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『リゼロス』1周年記念!原作者・長月達平氏×小林裕介の対談インタビュー、NT未掲載対談を公開!

2021年10月07日 18:00配信
「Re:ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories」
「Re:ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories」(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会 (C)SEGA

『Re:ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories』(以下『リゼロス』)は、原作者・長月達平氏が完全監修した、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』の公式スマートフォン向けゲーム。原作を追体験できるほか、ここでしか読めないIFストーリーやオリジナルストーリーを楽しむことができる。
そんな『リゼロス』では、ナツキ・スバルの20年後を描いたIFストーリー、新章2「ゼロカラアガナウイセカイセイカツ」が公開中だ。“復讐”をテーマにした、『リゼロ』ファンにはたまらない、シリアスで胸を抉るようなストーリーとなっている。
ここでは、『ニュータイプ10月号』には掲載しきれなかった、原作者・長月達平氏と小林裕介(ナツキ・スバル役)さんのインタビューを公開! 新章2の後編について、じっくり語ってもらった。

1周年記念描き下ろし記憶結晶「一年分の記憶と共に、次の一歩へシオンと思い出★3」
1周年記念描き下ろし記憶結晶「一年分の記憶と共に、次の一歩へシオンと思い出★3」(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会 (C)SEGA

――先日1周年を迎えた『リゼロス』。反響や、実際プレイしてみての印象などをお聞かせください。

長月 僕はお話作りの段階からかかわっていたこともあって、2~3年かけて準備してきたものが、すさまじい勢いでローンチされていくので、戦々恐々としています(笑)。

小林 あはは。僕は、『リゼロス』を楽しんでくださっている方って、ここでしか読めないIFストーリーを心待ちにしてくださっている方が多いんだなと実感しました。SNSだけじゃなく、僕のラジオ番組にも感想が届くんです。新章2が公開されたときも「何で前編だけなんだ!」と嘆いてる人がすごく多くて。確かに、あそこでじらされると、みんなもモヤモヤするよねと思いつつ、いい意味で『リゼロス』の術中にはまってくれてるなと(笑)。僕自身も、収録した部分のシナリオはもちろん把握しているのですが、それ以外の部分のシナリオはいただいていなかったので、前編ラストのフェリスとスバルのシーンはプレイして初めて触れたんです。

長月 そうだったんですね。

小林 だから、驚きましたし、新章2のストーリーは、スバルのイヤな部分が色濃く出ているシナリオだなと思いました。いろんな人を巻き込んで迷惑をかけながら、自分の復讐を果たそうとしているわけですからね。よくも悪くも、スバルらしさ全開のシナリオだなと感じました。

新章2 ゼロカラアガナウイセカイセイカツ(前編)
新章2 ゼロカラアガナウイセカイセイカツ(前編)(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会 (C)SEGA


――『新章2 ゼロカラアガナウイセカイセイカツ』は、どんなふうに生まれたのでしょうか?

長月 もともとWEBではスバルの誕生日(4月1日)にIFストーリーを公開していたので、『リゼロス』でもいずれやろうとは思っていて。もし新しいIFストーリーを作るとして、どこで分岐させようか皆で考えたときに、制作陣の誰かが、第15話でレムがペテルギウスに殺されるところを挙げてくれたんです。そこから、第15話でレムに「生きて」と言われたあと、ロズワール邸に帰って死ぬスバルの本編ルートとは別に、帰らずに死ねなかったスバルのIFルートを考えていきました。スタート地点が決まってからは、わりとスムーズに作れた気がします。まあ、スバルにとっては、どちらを選ぶかでこんなにも壮絶な未来が待っているとは思ってもいないでしょうけどね。

小林 確かに(笑)。

長月 あの時点のスバルは、原作3章を乗り越えていないメンタルなので、エミリアとの約束を破って喧嘩したときも、自分が悪いとは思っていないんです。そのメンタルでレムに「生きて」と呪いのような言葉をかけられたら、怖くて死に戻りもできず、ペテルギウスを殺すことだけを考えて生きていくだろうなと。20年後でもまだロム爺やフェリスに甘えているのがいい例ですよね。

――20年後という設定ゆえの苦労はありましたか?

長月 当然スバルは20年分、歳を取っているわけですが、他のキャラクターのそんな姿は僕自身あまりイメージしたくなくて。きっといい歳の取り方をしているとは思いますが、中年になったユリウスとラインハルトって見たくないでしょう? 

小林 あはは!

長月 きっと皆さんもそれは望んでいないだろうなと思ったので、ベアトリス、フェリス、エルザという、20年後も見た目が変わらないメンバーを登場させたんです。それに、スバルが道を踏み外すと、そばに来てくれるのはエルザかなと。

小林 あれだけスバルの腸を引き裂きたがっていたエルザとのファーストコンタクトがどんなものだったのかはすごく気になっていて、勝手にいろいろ妄想しました(笑)。

――先生が考えた、20年後に至るまでのそれぞれの物語もぜひお聞きしたいです。

長月 まず、ペテルギウスが屋敷に攻めて来ても、禁書庫は閉じているのでベアトリスは無事だろうし、スバルがいなければ絶対にクルシュ陣営は白鯨戦に負けてしまうので、クルシュ亡き後のフェリスは絶対に精神崩壊を起こしているはずなんです。20年も経っていればある程度自我が戻っているだろう、そしたらきっと診療所でもやっているかな? というところから考えてきました。エルザがスバルと再会したタイミングは、スバルの目が死んでいる状態なので、腸からも興味を失っているだろうなと。殺す興味もないはずなので、再会してすぐに殺すなんてことにはなっていないんです。

小林 なるほど!

長月 ただ、スバルの復讐心や執念を見ているうちに、別な興味が募っていって、どこか近しいものを感じているんじゃないかなと。ロム爺に関しても、変わらずにあそこにいるということは、王選でフェルトは勝てなかったのかな。もしくはロム爺が身を引いてあそこにいるというのものありえますよね。どちらにせよ、エミリア陣営とクルシュ陣営が不在であれば、残るフェルト・プリシラ・アナスタシアの3陣営どこが勝ってもおかしくないだろうなと思っています。具体的に書かなかったのは、あとあと自分の首を絞めないためですけど(笑)。

――復讐を描くことにした理由は?

長月 20年かけてまでやることといったら、復讐しかないんです。『アガナウ』のテーマもずばり復讐。個人的な意見としては、“復讐は何も生まない”という論理が好きじゃなくて。復讐に価値はある。ただ、復讐にも正しいやり方と間違ったやり方があるとは思っていて。3章を乗り越えていないメンタルのスバルが選んだ復讐は、当然ながら間違った道を行き、間違った結末にたどり着くわけです。そのルールは、IFルートでも健在ですね。フェリスの弱みを握って仲間に引き込むようなことをしたスバルには、それ相応のものが降りかかってしかるべきだろうなと。

――収録はつらかったのでは?

小林 アニメで4章まで演じてしまった身としては、2章や3章前半の明るくてウザかった頃のスバルに戻るのがつらくなってきました。それから、ペテルギウスといえばというお馴染みのシーンがあるのですが、改めて松岡禎丞ってすごいなと思いました。

長月 ペテルギウスといえばなのか、小林さんといえばなのか……。

小林 あはは! そのシーンは、達平先生も大絶賛してくださったのでうれしかったです。

長月 アニメ本編のときも思いましたが、あれだけの熱量のお芝居を一発で決めるのはすごいですよね。

小林 ありがとうございます。これは僕自身の雑念になっちゃうのですが、「禎丞のテンションには負けたくない」という意地もあったので、とにかく必死で演じました。だから、正直あまり記憶がないんです。プレイして、自分の芝居を確かめようと思います。

――アニメと違って、絵が常にあるわけではないゲームですが、演じるうえで難しかったシーンなどございますか?

小林 達平先生がすごいのは、脚本を読めば、そのシーンの情景や状況がすんなりはいってくるところ。キャラ作りをするうえでどうすればいいか迷った点はないといってもいいくらい、直接的にも間接的にもうまく脚本に盛り込まれているんです。ただ、20年という重みをどう出すかは、自分次第だったので難しい部分ではありましたね。それでも要所要所にヒントとなる描写がちりばめられていたので、すごく助かりました。“追憶郷クエスト”に登場するアルコルとの差別化は意識しましたが、『アガナウ』のスバルは、スバルのまま心が擦り切れていっている印象を受けて、台本を読んでいてもアルコルとの違いを明確に感じることできたんです。アルコルの役作りは苦労しましたが、こっちのスバルはベースがそのままだったので、そこまで苦労はありませんでした。

新章2 ゼロカラアガナウイセカイセイカツ(後編)
新章2 ゼロカラアガナウイセカイセイカツ(後編)(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会 (C)SEGA


――ベアトリス、フェリス、エルザ、それぞれのルートの見どころを教えてください。

長月 大きな違いはそこまでないのですが、20年後のそれぞれとの関係性をどう決着させるかという部分は大切にしました。ペテルギウスを殺すために寄せ集めたメンバーだったけれども、一人ひとりとどう絆を深めていくかは、突き詰めて描いていきました。エルザとどう協力関係を築いたのか。フェリスとの最悪な関係がどうなるのか。このベアトリスはどういう終わりを望むのか。そういった部分を楽しんでもらえるといいかなと思います。ペテルギウスを殺すのがスバルの目的ですが、どうやって殺すのかは、誰も求めていないんです。そこよりも、復讐を果たしたスバルがどうなるのか、仲間たちがどうなるのかっていうところがシナリオの核となっているはずなので、それはしっかり描き切ることができたと思います。

小林 個人的にはエルザルートが一番気持ちよく終われた気がします。僕も、復讐そのものになにかしらの意味があるというのは、ある程度理解はできます。でも達成感はあくまでも自分のなかだけのことであって、「周りの人は一体なにを思う?」というのを考えさせるメッセージ性をシナリオから感じました。商売仲間のようなエルザとの関係性もあって、すっきり割り切ることができたのがエルザルートだったので、まずはエルザルートをプレイしようと思います。

――最後まで物語をプレイした後に、“贖い”という言葉の意味を考えて苦しくなりました。

長月 俺、贖うって言葉好きなんですよね。贖うという言葉が内包している、ネガティブなエネルギーが魅力的じゃないですか。俺は割と終わりよければすべて良しと思っているんです。

小林 ちなみに僕も、「こういうエンディングなのでは?」って思い描いていることがあって。

長月 そうなんですか!?

小林 しかも、それを想像しただけで泣いちゃうんですけど。

長月 あははは! いや、でも俺も自分で作った物語にグッとくることはあるので。

小林 達平先生は作者だからいいんですよ。僕の場合はただの読者の妄想なので(笑)。

長月 ほぼスバルをトレースできている小林さんなら、もしかしたら物語のエンディングも僕と同じものを考えているかもしれませんよ。

小林 いやいや……! 何年後になるかわかりませんが、いつか答え合わせできる日を楽しみにしています。

長月 その時は、どんなエンディングを想像していたのか教えてくださいね。

小林 わかりました!

長月 「そっちにしておけばよかった!」と思うくらいいいエンディングだったらどうしよう……。

小林 それはないですって(笑)。

――なかなか重い新章2ですが、「これはIFストーリーなんだ」と思えば、という言葉に救われる人は多そうですね。

長月 確かに。ひとつ言えることは、スバルがたくさんの選択肢の中から一番ラクをしようとすると、バッドエンドに転がるようになっているんです。『アガナウ』もつらいと思いますが、本編のほうがよっぽどつらいので、ご安心ください。

小林 (笑)。

長月 『リゼロ』は、どのIFよりも本編が一番辛い物語。ラクをするとこういうことになるよっていうのが『アガナウ』だと思って読んでいただければと思います

小林 このストーリーを“ラクをしたから”といえる達平先生のことが僕は怖い!

長月 スバルが甘えるとこうなります!

小林 き、気を付けます……(笑)。

【取材・文/実川瑞穂】

■スマートフォンゲーム「Re:ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories」
対応OS:iOS/Android
価格:基本無料(アイテム課金あり)
ジャンル:アドベンチャーRPG
メーカー:セガ

リンク:「リゼロス」公式サイト
    公式Twitter・@re_zero_rezelos