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「異世界かるてっと」インタビュー連載【第4回 前編】芦名みのる×長月達平「『リゼロ』は設定や物語の深みが分かれば分かるほどおもしろくなる作品」

「Re:ゼロから始める異世界生活」、「オーバーロード」、「この素晴らしい世界に祝福を!」、「幼女戦記」、という異世界系ライトノベル4作品のキャラクターがぷちキャラになって一堂に会し、大暴れするTVアニメ「異世界かるてっと」。4月からの放送開始にあたり、同作の芦名みのる監督が4作品の原作者たちと対談するインタビュー連載企画。トリを飾るのは、「Re:ゼロから始める異世界生活」の原作者・長月達平さんとの対談です。さっそく前編をお届けします。

芦名:さて、この対談企画のトリを飾る長月先生とは付き合いも長いので、今回はラフにいきたいと思います! 久しぶりですね!

長月:と言っても、せいぜい2週間……いや10日ぶりくらいでしょ(笑)。

芦名:まぁそうなんですけど。そして、実は今日ケーキを持ってきました。長月先生、誕生日おめでとう!

長月:うわ、ありがとうございます! 俺も今日(芦名監督に)ケーキを持ってきたよ!

――お二人とも、誕生日が近いのでしょうか?

長月:俺の誕生日が3月11日で、芦名監督が今日(3月13日)なんですよ。

芦名:では長月先生のケーキを拝見……おお、すごい! これ、(アニメの)打ち上げとかで出るレベルのヤツですよね!? ……と、このままお誕生日会というわけにもいきませんので、ケーキはあとでみんなで食べるとして。「異世界かるてっと」の話を最初に聞いたときのことって覚えてますか?

長月:2017年頃の冬から年末ごろじゃなかったかな。(「異世界かるてっと」の)他の先生たちもまじえて、みんなで飲んでいたときだったと思う。あのときはしこたま飲んじゃって、細かいことはあまり覚えてない……。

長月:企画を聞いての感想は「こういう企画が公式でできるのはおもしろいな」というものでした。1人の作家による複数の作品のクロスオーバーならまだしも、作家4人ですからね! 4作品を均等に扱わなければいけないし、かといってキャラの使いやすさには差があるだろうし、大変でしょう。なにより、「リゼロ」のキャラは使いづらいでしょ?

芦名:そうなんです。「リゼロ」は、登場人物たちだけで物語が綺麗に完結するように構成されてるんですよね。だから「異世界かるてっと」で他の作品のキャラと同じ場にいても、スバルやエミリアたちの方から積極的に関わっていく動機がないんですよ。「オーバーロード」や「幼女戦記」は、アインズやターニャに何らかの理由があって、彼らが部下に命令することでその作品のキャラみんなに他作品に歩み寄る理由を与えられるけど「リゼロ」のキャラたちはそういう組織だった体系もない。いざ脚本を書き始めてみると、これは困ったぞと。

長月:うん、うん。そうなるでしょう。実はそういう不安はコラボとかでも随所で感じていて、俺も監修かんかで直すときに苦労するんですよ。「そのキャラはそこでそういうことは言わないでしょ!」って感じで(笑)。

――だからこそ芦名監督も「登場人物たちだけで物語が完結している」と感じられたのですね。

芦名:長月先生はそうした思いもあって「リゼロ」アニメ化の際、積極的に制作スタッフと関わられていたわけですが、これはアニメ制作サイドから見るとうれしいことなんですよ。特に僕は、原作となる作品をお借りしてのアニメ制作は二次創作も同然だと思っていますので。原作者の方に、この作品がアニメになるならこう、ぷちキャラアニメになるならこうだと、一緒に考えてくれるのはとても助かります。

――芦名監督から見た「リゼロ」の魅力はどういうところにありますか?

芦名:世界を構成する設定が綿密に組み合わさっていて設定に穴らしい穴がないことや、先ほども言った、登場人物たちだけで物語が綺麗にまとまっている箱庭のような構造など……ひと言でいうなら、もう全部好きです(笑)。アニメ本編の制作時、そんな作品のぷちキャラアニメ(「Re:ゼロから始める休憩時間」)を担当させてもらえることになって「これは原作者の長月先生にしっかり脚本を確認していただかねば!」と意気込んでアニメ本編第1話のアフレコ現場にお邪魔したのですが、長月先生が俺のことを怖がるという……(笑)。

長月:俺はアニメ大好き人間なので、自分の作品がアニメ化するというのは夢のひとつでした。だから、アニメ第1話のアフレコ現場というのはまさにその夢が形になる瞬間なわけで、緊張しまくっていたわけですよ! そんなところに、花柄のシャツを着たおっかない見た目の人がグイグイ話しかけてくるわけですよ!(笑) でも、話してみたらすぐにマジメな人だというのが分かりました。作品を読み込んでいないと出てこない設定などを聞いてきてくださったので。

芦名:「リゼロ」は、設定や物語の深みが分かれば分かるほどおもしろくなる作品です。だからこそ「Re:ゼロから始める休憩時間」では、アニメ本編では描き切れない設定を補足してあげるショートアニメにしたいなと思ったんです。

【取材・文:蚩尤】

「異世界かるてっと」
放送:TOKYO MX 4月9日より毎週火曜0:30~
   テレビ愛知 4月11日より毎週木曜26:05~
   MBS 4月9日より毎週火曜27:00~
   BS11 4月10日より毎週水曜24:00~
   AT-X 4月10日より毎週水曜21:30~ ※リピート放送あり
配信:AbemaTVにて4月9日(火)24:00~特別先行配信開始

スタッフ:原作…丸山くがね『オーバーロード』、暁なつめ『この素晴らしい世界に祝福を!』、長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活』、カルロ・ゼン『幼女戦記』/原作イラストレーター:so-bin『オーバーロード』、三嶋くろね『この素晴らしい世界に祝福を!』、大塚真一郎『Re:ゼロから始める異世界生活』、篠月しのぶ『幼女戦記』/監督・脚本:芦名みのる/キャラクターデザイン・総作画監督:たけはらみのる/美術監督・美術設定:戸杉奈津子/撮影監督:大久保潤一/音響監督:明田川仁/音響制作:マジックカプセル/音楽:川田瑠夏/音楽制作:KADOKAWA/アニメーション制作:スタジオぷYUKAI/製作:KADOKAWA

リンク:アニメ「異世界かるてっと」公式サイト
    公式Twitter・@isekai_quartet
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