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ついに(ようやく?)「異世界」で「プロレス」が実現した第8話。今回は趣向を変えて、記念すべき旗揚戦を実際のプロレス風に“実況”してもらいました。もちろん実況アナウンサーは村田晴郎氏。一緒に劇中の白熱した試合を振り返ってみてください。技の解説は文末の注釈にまとめましたので、最後までお楽しみくださいね。
エドガルド王国クラスタ銀行主催闘技大会、キング・オブ・ビースト・プロレスリング旗揚興行がまもなく始まろうとしております。
第1試合は2vs5ハンディキャップマッチ、20分1本勝負。
入場してきましたハンターギルド5人衆。一撃必殺、大剣使いの1号! スピードが自慢、短剣使いの2号! 狙いは外さない、弓使いの3号! 魔法は任せろ4号! 頑丈な盾役の5号! ただし武器と魔法の使用は反則だ、どうするハンターズ!?
対するは恐怖のオークコンビ、オークビッグとオークキングのタッグです!
キングの方は柴田源蔵と互角の勝負を繰り広げた実績があります。
ただでさえ人間種よりも強いとされているオーク族、ハンターズはなんとか力を合わせて立ち向かいたいところ。
レフェリーのギルドマスターがゴングを要請、試合開始です!
おっとハンターズ、腰が引けている。明らかにビビっています!
痺れを切らしたオークコンビが襲い掛かった!ハンター2号に合体ブレーンバスター(*1)!!
ハンターズは完全にパニック状態! 逃げ惑う! あああ! ひとりのハンターが逃げ遅れました。これはハンター5号だ。オークキング、5号の首根っこをつかまえて……ジャーンプ!! ジャーンピーングD・D・T(*2)!!
脳天からマットに突き刺した!そのままフォール!
カウント、ワン!ツー!スリィィィ!! 決まったー。
ハンターズ、何させてもらえず。オークコンビのパワーに対して、なんとか人数と技で対抗したかったところですが無理でした。
オークキングの強さが際立った一戦。ライバル、柴田源蔵との再戦を狙う意味でもこれは大きなアピールとなりました。
続いて第二試合。
柴田源蔵の一番弟子、噂のリザードマン、特盛セリス!
先日の模擬試合では大剣を振り回すハンターを見事なジャーマンスープレックスで仕留めたという実力の持ち主。これは期待できます。
対するはコボルト族初のプロレスラー、コボルトの旦那!
スカウトに来た柴田源蔵と一戦交えて意気投合、その場で参戦を決意したという熱血漢。
愛する奥さんと子供たちの前でカッコいい姿を見せられるか!?
ゴングと同時にお互いダッシュ一閃!
おーっと、セリス低い体勢でタックル! グラウンド(*3)に持ち込んでサブミッション(*4)を狙う作戦か!?
が、旦那ガッチリと受け止めた!
腰に手を回して一気に持ち上げた!これはパワーボム(*5)!!
しかしセリス、カウンターのヘッドシザースホイップ(*6)!!
旦那、パワーボムで投げたと思ったら投げられていたー!
すばやくセリスがカバーに入る。旦那、カバーを返す……早―い! まさかのレフェリーの高速カウント! 一瞬にしてカウント3!!
ギルドマスターレフェリーの不可解な高速カウント。これはいったいどういうことでしょう?
あー納得のいかない旦那が猛抗議です。それはそうでしょう。
しかしレフェリー、まったく聞く耳を持ちません。どうやら裁定は覆らない模様。
勝者は特盛セリス! しかしコボルトの旦那とギルドマスターとの間に遺恨勃発!
これは、特盛セリスとの再戦の前にギルドマスターとのシングルマッチ実現か!?
さぁ、いよいよメインイベントに柴田源蔵の登場です!
ヴァンシュタイン・カーミラとタッグを組みますが、相性はすこぶる悪いとの情報があります。果たしてタッグチームとして機能するのでしょうか?
対するは柴田源蔵にリベンジを誓う、かつてのトップハンター、陽炎!
そして何やら柴田源蔵には強い恨みを持っているらしい猫獣人、ミーシャ!
タッグマッチ、60分1本勝負の始まりです。
先発は源蔵と陽炎。
源蔵、陽炎を軽々とボディスラム(*7)! 陽炎いきなりピンチです。
おぉ、いつのまにかカーミラがトップコーナーに。
それを見た源蔵、陽炎を背後から羽交い絞めで捉えた。これは合体攻撃か!?
カーミラのミサイルキック(*8)! あーっと誤爆!! 陽炎がギリギリで避けました!
源蔵のグリップが甘かったか、らしくないミスです源蔵。
おや? カーミラが笑ってますね。源蔵がカーミラに詰め寄る! 恐れていたことが現実に、明らかな仲間割れです! 試合そっちのけで罵り合う源蔵とカーミラ! マズいことになりました。
これをチャンスと見た陽炎とミーシャ、隙だらけの源蔵とカーミラにダブルドロップキック(*9)発射!
なんと源蔵とカーミラが陽炎とミーシャの脚をキャッチ! そしてドラゴンスクリュー(*10)の共演! 息ぴったり!! 仲間割れと見せかけた頭脳プレー!
白目を剥いてダウンしている陽炎を無理矢理引き起こした源蔵、コーナーからこれはカーフ・ブランディング(*11)! 仔牛の焼印押しだぁ!! これは強烈!!
その間にカーミラはミーシャにサソリ固め(*12)! これではミーシャは助けに入れない。
源蔵は陽炎を余裕のフォール、これは決まったかー!?
ん? ここで協賛企業のクラスタ銀行クラウス氏がマイクを持った。
え? メンバー交代!? 陽炎に代わって獣人ヴォルフガング・フォン・クラフトマン!
これは面白い展開だ! 観衆は大「ボンちゃん」コール!
そうです、観客は先日ボンちゃんが源蔵にジャイアントスイングでKOされたことを知っているのです。頑張れと皆がボンちゃんの背中を押す! ボンちゃん、ここは男を見せる時!
おぉ、心強いパートナーの登場でミーシャの闘志も復活か? マイクを持って挑発!と思ったらカーミラのチョークスラム(*13)炸裂! うわー! ミーシャがあっという間にやられたー!
そして源蔵は光の速さでボンちゃんにコブラツイスト (*14)で絡みついた!
絞める!なぜかボンちゃんの脇腹辺りをモフる! 絞める! モフりまくる!
源蔵は恍惚の表情! ボンちゃんは苦悶の……いやボンちゃんも恍惚の表情で即ギブアップ!! 17分26秒、モフり式コブラツイストで柴田源蔵&ヴァンシュタイン・カーミラ組の勝利です。
いかがだったでしょうか? キング・オブ・ビースト・プロレスリング旗揚戦。
そろそろお別れの時間が近づいてまいりました。いつになるかはわかりませんが、次回大会を楽しみ待ちましょう。
それではその時まで、ごきげんよう、さようなら!
最後に、これをご覧の皆さまは絶対に真似をしないように。技を仕掛けた側も仕掛けられた側も共に不幸な結末が待っています。ケモナーマスクのようになりたければ身体を鍛えてプロレスラーになりましょう。「Please don‘t try this at home.」約束ですよ。
<注釈>
(*1)合体ブレーンバスター
前屈みとなった相手の首に腕を回し、もう一方の手で腰のタイツをつかんで持ち上げ、そのまま後方に倒れて相手の背中をマットに叩きつける技を「ブレーンバスター」という。そのブレーンバスターを一人に対し両サイドから二人がかりでやること。
(*2)ジャンピングD・D・T
「実況!けものみち」③で紹介した「DDT」をジャンプして放つとこの名称に。
通常のDDTよりも落差と勢いがつき、破壊力が増す。
(*3)グラウンド
寝技の攻防のこと。
(*4)サブミッション
意味は「服従」だが、プロレスでは「関節技」「寝技」を指す。
(*5)パワーボム
前屈みになった相手の胴体に両腕を回し、一気に頭上高くまで持ち上げて、そのまま相手の背中をマットに叩きつけて押さえ込む技。叩きつけた後は相手の両肩がマットにつく状態になるため、そのままフォールに持っていける。
(*6)ヘッドシザースホイップ
立っている相手に対し、ジャンプして頭部を両脚で挟む。そのまま空中で回転し遠心力を加えて相手を投げる技。ちなみに劇中でオークの実況が「ウラカン・ラナ」と言っているが、これは間違い。技の途中まではほぼ同じだが、ウラカン・ラナは回転した勢いで相手を丸め込んでフォールを取る固め技。投げ技ではない。セリスは投げた後、改めてフォールしているので「ヘッドシザースホイップからの体固め」となる。
(*7)ボディスラム
相手の首筋や肩口あたりに片手を回し、もう一方の手は股間に差し入れ、相手をひっくり返すように抱え上げ、背中からマットに叩きつける技。プロレスでは基本技のひとつ。
(*8)ミサイルキック
「実況!けものみち」②を参考のこと。
(*9)ダブルドロップキック
「実況!けものみち」②で紹介した「ドロップキック」を二人同時に発射すること。
(*10)ドラゴンスクリュー
相手の片足を両腕でつかみ、その状態で自身の身体をきりもみ回転させ相手の膝に横回転の力を加えることで大ダメージを与える技。回転による遠心力によって相手も同じ方向に回転してしまいマットに倒れ込む。投げ技であるが、膝関節破壊技としての効果の方が大きい。開発者である藤波辰爾選手のニックネームが「ドラゴン」であるため「ドラゴンスクリュー(飛龍竜巻投げ)」と命名された。
(*11)カーフ・ブランディング
日本名「仔牛の焼印押し」。コーナにもたれかかっている相手の頭部をつかみ、コーナートップから相手の後頭部に片膝を押し当てその状態のままリングに落下し、相手の顔面をマットに叩きつける技。相手は頭部をマットと膝でサンドイッチされる形になり甚大なダメージを被る。
(*12)サソリ固め
英語名「スコーピオン・デスロック」「シャープシューター」。仰向けに倒れている相手の両脚の間に右足を入れて、相手の両脚をクロスさせて腕でロックし、その状態で相手をひっくり返すことで相手の腰と両足首にダメージを与える絞め技。最近はお茶の間で人気の長州力さんが現役時代に得意技としていた。
(*13)チョークスラム
日本名「喉輪落とし」。相手の喉元を片手でつかみ、そのまま頭上高く持ち上げてマットに叩きつける投げ技。
(*14)コブラツイスト
「実況!けものみち」⑦を参考のこと。