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新たな国際アニメーション映画祭「あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」が、2025年12月12日(金)から6日間、愛知県名古屋市で開催されることが発表されました。6月2日にはフェスティバル実行委員会による記者発表会が行なわれ、ジェネラル・プロデューサーの真木太郎氏、フェスティバル・ディレクターの井上伸一郎氏、アーティスティック・ディレクターの数土直志氏が出席しました。そのレポートをお届けします。
本映画祭は名称の頭文字を取って、“ANIAFF(あにゃふ)”と通称。「ジブリパーク」がオープンし、「あいち国際女性映画祭」や「世界コスプレサミット」などが開催されるエンタメ文化の都市・愛知県から発信し、クリエイターの支援、ビジネスの開拓サポートなどを目的とした国際アニメ映画祭となります。
冒頭で真木氏は、「クリエイター及び制作会社――つくり手に寄り添う、つくり手の視点で映画祭を運営していきたい」とあいさつ。そのひとつの形として、「こんなアニメーションをつくってみたい、こんな映画をつくってみたいと、クリエイターないし制作会社は企画をピッチする。それを聞くのはビジネス側の人。この映画祭ではピッチマーケットを演出していきたいと思っています」と、開催の意義を話しました。
また、井上氏はUAEのアニメイベントに招待され、体験した、海外における日本アニメの人気の高まりを例に、「アニメを体験するというのがひとつの国際共通語になっていて、アニメを介していろんな国の人と仲よくなれるというのを実感しました。映画祭でも公開するということだけではなく、交流の場として、国を超えて、民族を超えて仲よくなっていく場をつくれればと思います」と映画祭への思いを伝えました。
続いて数土氏は、日本のアニメ映画祭でのビジネスシーンに言及。AnimeJapanなどで活発に取り引きされている印象があるものの、そこで机上に乗るのは完成した作品が中心で、企画を売り込む映画祭が日本にはあまりなかったと言います。この環境に、「国際化するなかで、アニメの企画も海外に広がっていくというときに、今までとは違う形でアニメをつくりたいという気持ちがあると思います。政府の支援で企画に海外をもっていくというのは盛んですが、日本には(民間で)そういった場所がないということを考えると、ここには何かしらの可能性があるのではないかと思っています。まだ練っている段階ですが、気持ちとしてはそういった場所を突破口に、日本のアニメの広がりをもっと大きくしていきたいというと考えています」と、熱意を言葉にしました。
本映画祭でのプログラムは6つ。2024年1月以降に完成した国内外40分以上の長編アニメーション映画を対象にした「国際コンペティション部門」。ワールドプレミア/ジャパンプレミアを中心にした国内外の最新作・話題作を対象にした「招待上映部門」。国内外の監督にスポットを当てる[ディレクター・フォーカス]、制作スタジオに注目する[スタジオ・フォーカス]、コアファン向けの[カッティング・エッジ]などのテーマを設けた「特集上映部門」。シリーズ作品の魅力、テクノロジーへの挑戦、越境するカルチャーなど、旬な切り口でアニメーションの魅力を紹介する「ニューウェーブ部門」。審査員長やプレミアゲスト監督、招待ゲストによる講演を審査する「基調講演部門」、Critics(批評)、Creative(クリエイティブ)、Cooperation(企業連携)の3つをテーマにアニメーションを深堀して検証。アカデミックとクリエイティブ、さらにピッチやプレゼンテーションなどが登場する「セミナー/カンファレンスプログラム部門」。
これらには各賞が設けられ、「名古屋はこれしかない」(真木)ということで、グランプリは金鯱賞、審査員賞は銀鯱賞、観客賞は赤鯱賞と名称。金鯱賞は100万円、銀鯱賞は50万円、赤鯱賞は20万円の賞金と、それぞれトロフィーが授与されることも発表されました。
各賞のネーミングと同じくシャチをあしらった本映画祭のロゴは、HAL名古屋CG・デザイン・アニメ4年制学科 CGデザイナー専攻の小山田結香さん、世古真鈴さんの2人による共同デザイン。次世代クリエイター育成の一環として、名古屋市でグラフィックを学ぶ学生を対象に公募を行ない、実行委員会での審査も経て採用が決定しました。
2人からはコメントが寄せられ、小山田さんは、「愛知県の象徴であるシャチホコをメインモチーフに据え、若い世代の方々にも親しみをもっていただけるよう、ポップでキャラクター性のあるデザインをめざしました。シャチホコの特徴的な反り返るポーズを生かしつつ、全体を日の丸のような丸いシルエットにまとめています。また、映画の要素としてフィルム用リールの穴やパターンも取り入ることで、開催地やイベントのテーマが自然と伝わるよう心がけました」と、デザインのポイントを伝えてくれる。
世古さんは、「本フェスティバルは、私自身も心待ちしている大切なイベントです。今回、そのシンボルとなるロゴをデザインするなかで、アニメーションがもたらす高揚感や期待感を表現できるよう心がけました。全体は、訪れる方々に親しみをもっていただけるよう、丸みのあるポップな印象にまとめ、またロゴを通して開催地・愛知の魅力にも自然と目を向けていただければと思っています」と、デザインと合わせ、地元開催となる映画祭への期待を寄せます。
最後に、「今までの映画祭と何が違うのかと感じられる方もいると思いますが、気持ちとしてはアジアで一番のアニメーション映画祭にしたいと考えています。東京国際映画祭が日本を代表する実写の映画祭だとすれば、日本を代表するアニメーション映画祭にしていければ嬉しいです」(数土)、「フェスティバル・ディレクターということで、明るく楽しく、みんながアニメーションを通して交流できるような国際映画祭を目指してまいります」(井上)、「映画祭はやっぱり時間がかかるものだと思いますが、なるべく早く定着して、早くたくさんのお客さんに来てほしいと願っています」と、それぞれからメッセージが伝えられました。
なお、本映画祭の会場は名古屋駅近接のミッドランドスクエア シネマ、ミッドランドスクエア シネマ2、109シネマズ名古屋、NAGOYA試写室を中核とした上映施設、NAGOYAモード学園&HALL名古屋の5か所を予定。審査員などは今後発表されるので、ご期待ください。
■第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル
開催期間:2025年12月12日(金)〜17日(水)
開催場所:愛知県名古屋市
会場:ミッドランドスクエア シネマ、ミッドランドスクエア シネマ2、109シネマズ名古屋 ほか
主催:ANIAFF実行委員会
共催:愛知県・名古屋市
リンク:あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・ フィルム・フェスティバル公式サイト
公式X(Twitter)・@AichiNagoyaIAFF