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大手出版社が参加し格安でアニメを楽しめる! 新配信チャンネル「アニメタイムズ」開設の狙いとは!

Amazonプライム・ビデオ チャンネル内にアニメ専門チャンネル「アニメタイムズ」が8月19日に開設されました。出版3社のアニメを中心にした幅広いラインナップ、Amazon Prime Videoチャンネル内のアニメ専門チャンネルでは最安値という月額料金など、アニメファンにとって魅力的な同チャンネルはどのように生まれ、今後どのように展開していくのでしょうか。株式会社アニメタイムズ社の代表取締役社長である勝股英夫さんに話を伺いました。

――現在のアニメ配信の市場をどう捉えていますか?

勝股 近年、アニメ配信の市場規模は右肩上がりで大きくなっています。今はレンタル市場やセルパッケージ市場それぞれより配信市場のほうが大きくなっていて、それらとすぐ完全に置き換わるとは思いませんが、しばらくはこのまま好調に推移するでしょう。配信プラットフォームが多数参入していて競争過多になっている感じもありますが、ビジネスとしてもユーザーとしても選択肢が増えて、細かいニーズや嗜好性に応えられる状況にあるとポジティブに考えています。

――そんな状況下でアニメタイムズを始めることになった経緯を教えてください。

勝股 まず株式会社アニメタイムズ社は2015年3月に、配信サービス各社にアニメ番組を供給するために講談社、集英社、小学館の出版3社を始め計14社の株主によって設立されました。2015年というとNetflixや今回ご一緒することになったAmazon Prime Videoが日本展開を始めた年で、そうしたサービスときちんと向き合うという狙いもあって作った会社なんです。その当時から自分たちでもアニメ専門の配信チャンネルを持ちたいという思いはあったので、今回その悲願が叶った形です。

――サービス開始にあたって、どのようにターゲットやコンセプトを定めましたか?

勝股 アニメの専門チャンネルとはいえ、深夜アニメだけではなく子供から大人まで幅広くターゲットにしています。ただ編成方針としては「アニメファンの琴線に触れるもの」というのを主眼に置いています。

――ちなみに“アニメタイムズ”というチャンネル名、社名の由来は?

勝股 「いつでも」という意味のanytimeと、アニメをかけ合わせた言葉です。今のアニメ視聴者は、決められた時間に観るというより自分の好きな時に観るというスタイルが多いですから。

――アニメタイムズの特徴を簡単に教えてください。

勝股 まず大手出版社のアニメが充実していること。次に料金が税抜きでは400円を切っていて(Amazonプライム会員の場合)、アニメ専門チャンネルの中ではとてもお得感が高いこと。3つ目はオリジナルコンテンツ、具体的にはアニメファンが喜ぶような番外編やスピンオフなどをラインナップしていく予定ということです。

――ひとつずつ詳しく伺います。サービス開始時のラインナップで人気となりそうなタイトルは?

勝股 目玉タイトルが多すぎるのですが(笑)。例えば「頭文字D」「七つの大罪」「銀魂」や「NARUTO」「MAJOR」「うる星やつら」「おそ松さん」」……ほかにも多くの人がご存知のメジャータイトルがたくさんあります。

――タイトル数は?

勝股 当初から約500タイトル7000エピソードほどありますが、その後もどんどん増やしていきます。新作アニメの見逃し配信も10月から対応しますし、番組改編期以外にも月に一度は更新して新規で作品を追加していきます。

――先ほど挙げられた講談社、集英社、小学館という出版3社以外の作品も?

勝股 もちろんあります。KADOKAWAさん白泉社さんなど他の出版社さんの作品もサービス開始時から多数ラインナップされています。弊社の株主であるかどうかにはこだわり過ぎず、あくまでファン目線で編成していきます。

――次に料金ですが、Amazonプライム会員の場合は月額で398円(437円税込)とのことで、まずAmazonプライム会員以外は利用できないという理解でいいですか?

勝股 はい。あくまでAmazon Prime Videoのチャンネルなので。ただAmazonプライムは映像目的だけでなくデリバリー目的で使っている人もものすごく多いと聞いているので、そこからの導線は大きな魅力だと感じています。

――率直な感想として、かなり安いですね。

勝股 配信マーケット全体で見るともっと安いサービスもあるのかもしれませんが、お得感はかなり高いはずです。今の若い方の感覚だと、高い月額を払うくらいなら無料でYouTubeを見るという人も多いでしょう。それならこれくらい安くして、若い人に一人でも多く観てもらうことが最終的にはいい結果につながると考えています。

――最後にオリジナルコンテンツですが、これはサービス開始時からあるのでしょうか?

勝股 いえ、まだありません。まずは既存の作品をきっちり揃えることを優先しています。その中で利用者のニーズを見極めて、彼らが期待してるものを作りたいです。気持ち的にはすぐにでもスタートしたいですけどね。たとえばアニメ本編だけでなくその周辺にフューチャーしたもの……声優の朗読劇やクリエイターのドキュメンタリーなどは我々としてはぜひやりたいと思っています。ほかにも出版社さんの原作を使って、尺が短いショートアニメーションやムービーコミックのようなものを試し打ちするのも面白いのではないかと考えています。

――アニメタイムズはメインナレーターとして神谷浩史さんを起用されていますね。

「アニメファンの琴線に触れる」という我々の思いに寄与していただけると思い、お願いしました。CMやPR動画などで彼の声を聞けますので、ぜひ視聴してみてください。

――御社の動きについても少し聞かせてください。今年の5月末にアニメタイムズ社はMyAnimeListに出資していました。MyAnimeListは海外のファンが多く集まるアニメ・マンガコミュニティですが、その目的は?

勝股 ここ数年、海外でのアニメフェアなどの数も参加者も開催国も増えており、コアファン以外のアニメファンも増えている印象があります。その中で世界最大級のアニメ・マンガコミュニティであるMyAnimeListにはMAU(月間アクティブユーザー)が北米中心に1800万人もいて、多くの人がそこでの作品評価を参考にしているし、プラットフォームの運営者にはその評価で作品の値付けをしている人もいます。それくらい貴重なデータが揃っているし、多くのアニメファンにアプローチできるのがMyAnimeListの大きな魅力だと思っています。今後はあの場で、コロナ渦でリアル開催できないイベントの代わりとなるものを開催したり、コンテンツホルダーの許諾を得ながら二次創作の発表などもやったりして、新たにマネタイズすることも可能になるんじゃないでしょうか。

――日本語に対応していないためか、MyAnimeListはアニメがこれだけ生まれ、観られている日本であまり利用されていないことに少し寂しさを感じます。

勝股 仰るとおりです。灯台下暗しみたいな感じですよね(笑)。MyAnimeListから少し離れますが、たとえば我々だと「KING OF PRISM」シリーズなどで、映画館で応援上映をやっていましたけど、海外ではそこから一歩進んでオンラインで応援上映をやっています。コスプレをして、ZOOMみたいな画面で一緒に応援しながら観るという。そういう場所に日本のアニメファンがあまり参加していないのは、少し不思議に感じています。

――アニメタイムズ社としても、そうした海外への展開は考えていますか?

勝股 設立時からワールドワイドで普遍的なものを海外に展開することを視野に入れていました。これまでは国内向けのサービスを中心にやってきましたが、MyAnimeListに出資したこともひとつのきっかけにして、今後はいろいろ展開したいです。

【取材・文:はるのおと】

アニメタイムズ
<サービス開始日>
2021年8月19日(木)よりスタート

<チャンネル価格>
398円(437円税込)
※Amazonプライム会員の場合

<視聴方法>
1:Amazon Prime Video チャンネル一覧にアクセス
2:アニメタイムズを選択
3:会員登録後すぐにご視聴いただけます

リンク:「アニメタイムズ」公式サイト

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