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あるキャラの過去が明らかに!? 原作者・真島ヒロさんが語る「劇場版 FAIRY TAIL」の見どころとは!?

5月6日(土)から全国公開される「劇場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-」。原作の漫画は2006年から「週刊少年マガジン」で連載が始まり10周年。この記念すべき年に作られる劇場版は、原作者の真島ヒロさん自身が描き下ろした約200ページに及ぶ渾身のネームを基に創られた、オリジナルストーリーで展開されます。この劇場版にすべてをぶつけたと語る、真島ヒロさんのインタビューをお届けします。

――「劇場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-」では描き下ろしキービジュアルやオリジナルキャラのデザインのみならず、200ページ近い原案ネームも手がけられています。制作に深く関わったきっかけはなんだったのでしょうか。

真島:実は執筆依頼が来て、描いただけなんですよ(笑)。お声がけいただいたときは原作がちょうど最終章に入るタイミングで、そちらの構想で頭がいっぱいではあったのですが、誰かがやらなければ始まりませんし、関わらせていただくからには全力で取り組みたいなと。

――原案ネーム執筆のお話はいつごろからあったのでしょうか。

真島:前作(「劇場版 FAIRY TAIL-鳳凰の巫女-」)の公開直後から「次もやりたいですね」というお話はいただいていました。僕自身もそう思っていましたので、アイデアはいろいろためていたのですが、連載が進むうちに使えなくなってしまったので、新しくクライマックスを見越したストーリーを考えました。しっかり狙ったわけでもありませんが、原作のクライマックスと劇場版の公開がちょうど交わるようなイミングにできたかなと思います。

――本作の予告映像公開時に「エンターテインメントに特化した作品にしたい」とコメントを寄せておられます。本作におけるエンターテインメントはどのような部分になるのでしょうか。

真島:「鳳凰の巫女」は「ファンのみなさんに泣いてもらおう」と思って描いた物語ですが、「DRAGON CRY」は熱いバトルやハデなアクションを全面に押し出したシンプルな物語になっています。深く考えずに観て「楽しかった!」と感じてもらえればいいなと。キービジュアルでも描いている、ナツの半身が竜化しているシーンがその核になればと思っています。

――また、コメントでは、作中にサプライズもあるとのことでした。

真島:おそらく原作では描かないであろう、とあるキャラクターの過去が明らかになります。ぜひ“最後まで”しっかりご覧ください! そのほかにも、作中にいろいろな小ネタを散りばめていたのですが、残念ながらカットされてしまった部分も多く……その辺は、ぜひ特典の原案ネームと見比べていただければと思います。あくまで叩き台なので、みなさんにお見せするのは恥ずかしくもあるのですが。

――原案ネームとフィルムを両方拝見しましたが、劇場版オリジナルキャラクターであるスワン、ドール、ガプリらが原案よりもさらに魅力的に仕上がっていると感じました。

真島:原案ネームを提出したあと、僕の方から提案したり、アニメスタッフのみなさんからご提案いただいたりして、すり合わせを経てブラッシュアップされたところがたくさんあります。その3人の中では、スワンが特にいいキャラクターに仕上がったのではないかと。僕自身、まだ完成したフィルムは観られていないのですが、楽しい作品に仕上がっていると思います。

――そして原作では未登場の新設定も見られます。

真島:先の“サプライズ”も含め、原作では描かないだろうと決めてかかって本作でのみ描いている設定がほとんどですので、そういう意味でも原作と補完しあってお楽しみいただければ。

――原作の単行本に付属したオリジナルアニメーションDVD(OAD)では、絵コンテを手がけられたこともありました。そうした経験が、今回の原案ネーム執筆に活きた部分はありましたか?

真島:原案ネームは叩き台ということもあり、アニメスタッフがしっかり調整してくれるという期待のもとに、マンガを描くのと同じ感覚で描いている面もあります。ですが絵コンテはそうもいかないので、本当に大変でした! ストップウォッチを片手に見よう見まねで秒数を計りながら描いてみたり、初めて知る用語の数々に「この用語はどういう意味なの!?」と格闘しながらの作業でした。

――それに比べれば、原案ネームは原作の執筆に近い感覚で取り組めたということですね。

真島:ただ、マンガの週刊連載は、どうしても困った時には「とりあえず次の話まで引っ張って、来週(分の執筆をするとき)の自分に賭けよう!」という手も使えてしまうんですよ(笑)。アニメの原案ではさすがにそうはいかないので、新人のころを思い出すくらい、起承転結をしっかりと意識して向き合いました。

――ご自身についてもお聞かせください。何らかの作品に触れるとき、どういうところに面白さや魅力を感じられますか?

真島:驚かせてくれる作品はいい作品だと思っていますので、最後に一発どんでん返しがあるような作品を好きになる傾向が強いです。自分で描くときも、「とにかく読者を驚かせよう」という部分に喜びを覚えます。物語を広げるときは、ガチガチに伏線を張るわけではなく「広げられそうなところになんとなく伏線を張って、後付けでそれを膨らませて回収する」というパターンを取ることが多いです。長くやってきたからこそできるテクニックではありますが、鋭い読者の方には「これ、後付け設定じゃないの?」と指摘されることもあります。たとえ本当にそうであっても、そうは見えない描き方ができるよう、頑張っていきたいですね。「RAVE」はデビュー作ということもあり、先の展開をガチガチに決めて描いていましたが、「FAIRY TAIL」は「魔法使いたちが仕事をする話」くらいの軽い気持ちで連載を始めました。その場その場で物語を作っていくのはとても楽しくて、自分に向いているのではないかと思っています。

――4月26日発売の「週刊少年マガジン」第21・22合併号でも一挙2話掲載をされるなど、筆が早い作家としても知られておりますが、その秘訣はどこにあるのでしょうか。

真島:僕の筆が早いなんてとんでもない! 言ってしまえば、全部演出のようなものですよ! みなさんからそう思っていただけたなら嬉しいですし、うまくいったともいえますが、この業界に飛び込んで内側から見てみると、僕くらいの執筆ペースで筆が早いとはおいそれと言えないです。一挙2話掲載というのも、何ヶ月も前から少しずつ原稿執筆のスケジュールを前倒しにしてストックをためていき、それが丸々1話分の余裕となったときに放出しているだけです。いきなりポンと2話分描けているわけではないんですよ(笑)。

――お忙しいなか、ご自身のTwitterでも「FAIRY TAIL」に関するイラストなどを公開されてもおられます。

真島:ファンサービスと割り切って始めたものですが、とても楽しくて趣味でやっている部分も入り始めています。また、いただいたリプライを通して、海外にも応援してくださるファンの方がかなりいると実感できたのもよかったです。もちろん、編集部からもそう聞いていたのですが、リップサービスだと思っていましたので(笑)。それからは、海外を意識した執筆をするようになりました。たとえば、英訳されたセリフが収まりやすいようにフキダシを縦長の楕円から真円に近づけてみたり。あとは、翻訳のことを考えてダジャレのような日本語(特定の言語)ならではのギャグは無くしました。

――「FAIRY TAIL」は連載10周年、そして来年は漫画家プロデビューから20年をむかえます。これまでを振り返ってのお気持ちをお聞かせください。

真島:この10年はあっという間でしたね。気が付いたらそれだけ経っていたと思うと同時に、もう10年経つのかという気持ちもあります。漫画家を本格的に目指しはじめたのは高校生のころでしたが、これまでを振り返ると僕は本当に運がよかったと思っています。時代の流れにも助けられました。僕のデビュー当時の「マガジン」にはファンタジーマンガがそれほどなかったので、ある種“スキマ産業”のようにそこを突いて、ここまでやってこられました。

――最後にファンへメッセージをお願いします。

真島:「DRAGON CRY」を観て楽しんでいただけたなら、それはアニメスタッフのみなさんの功績です。ぜひ、そのお声を届けていただければと思います。そして、原作の「FAIRY TAIL」もいよいよクライマックスです。「DRAGON CRY」ともども、最後までお付き合いいただければうれしいです!

■場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-
公開:5月6日(土)

スタッフ:原作…真島ヒロ(講談社「週刊少年マガジン」連載)/監督…南川達馬/脚本…米村正二/キャラクターデザイン・総作画監督…山田裕子/音楽…高梨康治 音響監督…はたしょう二/制作…A-1 Pictures/製作…劇場版フェアリーテイルDC製作委員会/配給…ギャガ
キャスト:ナツ・ドラグニル…柿原徹也/ルーシィ・ハートフィリア…平野 綾/ハッピー…釘宮理恵/グレイ・フルバスター…中村悠一/エルザ・スカーレット…大原さやか/ウェンディ・マーベル…佐藤聡美/シャルル…堀江由衣/アニムス…古川 慎/ソーニャ…悠木 碧/ザッシュ…斉藤次郎

■入場者プレゼント
数量限定 真島ヒロ執筆 劇場版原案ネーム
※公開初日より、ご入場1名様につき1点プレゼント ※一部劇場を除く、詳細は劇場までお問い合わせください ※入場者プレゼントはなくなり次第、終了となります

キャラクターブロマイド(ナツ・ルーシィ・ソーニャの全3種)
5月13日(土)より、ご入場1名様につき1点プレゼント ※ランダム配布となるので、絵柄はお選びいただけません ※一部劇場を除く、詳細は劇場までお問い合わせください ※入場者プレゼントはなくなり次第、終了となります

リンク:「劇場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-」公式サイト 
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