞれに複雑な思いや過去を持っている憐児や千両が、その心情を歌という形で表す姿を見ると、特にこの2人はミュージカルと相性がよいように感じられました。

さらに特筆しておきたいのは、弁天役・荒一陽さんと千両役・田中晃平さんの肉体美! 千両は上半身にほとんど何も身に着けていないがゆえに、演じる田中さんは、腹筋が6つに割れるくらいの仕上がりっぷり。弁天を演じる荒さんは、筋肉質ながらも細身のシルエットを保っており、"黙っていると絶世の美女にしか見えないが、実は男性"という弁天を完全に再現! 稽古とともに入念なトレーニングも行ってきたことが見て取れて、そんなところからも、キャストたちがかける意気込みが感じ取れました。

約90分の公演は終始圧倒されっぱなし。原作を再び読み返し、そしてまたこの公演を見直したくなる魅力に満ちた公演でした。「トワイライト・ミュージカル ZONE-00 満月」は、7月14日(日)から21日(日)まで、東京・CBGKシブゲキ!!にて全13公演を上演中です。最後に、公開ゲネプロを終えて初日公演を数時間後にひかえたメインキャストへの囲みインタビューと、脚本の喜多村太綱さん、演出の村田こけしさんからのコメントをお届けします。

■月彦役・堀田優希さん

原作は何周も読ませていただいていますが、月彦はその考えを理解するのは難しいキャラクターです。千両のことだけを思っているけど、ひと言では言い表せない複雑さがあります。それを舞台でどう表現すればいいか、悩んで悩みぬきました。殺陣にも感情を込めていますので、歌やダンスもひっくるめて月彦を感じてください。

■千両役・田中晃平さん

千両はオラオラしてたり、憐児とケンカしてたりするかと思えば、月彦との絡みではシリアスなところも見せるという、芝居のふり幅の大きさが特徴です。実は、一番物事をよく考えているのかもしれません。あと、見どころはこの露出度の高さでしょうか(笑)。もし、次回公演の機会もいただけたら、その時にはさらに鍛えらえた千両をお見せしたいと思っています!

■弁天役・荒一陽さん

黙っていると女性と見紛う美しいキャラクターということで、メイクさんが付け睫毛やネイルをとことんこだわってくださいました。そういう風に女性っぽさも持つ弁天ですが、戦闘能力は本作中でトップクラスです。生まれて初めてピンヒールをはきながらのアクションもまじえながら、そんな"女王様"的な魅力をどう見せるかを苦心しました。

■黒薔薇憐児役・森下竣平さん

黒薔薇はセクシーボイスの持ち主ということで、役作りは、それをどう聞かせればいいかと試行錯誤するところからのスタートでした。あと苦心したのは、やはりこの和装に雪駄に眼帯という服装でしょうか。これは稽古時から慣れておかなければ本番が怖いぞと思い、稽古のときから身に着けていました。原作ではタバコを吸うキャラクターですので、電子タバコで表現しています。

■九浄三郎役・澤田征士郎さん

三郎はとても素直な少年ですが、ただ素直なだけではなく、心の中ではいろいろ考えています。ここでどうしてこういう発言をしたのかと突き詰めていくと、決して単純なキャラクターではありませんね。驚いたり感心したりしながらも、実は笑顔を全然見せないところも、難しいながらも三郎の魅力の一つだと思います。口グセの"神秘"も、それぞれにさまざまな気持ちがこもっていて、適当に言ってるわけじゃないですよ!(笑)

■志萬安吾役・與座亘さん

志萬に関する見どころは、やはり関西弁と殺陣でしょうか。僕も殺陣はこれが初経験で、そういう意味では志萬といっしょに成長していけたと思っていますので、じっくり見ていただけたらと思います。銭湯のシーンで志萬が見せるこだわりにも注目してください! 九条先生が長年にわたり紡いできた物語、抱いてきた思いを背負って、僕らにできる形で原作ファンのみなさんにお届けできればと思っていますので、よろしくお願いします!

■脚本:喜多村太綱さん

アツい夏がついに、始まります。多くのファンの皆様に長年愛されてきた作品に関わることは、挑戦と緊張が交互に押し寄せてくる。ある種の戦いの連続でした。最高のエンターテイメントをお届けできるよう、カンパニーが一丸となり作り上げてきました。シリーズが続いて、まだ見ぬキャラクターとストーリーもいつか見れるようにこの夏、盛り上げていきます!

■演出:村田こけしさん

ついにこの時が来た! 夏を熱い気持ちで迎えるべく、キャスト、アンサンブル、スタッフが一丸となって、ここまでやって参りました。立体になったこの作品を皆様に目撃していただく瞬間が目前に迫っています。テンションは最高潮です。多くの皆様に愛されている原作からピョンと飛び出した彼らを、熱量は高めのまま、いち早く皆様の目の前にお届けしたい。私自身が、本当に楽しみです。

【あらすじ】

時は500年前、人は戦乱の時代。場所は東、季節は夏。二人の男が死んだ。まるで満開の花が散るが如く、ヒトもモノノケも戦の中で等しく命を落としていった。赤い屍の山が新たな時代を創世するかのように。

そして時は平成。ひとりは鬼になった人間の男。もうひとりは――鬼。

二人を結ぶ黒縄の糸が、止まっていた運命の歯車を静かに動かし始める。魔都・東京に思いを抱えた者達が集結する時、「ZONE-00」を巡ってモノノケたちとの戦争の火ぶたが切って落とされた。

月満ちる夜、それはモノノケ達の狂演の始まりを知らせる狼煙。果たしてこれは終わりの始まりか、始まりの終わりか――。今再び、戦いがはじまる。その頂点に立つのはヒトかモノノケか……。

■トワイライト・ミュージカル ZONE-00 満月
2019年7月14日(日)から21日(日)まで、全13公演
劇場:CBGKシブゲキ!!
チケット:カンフェティにて公表発売中
     居酒屋弁天V.I.P.席(特典:居酒屋弁天お手元セット付き)…9000円/運命の女席…7500円

スタッフ:原作…九条キヨ「ZONE-00」(「コミックNewtype」連載)/脚本…喜多村太網/演出…村田こけし(メロトゲニ)/音楽:TALK ABOUT
出演:志萬安吾…興座亘/九浄三郎…澤田征士郎/弁天…荒一陽/千両…田中晃平/黒薔薇憐児…森下竣平/月彦…堀田優希 他

リンク:「トワイライト・ミュージカル ZONE-00 満月」公式サイト
    公式Twitter・@musical_zone00
    コミックNewtype「ZONE-00」ページ
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