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「お父さんはロマンチスト」「娘は天才」板垣恵介×板垣巴留、夢の親子対談が実現! Netflix『刃牙道』アニメ化&『BEASTARS』新ビジュアルも解禁


2025年9月5日、ストリーミングサービスの巨人・Netflixが日本上陸10周年を祝し、カルチャーの発信地・渋谷でNetflix 10周年記念イベント「次のエピソードへ」を開催。世界的人気作のブースが並ぶなか、初日を飾るスペシャルトークショーとして、漫画界のレジェンド親子、板垣恵介先生(『刃牙』シリーズ)と板垣巴留先生(『BEASTARS』)が登壇し、公開親娘対談が実現しました

『刃牙』と『BEASTARS』。かたや地上最強を目指す格闘家たちの極限の戦いを描き、かたや肉食獣と草食獣が共存する世界で種族を超えた愛と葛藤を描いています。作風は違えど、共に人間の本能と業をえぐり出し、Netflixでのアニメ化をきっかけに世界中のファンを熱狂させてきた両作品。その創造主である二人が何を語るのでしょうか。満員のファンと報道陣が固唾をのんで見守る中、夢のステージが幕を開けました。

「10年前は担当者とトラブってた(笑)」二人が振り返る激動の10年


板垣恵介先生


ステージに現れた両先生。Netflix10周年のお祝いコメントを求められると、恵介先生は「まずはおめでとうございます」と祝福しつつ、「10年前……あんまり良い担当者じゃなかった。色々トラブってたな」と、いきなり“板垣節”全開の暴露で会場の爆笑を誘う。過酷な週刊連載の最前線で戦い続けてきた当時を振り返り、「今より仕事は重かったかな。体力もあったしね」と、その凄まじい創作の日々を飄々と語りました。


板垣巴留先生


一方、巴留先生は「Netflix10周年おめでとうございます。私も実は来年でデビュー10周年なので、10年という時間の重みを実感しています」と、自身のキャリアと重ね合わせて感慨深げにコメント。奇しくもNetflixの歩みと自身の作家としての歩みがシンクロしていることに、不思議な縁を感じているようです。

「そういうことになったんだ」「期待しないようにしていた」初アニメ化の心境

自身の作品が初めてアニメ化されると聞いた時の心境は、両者で対照的でした。恵介先生は「もともとアニメを前提に始めた作品ではないので、『ああ、そういうことになったんだ』という感じ。そんなに喜んではいない」と、あくまでクールなスタンス。しかし、「アニメーターの力がすごい。キャラクターの顔とか動きとか、素晴らしい出来だった。特に顔はね、僕の絵より巧いんじゃないかと思う時もある」と続け、制作者への最大級のリスペクトを口にしました。

対して巴留先生は「漫画家にとってアニメ化は夢ですけど、企画が頓挫することも多いと聞くので、あまり期待しないようにしていました」と、クリエイターならではの慎重な心境を吐露。「いざ制作が始まって、声優さんの声を聞いたり、色がついて動いているのを観たりして、じわじわと喜びがこみ上げてきましたね」と、自身の分身であるキャラクターたちが命を吹き込まれていく過程の感動を語りました。また、アニメ制作にあたり「声優さんには、あまりアニメっぽくデフォルメせず、実写の映画のような自然な喋り方をしてくださいとお願いしました」と、作品の持つ繊細な空気感を守るためのこだわりを明かしました。

「これは売れるなと」「お父さんはロマンチスト」互いの作品と才能を語る

イベントの核心とも言える、お互いの作品に対するトークでは、親娘として、そして同じ漫画家として、二人のユニークで深い関係性が浮かび上がりました。

巴留先生の才能について問われた恵介先生は、食い気味に「いや、天才だと思う。すげえなと」と即答。「これは売れるな、と確信していた。彼女が大学時代に描いた創作物を見た時に『お前はこれに一生食わしてもらうことになるぞ』と言いました(笑)」と、デビュー前からその非凡さを見抜いていたという驚愕のエピソードを披露。これには巴留先生も「覚えてます」と恥ずかしそうに頷き、会場に詰めかけたファンから感嘆の声が漏れていました。

逆に巴留先生は、物心ついた頃から家にあった『刃牙』を読んできたと明かし、「一見、男性の筋肉や戦いのロマンを描いている作品に見えるんですけど、すごく叙情的なシーンがたくさんあって、詩的だなと感じていました。だから、お父さんはロマンチストなんだろうなって思いながら読んでました」と、独自の鋭い作品評を展開。キャラクターが見せるふとした寂しさや、強さの先にある虚無感といった部分に、父の作家としての本質を見抜いていたようだ。娘からの思わぬ分析に、百戦錬磨の恵介先生が「……そうかなあ」と照れる貴重な一幕も見られました。

熱狂のサプライズ!『刃牙道』アニメ化決定&『BEASTARS』新ビジュアル解禁!


(C)板垣恵介(秋田書店)/刃牙道製作委員会、(C)板垣巴留(秋田書店)/東宝


トークが最高潮に達したところで、ファンへのビッグサプライズが立て続けに発表されました。まずは『刃牙』シリーズから、続編にあたる『刃牙道』がNetflixシリーズとして2026年に世界独占配信されることが決定! 伝説の剣豪・宮本武蔵が現代に蘇り、範馬刃牙ら猛者たちと死闘を繰り広げる衝撃の物語が、ついにアニメとなって動き出す。会場ではティザーアートとティザーPVが初公開され、ファンからは期待のどよめきが起こりました。恵介先生は「自信あります」と、そのクオリティに太鼓判を押していました。

続いて『BEASTARS』からは、『BEASTARS FINAL SEASON』Part 2の新たな場面写真4点が世界初解禁され、会場からは大きな拍手が送られた。物語が最終章へ向けて加速していくことを予感させるビジュアルに、ファンの期待は高まるばかりです。


(C)板垣巴留(秋田書店)/東宝


最後のメッセージ「いつでも帰ってきます」「変わらず続けていきます」

イベントの最後には、両先生からファンへのメッセージが送られました。

巴留先生は「『BEASTARS』は完結して結構経つ作品ですけど、未だに続きやスピンオフを、と言ってくださる方がたくさんいて本当にありがたいです。私にとって故郷のような大切な作品なので、いつでも帰ってきますし、書きたいと思えばいつでも書ける。これからも皆さんと一緒にこの世界を大切にしていきたいです」と、作品への愛情とファンへの深い感謝を語りました。

そして恵介先生は、「人生で初めての言葉を言います」と厳かに前置きし、「お足元の悪いなか、本日はご来場いただき、誠にありがとうございました」と、まさかの完璧な定型挨拶で会場を最後の爆笑に包んだあと、「変わらず描き続けていきますんで、よろしく」と、らしく締めくくりました。

クリエーターとしての矜持、互いへの揺るぎないリスペクト、そして家族ならではの温かいユーモアに満ちた奇跡のような1時間。板垣恵介と板垣巴留という二人の天才が、これからも日本の、世界のエンターテインメント界を牽引していくことを確信させられる濃密なイベントとなりました。

【取材・文/岡本大介】

「刃牙道」
Netflixシリーズ「刃牙道」2026年独占配信
(C)板垣恵介(秋田書店)/刃牙道製作委員会
https://www.netflix.com/title/81922765
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「BEASTARS FINAL SEASON」
Netflixシリーズ「BEASTARS FINALSEASON」Part1:独占配信中、Part2:2026年独占配信
(C)板垣巴留(秋田書店)/東宝
https://www.netflix.com/title/81054847

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