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7月より放送が始まったTVアニメ「彼方のアストラ」。作品をもっともっと盛り上げるための、スタッフ&キャスト陣によるリレー連載が始まりました。
第2回のゲストは、8月7日にOPテーマ「star*frost」をリリースするnonocさん。楽曲に込めた想いについて伺ったほか、デビュー1周年を迎えるアーティスト活動についても振り返ってもらいました。
――原作を読まれたときの感想はいかがでしたか。
nonoc もともと篠原(健太)先生の「SKET DANCE」が大好きでアニメもよく見ていたので、今回、タイアップのお話をいただいたときはこの作品も絶対に面白いんだろうなと思いました。篠原先生が「学園SFミステリーラブコメディ漫画」とコメントされているように、この作品にはいろんな要素が詰まっています。でも、それが強いメッセージ性で貫かれているので、とても読みやすく、あっという間に読み切ってしまいました。ちりばめられた謎が綺麗に回収されていくところも気持ちよかったです。
――特に惹かれたのはどんなところですか。
nonoc 一緒に旅をしているような気分になれるところですね。B5班のメンバーはみんなすさまじい個性があるんですが、衝突しながらも「そのままでいいんだ」という描かれ方をされていて。絆を深めながら冒険するメンバーの中に自分もいるような、自分がいてもいいと認めてくれるような描き方が素敵だなと思いました。
――今回はアニメタイアップとしては3作目になりますが、ご自身としてはどのように取り組まれましたか。
nonoc 実は、原作が完結している作品のタイアップは今回が初めてなんです。これは自分にとって新しいことだったので、物語の最後まで見据えてその先の未来に繋げるような曲にしたいという思いがありました。
――最初に曲を聴いたときの印象はいかがでしたか。
nonoc 作品世界にリンクしていると感じる部分がたくさんあって、歌うときはこのフレーズはこの子の気持ちに寄り添ってみようとか、みんなの未来を思って歌ってみようとか、B5班のメンバーが見つめていたり、考えたりしていることに思いを馳せて真っ直ぐに歌いたいと思いました。
アニメ第2話の段階だと、それぞれがどんなことを考えているのかまだ明らかになってはいませんが、第1話から最終話までのカナタたちに寄り添っているので、第1話で聴いたときと最終話のあとに聴いたときでは歌詞の印象が変わるのではないかなと思います。
――TVサイズとフルサイズではまた印象が違うかもしれないですね。
nonoc そうですね。歌詞の中にいろんな視点が入っています。前向きな姿勢、新たな始まり、勇気……メンバーそれぞれの感情が曲の後半にいくにつれてどんどん高まっていくような内容なので、フルバージョンで聴いていただくと感情の変化がより劇的に感じられるかもしれないです。
――決して誰か一人に寄り添った曲ではないわけですね。
nonoc 最初は主人公のカナタかヒロインのアリエスの気持ちを主軸にして歌おうかなと考えていたんですが、原作を最後まで読んで歌詞を熟読すると、この歌詞にはメンバー全員の思いが込められているなと感じて。それで、メンバー全員のことを考えるようにしました。
――レコーディングはどんなイメージで臨もうと思いましたか。
nonoc 簡単に聞こえる歌い方かもしれないけれど、実は簡単に表現できる歌い方ではなくて、ちゃんと曲のメッセージを乗せた表現を目指しました。
――実際のレコーディングはいかがでしたか?
nonoc やりたかった表現はきちんとできたかなと思います。テクニック的な部分で細かく言い表すのは難しいんですが……。たとえば、1番のサビでは少し不安げな表現だったフレーズが、最後のサビでは同じフレーズでもしっかりした信念に繋がっている、というところですね。その微妙な表現の変化というものが少しでも伝わっていたら嬉しいですね。
レコーディングはセルフディレクションという、自分で自分の歌を確認するというやり方にチャレンジさせていただきました。スタッフの皆さんはいてくださるんですが、ただテイクを重ねてディレクションを待つというやり方ではなく、ちゃんと自分で聴いて直すことにもこだわりたかったんです。
――自分が納得するまでやる、と。
nonoc そうですね。でも、歌詞をいただいた時点でイメージは固まっていたので、割とすんなり形にはできたかなと思います。
――これまでも、タイアップは最初にイメージをがっちり固めてからレコーディングに臨まれてきたんですか。
nonoc はい、原作を読み込んで主人公やヒロインの気持ちに自分の思いを重ねて歌っています。アニメも漫画も好きなので楽しいですね。ただ、先ほどもお話ししたとおり、今回は誰か一人の気持ちに寄せるのではなく、メンバー全員に思いを寄せて、自分も同じ境遇だったらどんなことを考えるだろうとか、冒険のあとに自分を振り返ったときに何を考えるだろうとか、そういう視点で取り組みました。
――ところで、「彼方のアストラ」で一番好きなキャラクターを挙げるとしたら誰ですか。
nonoc それぞれいいところがあって、みんな大好きなのですごく悩むんですが……強いて挙げるなら、ザックですね! 真面目でひたむきな勉強家だけど、ちょっととぼけているところがあって、意外と掴みどころがないのが魅力的だなと。あとはやっぱりイケメンですし(笑)。作中ではあまりイケメン扱いされていませんけど、顔がよくて、頭もいいので(笑)、実際にいたら惹かれちゃいそうですね。あとはネタバレになってしまうので詳しくは話せませんが、物語後半の立ち振る舞いも好きです。
――そして、nonocさんはメジャーデビューをされて、間もなく1周年を迎えます。この1年はどんな1年でしたか?
nonoc とても充実していました。デビューする前は歌が好きだから、楽しいから歌うという姿勢だったんですが、アーティストデビューしたことで、音楽に対する向き合い方や考え方が大きく変わりました。作品って自分一人ではできなくて、いろんな人が関わることで初めて一つの作品になるんです。そう考えたときに、もっと真摯に作品や自分の声、心にも向き合わないといけないなと気付きました。
これから具体的にどんなアーティストになりたいか、まだ明確なものはありません。でも、自分がやりたいことに対して何をしたら結果に繋がるのか、どうしたら自分は納得できるのかは、ちゃんと考えられるようになりました。大事なのは「準備」なんだと思います。レコーディングでも、撮影でも、取材でも、どこまで準備すれば自分は納得できるのかを今は常に考えるようにしています。
――リリースイベントなどではファンとの交流もありました。反応などはいかがでしたか。
nonoc 最初はすごく緊張していました。でも、ファンの皆さんに来ていただけて心強かったですし、楽しかったです。ライブってちゃんと練習して作り上げたものを責任を持って披露する場ですが、ただただ楽しいという感覚になれる場でもあるんだなって気付かせてもらいました。歌うことがもっと好きになる瞬間ですね。といっても、まだそこまでライブの経験がないので、未知な部分もたくさんあると思います。それも含めて今後どんなライブができるのか楽しみです!
――「star*frost」のリリースイベントも開催されるそうですね。
nonoc はい、今回は東京、札幌に加えて、初めて大阪にも行きます! 各地でどんな反応をいただけるのか今から楽しみですし、大阪は1度しか行ったことがない場所なので、観光やグルメも満喫できたらいいなって思います(笑)。
【プロフィール】
nonoc(ノノック)。北海道出身・在住のシンガー。高校在学中に楽曲投稿アプリで歌声を披露し始めたところ、札幌を拠点とするプロデューサー安田史生氏と出会い、本格的に音楽活動をスタート。2018年、高校卒業を機にその歌声がKADOKAWA制作陣の耳に届き、OVA「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」のイメージソングとエンディングテーマのボーカルとして2曲同時に抜擢された。2019年1月放送TVアニメ「魔法少女特殊戦あすか」OPテーマ「KODO」で1stCDを発売。
【取材・文:岩倉大輔】