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ナンバリングに込められた意味は何か。「ナナシス」初の大阪ライブ「t7s LIVE -INTO THE 2ND GEAR 2.5-」レポート

「Tokyo 7th シスターズ」(通称ナナシス)のライブイベント「t7s LIVE -INTO THE 2ND GEAR 2.5-」が1月15日(日)、大阪・なんばHatchで開催され、777☆SISTERSより篠田みなみさん・高田憂希さん・加隈亜衣さん・中島唯さん・井澤詩織さん・清水彩香さん・道井悠さん・今井麻夏さん・大西沙織さん・中村桜さん・高井舞香さん・桑原由気さん、Le☆S☆Caより吉井彩実さん・藤田茜さん・植田ひかるさんが出演しました。本稿では昼の部をレポートします。

2015年8月の2ndライブで今回のタイトルが発表された時から、気になっていたのが「2.5」というナンバリング。今回のステージでも「コニーさんによると“2.5”には深い意味があるらしい」というメッセージが繰り返し提示されていました。その答えを考える上でヒントになりそうなのが、今回のステージはほぼ全編、キャストがキャラクターとしてライブを行なうコンセプトだったことです。今までよりぐっと増えたMCは、ほぼすべての場面でキャラクターとして掛け合いを行ないます。キャストはキャラを演じっぱなしで、昼夜2公演、2ndに比べると出演者とセットリストを絞った構成だからこそ作りこめたライブだとも言えそうです。

初のMCで篠田さん演じるハルが(以降MC部分ではキャラクター名で統一します)「今日はナナスタシスターズのMCがたくさんあります!」、スースが「今日はスースとたくさんお話しようね!」と話すと会場は大歓声。Le☆S☆Ca組の3人が好きなラーメンについて話したり、サワラお姉ちゃんがクイズコーナーをやりたがったりと内容はさまざまでしたが、大きな流れを作ったのはレナとスース。レナが「恋バナしようよ!」と提案し、これを受けて恋バナを始めたがるスースにロナたちが目を白黒させる展開です。モモカは恋愛アニメの話に脱線したり、ロナは「私が好きな人はニコ様です!」と告白したりと、それぞれの形でトークを繰り広げました。

ライブ面では、ステージに登場した777☆SISTERSの近さに、まず驚きました。1階は縦に詰まった会場でオールスタンディング、2階席は客席がステージに向けて大きく張り出していることもあり、客席と演者がとにかく近いんです。そんな距離感に合わせてか、キャストのパフォーマンスも、よりライブ感を重視したものでした。2ndから半年近く、さらに練習を重ねたパフォーマンスが目の前に迫ってくるのだから、たまりません。

そして距離が近いということは、お互いの生の声や感情も届きやすいということ。「KILL☆ER☆TUNE☆R」の「2034」の大合唱や、「タンポポ」での「きみだよ!」の言葉に想いを乗せたキャッチボールの一体感は1stライブを思い出すようであり、同時にステージも客席も成長した今だからこそ作り出せる空間でした。

キャラクターが歌うライブとして見てびっくりしたのが、NI+CORAの「Girls Talk!!」です。架空の女子高生同士の何気ない電話がテーマの曲で、ムスビとスースは自分とは別の個性を演じて歌っています。ところが今回のステージでは、大西さんが間奏で「スース、ムスビの恋バナが聞きたいわ!」と、MCでのやりとりを受けたスースとしての掛け合いを披露。MCと歌が地続きな、キャラクターとしてのライブ感を強く感じさせます。

キャラクターMCがうまいなぁと感じたのが桑原さん。キャラクターMCは、ともすれば台詞っぽくなるのですが、会話の流れの中で自然に会場の声を拾うことで、リアルなライブMC感がぐっと増していました。

ある意味、今回のライブの主役と言えたのがLe☆S☆Caで、全19曲中4曲が新曲も含めたLe☆S☆Ca曲でした。ボーカル面での地力がこんなにある人だったのかと感じたのが藤田茜さんで、彼女の芯の強い歌声があればこそ、植田さんの歌声の甘やかさや、吉井さんのキョーコのキャラ感が強い歌声が生きる気がします。

吉井さんのキョーコらしさが光ったのが「トワイライト」で、ムーディーでキョーコの新しい一面を見せる歌い方でありながら、確かにキョーコの歌声である絶妙のラインでした。

Le☆S☆Caはハイヒールでテクニカルなステップに挑戦していましたが、このハイヒールを履いていることを感じさせない巧みなステップの完成形を見せたのが、SiSHの「さよならレイニーレイディ」でした。

「2.5」ライブならでは、を強く感じたのは、WITCH NUMBER 4の「SAKURA」のパフォーマンスです。以前から各人のダンスの色が見える楽曲でしたが、中島さんは小柄な身体でも元気いっぱいさが際立つように、加隈さんはロナのゆったりとした間を生かしながら長身が映える大きな動きを、井澤さんはリアルアイドルばりのしなやかな体型を生かして、同じ振付でものダンスの志向性が違うように感じました。それぞれの細かい動きが違っても、動きの始点と終点が揃っているから全体はバランスがとれているんですね。ダンスが「動きを揃える」という段階から、その中でキャラクター性をどう表現するか、という要素が入ってきたように感じました。そして、表現することに力を入れた篠田さんの、動き出しのなめらかさやピタリとした止め、繊細な表現力のすごさたるや。目を奪われるほど美しい動きでした。

いろんなことを総合すると、ユニットやチームで表現する中にも、キャラクター個人の色がさらに見えるようになったライブでした。たとえば全員曲でも、膝でのリズムの取り方や表現が微妙に違うんです。一番わかりやすいのは「FUNBARE☆RUNNER」の中島さんで、周りがちょっと足を曲げるところでも、グイーッと膝を曲げて地面すれすれまで腰を落とすことで、動きの大きさやバネを出していました。そういう個性を出せるのは、今までのライブで全員がきっちり揃えて見せる型ができあがった今だからこそ、でしょう。

ダンスがうまい人、未経験な人の両方がいる中から、全員ができることを少しずつ増やしていき、今度はキャラクターとしてのMCを加えて、よりナナスタらしいライブに仕上げる。今回のライブの「2.5」とは、2次元と3次元の壁を突破しようとする意志だと感じました。

ライブ本編終了後はナナスタメンバーから支配人への感謝のビデオメッセージとライブのエンドクレジットを流し、エンドクレジットの途中でメンバーが「待って待って! まだ終わりじゃなーい!」と待ったをかける形で最終曲に入る、凝った流れでした。アンコールによる中断が無かったことで、ライブ全体が一本の作品を見たようなまとまった印象になりました。終わってみれば2時間ジャスト、物足りなさは一切なし。2.5次元アイドルライブの新しい可能性を見た気がしました。【取材・文=中里キリ】

2017.01.15「t7s LIVE -INTO THE 2ND GEAR 2.5-」

なんばHatch セットリスト

m01:僕らは青空になる

m02:KILL☆ER☆TUNE☆R

m03:Cocoro Magical

m04:YELLOW

m05:Behind Moon

m06:PRIZM♪RIZM

m07:お願い☆My Boy

m08:オ・モ・イ アプローチ

m09:たいくつりぼん

m10:Girls Talk!!

m11:セカイのヒミツ

m12:SAKURA

m13:さよならレイニーレイディ

m14:トワイライト

m15:タンポポ

m16:ハネ☆る!!

m17:Snow in “I love you”

m18:H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!!

m19:FUNBARE☆RUNNER

リンク:「Tokyo 7th シスターズ」公式サイト
    「Tokyo 7th シスターズ」公式twitterアカウント・@t7s_staff
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