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一年間のアニメの総決算! 初の日本開催となった「クランチロール・アニメアワード2023」に密着!!

3月4日、グランドプリンスホテル新高輪 飛天にて「クランチロール・アニメアワード2023」が開催されました。北米のアニメ市場を席巻する配信サイト・クランチロールが毎年行なっているアワードですが、今年は初の日本開催。そのためか、各スタッフが参加している会場からは、発表前からかなりの熱気が伝わってきました。本稿ではその授賞式から、各賞に輝いた方々へ実施したインタビューの模様をお届けします。

19時に式典はスタート。MCのジョン・カビラさんと天城サリーさんが進行する中、各賞が発表されていきました。今回のアニメアワードは2021年11月~2022年9月の間にリリースされたアニメの中から選ばれます。

まず発表されたのは「最優秀オリジナルアニメ賞」。2022年7~9月にかけて放送された「リコリス・リコイル」が受賞しました。世界一の治安を誇る日本の裏には、暗躍する秘密組織「DA」があった。そこに所属する二人の少女――錦木千束と井ノ上たきなの姿を描いた物語です。足立慎吾監督は最初に発表されたのはびっくりしたと言いつつ、以前アニメーターとして訪れたANIME EXPO(ロサンゼルスで開催されるアニメイベント)に今度は監督として行ってみたいとトーク。「次の作品を作るとしたら?」という質問には、今はまだ休みたいと微笑みつつも、「機会があればまた仲間たちと一緒にオリジナル作品を作りたい」と話す一幕も。「応援してくださってありがとうございます。千束を通してたきなが新たな考えを得ていく。その姿を見て元気になってくださったら嬉しいです。まだ「リコリコ」は続きますので、千束とたきな、二人の行く末を楽しみに待っていてもらえれば」とコメントしました。


最優秀オリジナルアニメ賞:「リコリス・リコイル」で登壇した監督の足立慎吾さん


続いて「最優秀継続シリーズ賞」を受賞した「ONE PIECE」でシリーズディレクターを手掛ける長峯達也監督が登壇。「ONE PIECE」といえば、1999年より続く長期タイトル。「とにかく嬉しいです」と話しつつ、長峯監督は20年以上続くアニメシリーズについて回顧しました。長峯監督は、長年繋がってきたシリーズディレクターのバトンを2019年の「ワノ国編」突入時から受け取った人物。それだけに、「これまで練馬区の大泉学園(編注:制作スタジオの東映アニメーションが所在)で作ってきた先輩方やスタッフのみんなに報告したい」と嬉しさを露わにしました。世界中から「ONE PIECE」に影響を受けて日本でアニメ業界に飛び込んだスタッフもいるという話も出つつ、毎週連載されている尾田栄一郎先生の原作から刺激を受けて毎週作っていると語りました。


最優秀継続シリーズ賞:「ONE PIECE」で登壇したシリーズディレクターの長峯達也さん


「最優秀ロマンス作品賞」を受賞したのは、「かぐや様は告らせたい ウルトラロマンティック」。秀知院学園生徒会メンバーの恋心の行方が描く、「かぐや様は告らせたい」の第3シーズンです。
四宮かぐや役・古賀葵さんは、アメリカで開催されたイベントに「かぐや様」チームで二度訪れた経験から海外の反響を実感したと語りました。その際のファンの反応も振り返りつつ、受賞に対する感謝を述べ、トロフィーを大切そうに抱えていました。


最優秀ロマンス作品賞:「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」で登壇した四宮かぐや役の古賀葵さん


「最優秀作曲賞」を受賞し登壇したのは、「進撃の巨人 The Final Season Part 2」のKOHTA YAMAMOTOさんと澤野弘之さん。舞台をマーレに移し、緻密な世界観が開示されながら終わりへと向かっていく本作。会場では、「進撃の巨人 The Final Season Part 2」演奏も披露したKOHTAさんが「まさか受賞できると思っていなかったので夢のようです」と語ると、「Final SeasonはKOHTAくんがメインなので、おまけでもらえたような気分」と微笑むところからインタビューはスタートしました。澤野さんは第1~3期を制作した荒木哲郎監督に触れ、「荒木監督と木下(哲哉)プロデューサーのおかげでこの作品に関わることができ、このような賞を受賞できた」と語りました。そんな澤野さんの言葉に続くようにKOHTAさんは、「『The Final Season』では林祐一郎監督とご一緒できて嬉しいです。このシーズンからメインで携われて、海外のファンからも温かい声をいただけました。この秋に完結編後編が放送されるので、一緒に最後まで楽しみに待っていただけたら」と視聴者へメッセージを送りました。


最優秀作曲賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」で登壇した手がけたKOHTA YAMAMOTOさん(左)、澤野弘之さん(右)


「最優秀長編アニメ賞」を受賞した「劇場版 呪術廻戦 0」は、TVシリーズの前日譚となる、新宿と京都を襲った百鬼夜行に呪術高専の面々が立ち向かう物語です。情報量が多く、スクリーンに引き込まれやすい画力が見どころだった本作。登壇した東宝の松谷浩明プロデューサーとMAPPA代表取締役の大塚学さん。松谷さんは受賞をびっくりしたと語るとともに、「世界中で愛されているんだなと実感しました。今後も「呪術廻戦」シリーズをMAPPAさんとともに盛り上げていければと語りました。大塚さんは「このアワードで今後も受賞できるような作品を作り出していきたい」と意気込み、トロフィーを笑顔で受け取りました。また、受賞後にはTVシリーズのエンディング主題歌を務めたALIが「LOST IN PARADISE」を熱唱する一幕も!


最優秀長編アニメ賞:「劇場版 呪術廻戦 0」で登壇したプロデューサーの松谷浩明さん、制作スタジオ・MAPPA代表取締役の大塚学さん


「最優秀アニメーション賞」「最優秀キャラクターデザイン賞」「最優秀ファンタジー作品賞」「最優秀監督賞」「最優秀アクション作品賞」「最優秀声優賞(スペイン語〈中南米〉)」を受賞したのは「鬼滅の刃 遊郭編」。制作スタジオ・ufotableならではの色彩と画作りがファンの心を掴み、この春から新シーズンの放送が決定している作品です。会場では梶浦由記さんとスペシャルバンドによる「炎」の演奏もされました。
そんな「鬼滅の刃」からは、アニプレックスの高橋祐馬プロデューサーと宇髄天元役の小西克幸さんが登壇。複数部門での受賞ということで、「これだけたくさんの作品がある中で、こんなに賞を獲れるというのは非常に嬉しい」(小西さん)、「ファンの皆さんが選んでくださったからこそ、受賞ができました」(高橋さん)とそれぞれファンに対して感謝を告げました。現在公開中の「ワールドツアー上映『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」の舞台挨拶で海外に行った小西さんは、実地でファンの熱を感じたと話しました。高橋さんは、今この受賞式の裏側で竈門炭治郎役の花江夏樹さんがメキシコで舞台挨拶をしていると触れた上で、「そうした機会ができたのも、皆さんの熱があったからこそ。4月から始まる『刀鍛冶の里編』も楽しみにしていただけたら」とこれからの意気込みを語りました。


数々の賞を受賞した「鬼滅の刃 遊郭編」からプロデューサーの高橋祐馬さん、宇随天元役の小西克幸さん


そして映えある「アニメ・オブ・ザ・イヤー」に輝いたのは「サイバーパンク エッジランナーズ」! ゲーム「サイバーパンク2077」を原作に、制作スタジオ・TRIGGERと原作であるCDPRが魂を奮わせながら制作した作品です。受賞後のスピーチでも「日本とポーランド、ジャンルも国も違う二つの会社が本気で討論しながら妥協せずに頑張った結果がこういう評価につながったのかな」と語ったTRIGGERの大塚雅彦社長。インタビューセッションでは、「受賞できる可能性はほとんどないだろうなと思っていたのでびっくりしました」と喜びを露わにしました。Netflixでの独占配信ということもあり、海外からの反響も大きかったことについて尋ねられると、感謝を述べつつも「海外はそこまで意識していなくて、常に自分たちが作りたいものを作るよう心掛けています」と回答。そして、「これからも各作品の監督が大事にしていること、やりたいことを大切にしながら制作を続けていこうと思います」と今後の意気込みを語りました。


アニメ・オブ・ザ・イヤー:「サイバーパンク エッジランナーズ」で登壇したTRIGGER代表取締役社長の大塚雅彦さん


こうして受賞作が発表され、幕を閉じた「クランチロール・アニメアワード2023」。果たして来年の受賞作は……!?

WebNewtypeでは、受賞しコメントを残された方々の写真や、開催に先立ちプレゼンターやノミニーが歩いたオレンジカーペットの模様を紹介。オレンジカーペットにはたくさんのノミネートされた作品の方々が登場。その一部をご紹介します。


オレンジカーペットに登場した「ONE PIECE FILM RED」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「ONE PIECE FILM RED」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「ONE PIECE」(2022年9月まで)のシリーズディレクターを務めた暮田公平さん


オレンジカーペットに登場した「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した素敵な演奏も披露した梶浦由記さんとFRONT BAND MEMBERS、FictionJunctionの皆さん


オレンジカーペットに登場した「進撃の巨人 The Final Season Part 2」音楽を手がけるKOHTA YAMAMOTOさんとチームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「ユーレイデコ」のチームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「よふかしのうた」のチームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「地球外少年少女」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「恋は世界征服のあとで」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「王様ランキング」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「進撃の巨人 The Final Season Part 2」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「リコリス・リコイル」「その着せ替え人形は恋をする」「明日ちゃんのセーラー服」などを手がけたA-1 Pictures、Clover Worksの皆さん


オレンジカーペットに登場した「オーバーロードIV」チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した「古見さんはコミュ症です。」(第2期)チームの皆さん


オレンジカーペットに登場した美術監督の増山修さん


オレンジカーペットに登場した、「SPY×FAMILY」で音楽プロデュースを務めた(K)NoW_NAMEの皆さん


司会を務めた天城サリーさん(左)とジョン・カビラさん(右)


「クランチロール・アニメアワード2023」受賞リスト(敬称略)
●アニメ・オブ・ザ・イヤー:「サイバーパンクエッジランナーズ」
●最優秀アクション作品賞:「鬼滅の刃 遊郭編」
●最優秀アニメーション賞:「鬼滅の刃 遊郭編」
●最優秀アニソン賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」「The Rumbling」SiM
●最優秀キャラクターデザイン賞:「鬼滅の刃 遊郭編」松島晃
●最優秀コメディ作品賞:「SPY×FAMILY(第1クール)」
●最優秀継続シリーズ賞:「ONE PIECE」
●最優秀監督賞:「鬼滅の刃 遊郭編」外崎春雄
●最優秀ドラマ作品賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」
●最優秀エンディング賞:「SPY×FAMILY(第1クール)」「喜劇」星野源
●最優秀ファンタジー作品賞:「鬼滅の刃 遊郭編」
●最優秀長編アニメ賞:「劇場版 呪術廻戦 0」
●最優秀主演キャラクター賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」エレン・イェーガー
●最優秀新シリーズ賞:「SPY×FAMILY(第1クール)」
●最優秀オープニング賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」「The Rumbling」SiM
●最優秀オリジナルアニメ賞:「リコリス・リコイル」
●最優秀ロマンス作品賞:「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」
●最優秀作曲賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」KOHTA YAMAMOTO、澤野弘之
●最優秀助演キャラクター賞:「SPY×FAMILY(第1クール)」アーニャ・フォージャー
●最優秀声優賞(日本語):「進撃の巨人 The Final Season Part 2」エレン・イェーガー役・梶裕貴

「クランチロール・アニメアワード2023」登壇者(発表順、敬称略)
●最優秀オリジナルアニメ賞:「リコリス・リコイル」足立慎吾(監督)
●最優秀キャラクターデザイン賞:「鬼滅の刃 遊郭編」小西克幸(宇随天元役/代理)
●最優秀アニメーション賞:「鬼滅の刃 遊郭編」高橋祐馬(プロデューサー)
●最優秀継続シリーズ賞:「ONE PIECE」長峯達也(シリーズディレクター)
●最優秀ロマンス作品賞:「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」古賀葵(四宮かぐや役)
●最優秀ファンタジー作品賞:「鬼滅の刃 遊郭編」小西克幸(宇随天元役)
●最優秀コメディ作品賞:「SPY×FAMILY(第1クール)」古橋一浩(監督)
●最優秀作曲賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」KOHTA YAMAMOTO、澤野弘之
●最優秀アニソン賞:「進撃の巨人 The Final Season Part 2」「The Rumbling」SiM(代読:ジョン・カビラ)
●最優秀長編アニメ賞:「劇場版 呪術廻戦 0」松谷浩明(プロデューサー)
●最優秀監督賞:「鬼滅の刃 遊郭編」高橋祐馬(プロデューサー/代理)
●アニメ・オブ・ザ・イヤー:「サイバーパンクエッジランナーズ」大塚雅彦(シリーズ構成/TRIGGER代表取締役社長)

【取材・文:太田祥暉(TARKUS)】

リンク:クランチロール・アニメアワード

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