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『スター・ウォーズ』アニメプロジェクト始動! 「『スター・ウォーズ:ビジョンズ』ジャパンキックオフイベント」レポート!

2021年07月15日 19:46配信
「『スター・ウォーズ:ビジョンズ』ジャパンキックオフイベント」より

「『スター・ウォーズ:ビジョンズ』ジャパンキックオフイベント」より

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7月14日(水)、「『スター・ウォーズ:ビジョンズ』ジャパンキックオフイベント」が行われました。

『スター・ウォーズ:ビジョンズ』は、スター・ウォーズ史上初のアニメプロジェクト。日本を代表するアニメスタジオである「神風動画」「キネマシトラス」「サイエンス SARU」「ジェノスタジオ」「スタジオコロリド」「トリガー」「プロダクション I.G」の7スタジオが参加し、アニメスタジオ独自の“ビジョン”から自由な発想で『スター・ウォーズ』の短編アニメーションを制作する企画です。

下記が発表されている全9タイトルと担当するアニメスタジオとなっています。

■『The Duel』/神風動画(水﨑淳平総監督)
■『村の花嫁』/キネマシトラス(垪和等監督)
■『TO-B1』/サイエンス SARU(アベル・ゴンゴラ監督)
■『赤霧』/サイエンス SARU(チェ・ウニョン監督)
■『のらうさドロップと緋桜お蝶』/ジェノスタジオ(五十嵐祐貴監督)
■『タトゥイーン・ラプソディ』/スタジオコロリド(木村卓監督)
■『THE TWINS』/トリガー(今石洋之監督)
■『The Elder』/トリガー(大塚雅彦監督)
■『九人目のジェダイ』/Production IG(神山健治監督)

本キックオフイベントでは、各スタジオを代表する監督が一堂に会したほか、スペシャルゲストとして『スター・ウォーズ』を愛する市川紗椰さんも登壇しました。

まず最初に挨拶をしたのは『スター・ウォーズ』のファンである市川さん。「世界中で人気の『スター・ウォーズ』と日本を代表するアニメスタジオたちがタッグを組むというのはすごく贅沢ですよね」と、目を輝かせてコメントしました。

その後、「ルーカスフィルム」のエグゼクティブ・プロデューサーであるジェームズ・オーさんのコメント映像が投影され、日本のアニメがルーカスフィルムに大きな影響を与えていること、今回の『スター・ウォーズ:ビジョンズ』では正史に囚われない自由な発想でアニメを作ってほしいと思っていたことなどが語られました。

その後、「神風動画」の水﨑淳平総監督、「キネマシトラス」の垪和等監督、「サイエンス SARU」のチェ・ウニョン監督、アベル・ゴンゴラ監督、「ジェノスタジオ」の五十嵐祐貴監督、「スタジオコロリド」の木村卓監督、「トリガー」の今石洋之監督、大塚雅彦監督、「プロダクション I.G」の神山健治監督というそうそうたる顔ぶれが登壇。フォトセッション後、二組に分かれたトークセッションがスタートしました。

<第一部トークセッション>

――作品の設定や込められたメッセージについて教えてください。

水﨑 『スター・ウォーズ』はシスとジェダイ、帝国軍と反乱軍という対立構造からドラマが作られていると思いますが、この作品では力を持った者たちが個人的な理由で戦います。それが『The Duel』というタイトルにも込められています。

垪和 結婚式にはさまざまな場所から多くの人々が集まるので、花嫁というテーマにすることでいろんな世界のいろんな風習を描くことができるのではないかと考えました。

ウニョン ひとりのジェダイとプリンセスのラブストーリー。ハッピーエンドではないが、ふたりと仲間を取り巻くロードムービーを楽しんでいただきたいです。

アベル 『TO-B1』は主人公が小さなドロイド。このドロイドは小さな夢を持っていますが、より大きなもののためにその夢を諦めて成長していくという物語になっています。

――どのような点がチャレンジングでしたか?

垪和 このお話をいただいたこと自体がチャレンジでした。日本人が『スター・ウォーズ』を作るならそれはどんな形になるだろう、というのを絞り出しました。

アベル 日本アニメとスター・ウォーズ・ユニバースの両方へのリスペクトのバランスを取るのがとくに難しかったですね。

――どのような意気込みで制作に当たりましたか?

水﨑 『スター・ウォーズ』の各エピソードをリアルタイムで追ってきたのは、今の若い子たちではなくその親の世代なんです。だからこそこの作品を作ることで、親世代に対する親孝行になるのではないかと思い、制作にあたりました。

ウニョン 『スター・ウォーズ』は子どもの頃に観ていてSF作品として強く記憶に残っている作品。そこに大人になって自分が関われるというのは光栄だしチャンスだと思いました。

――これまでの制作経験はどういうところに表れていますか?

水﨑 アメリカのファンが愛している作品をテーマに新たな作品を作る、という経験を何度かさせていただいたのですが、その際、これまで概念を壊すという勢いで作ってきました。それがいい形でファンの方に受けてきたので、今回の『スター・ウォーズ:ビジョンズ』も今までの自分たちのスタイル通り、概念を壊すような作り方をさせていただきました。

垪和 最近だと『メイドインアビス』という作品の監督をやらせていただきましたが、『メイドインアビス』は自然を描くことをテーマとしている部分がありまして。今回の『村の花嫁』も村の文化を描くということを通して、その周辺の自然を描きだせていると思います。

ウニョン スタジオとしてはつねに新しいものにチャレンジしたいと思っています。今回も若いスタッフが自分からドンドンアイデアを出していったので、これまで作ってきたものとは違う新しい作品になっています。

アベル 個人的には過去に作ってきた作品の影響が今回の『TO-B1』にも表れていると思います。これまで自分が作ってきた作品を知っている方には、過去の作品に通ずる雰囲気を感じていただけるのではないかと思います。

――ここまでお話を聞いていかがですか、市川さん。

市川 ジョージ・ルーカス氏と同じものを作るのではなく、自分たちだからこそ作れるものを作るという強い気持ちが伝わってきましたね。

――ちなみに、市川さんが作品を作るならどのようなものになりますか?

市川 クリエイターの皆様がいらっしゃるところで恐縮ではあるのですが、世界観のなかに自分だけの設定を妄想する余地が残っている点が『スター・ウォーズ』の魅力のひとつだと思っています。私は中学生のときに『スター・ウォーズ』の同人誌を描いていたのですが、ボバ・フェットをよく出していたので、今作るとしてもきっとボバ・フェットが何度も登場します(笑)。

<第二部トークセッション>

――作品の設定や込められたメッセージについて教えてください。

五十嵐 スター・ウォーズ世界の中だとエピソード3から4の間。オリジナルの惑星が舞台です。自然を愛する人たちの星に帝国の前哨基地がどんどん作られて、新しいテクノロジーがもたらされるけど現地人から反感を買っている。そんな状況の中で、任侠的な家業のひとり娘・お蝶とウサギ型の人間種族が出会います。その出会いを通して、血がつながっていない家族の物語を描きたいです。

木村 ロックミュージックを志すバンドの物語です。豪華なライブシーンやバンド同士の友情、絆といったものを描く中で、自分たちのやれること、やりたいことをやり抜こうというメッセージが込められています。

今石 世界観的には本編のさらに未来。宇宙のどこかに潜んでいた帝国軍の残党が双子の暗黒卿を生み出して暗躍しようとする、という設定。主人公の兄弟ふたりが戦いの中で成長して、新しい可能性を見せていくところにメッセージ性を感じ取っていただければと思います。

大塚 『The Elder』ではエピソード1よりも古い時代を描きます。これが初めての『スター・ウォーズ』作品になる方もいらっしゃると思うので、映画を観ていなくとも『スター・ウォーズ』らしさを感じてほしいという思いを込めて作りました。物語としてはジェダイの師弟関係にあるふたりがとある辺境の星で事件に出会う、というものになっています。

神山 エピソード9のあとの時代を設定しています。銀河系はあのあと平和になったのかどうか、というところを通して、ライトセーバーとジェダイの魅力をあらためて伝えるものを描きたいなと。ルーク・スカイウォーカーが宇宙という大海原に旅立って冒険するというのが『スター・ウォーズ』の原点だと思うので、この作品でもそういった冒険譚を描きたかったんです。

――みなさんがプレッシャーを感じたのはどんなところでしょうか?

木村 既存のキャラとしてジャバ・ザ・ハットなどが登場しますが、あくまでサブキャラですし、新しいキャラを主人公にするのはプレッシャーでした。そんなキャラたちがどう成長するか、みたいなところで作品としてのおもしろさを目指しています。

神山 僕はオリジナルキャラが出てこない作品を作らせていただきましたが、『スター・ウォーズ』を初めて13歳のときに観て、この作品を作る人になりたいと思ったんです。だから作ることが決まったときは喜びしかなかったです。プレッシャーよりも子どものように無邪気な気持ちのほうが大きかったですね。

――音楽で意識した点についても教えてください。

五十嵐 『スター・ウォーズ』はオーケストラエディションが印象的に聞こえるので、そこを基準にオーケストラを使っていこうと。そこにオリジナルの要素として和のテイストも入れてミックスさせていくことを意識しました。

今石 純粋なフルオーケストラも初めてでしたが、映像を先に作ってから作曲をしていただくのも初めてでした。初めての試みばかりですが、映像の中に過去の作品を思い出すようなシチュエーションを入れているので、楽曲でも過去の作品をリスペクトしたかったんです。

大塚 今石さんと方向性を変えようというところから、日本風の音楽でやったらおもしろいのではと思いまして、あえて時代劇のような雰囲気を意識した楽曲にしています。

――これまでの制作経験はどういうところに表れていますか?

五十嵐 僕は普段はアニメーターとして仕事をしている人間で、監督は初めてなので、自分が仕事をしてみたいと思っていた方たちにお声がけして作りました。ひとつひとつ信頼できるスタッフの方にお願いしてゼロから作っています。

木村 自分も今回が初めての監督ですが、「スタジオコロリド」さんにシンプルなデザインの表現性や色彩を存分に出していただきました。若いスタッフさんが多いのでフレッシュさも出ているのではないかと思います。

今石 『プロメア』のメインスタッフをほぼそのまま移行しているので、『プロメア』のときに僕が試行錯誤して上手くいった部分を余すことなく生かしきっています。そこに『スター・ウォーズ』らしさを入れた形です。

大塚 中学時代に『スター・ウォーズ』を初めて見て大ファンになり、高校時代に『スター・ウォーズ』をモチーフにした時代劇風の人形劇を作ったんです。そのイメージはありましたね。あとは今石さんの作品とはテイストかえたいと思って、普段やらないような試みを取り入れています。

神山 ここ数年は3DCGを使ったアニメを多く手掛けていましたが、今回は久しぶりに手描きのアニメーションで作りました。手書きの熱量はCGとはまた違う魅力があるので、そういった作画のよさを全面に出しています。

――最後に市川さん、これまでお話を伺ってきて如何でしたか?

市川 熱量の高い方たちが作る『スター・ウォーズ』がどんな形になるのか楽しみです。『スター・ウォーズ』が好きな方とアニメが好きな方の間にはまだ距離があると思うので、『スター・ウォーズ』ファンがアニメに、アニメファンが『スター・ウォーズ』に、そういった交流をが活発になればいいなと思います。


『スター・ウォーズ:ビジョンズ』はDisney+にて9月22日(水)より独占配信が行なわれます。

【取材・文 水葉龍弥(パワフルプロダクション)】