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「ウルトラQ」で浦沢直樹が”ベスト”と認める「2020年の挑戦」を上映、2月には「ガラモンの逆襲」も

2018年11月19日 14:30配信
「ウルトラQ」で浦沢直樹が”ベスト”と認める「2020年の挑戦」を上映、2月には「ガラモンの逆襲」も

左から江戸川由利子役の桜井浩子さん、浦沢直樹さん、飯島敏宏さん、戸川一平役の西條康彦さん

(C) TSUBURAYA PRODUCTIONS Co., Ltd.

11月17日(土)、イオンシネマ板橋にて「『ULTRAMAN ARCHIVES』Premium Theaterスペシャルトーク&上映会」が開催されました。

これは円谷プロダクションが、「ウルトラマン」シリーズの魅力を多く人に伝えるために立ち上げた「ULTRAMAN ARCHIVES」プロジェクトの始動に合わせて行われるイベントの第1弾。イベントではシリーズの原点となった1966年放送の「ウルトラQ」から「2020年の挑戦」の上映を挟んで、マンガ家の浦沢直樹さんと同エピソードの監督・飯島敏宏さんを迎えたトークが行われました。

「ウルトラQ」はアメリカのSFドラマシリーズ「トワイライト・ゾーン」などをヒントに、円谷英二さんによる構想から制作された1話完結型のSFドラマ。子供向けの怪獣路線と大人向けのSF路線のエピソードが混合しているのが特徴ですが、上映前のトークパートに登場したリアルタイム世代の浦沢さんは「(怪獣路線のエピソードを観て)子供を舐めるなよと思い、大人向けのほうを喜んで観ていた」と自身が早熟だったことを打ち明けます。

続けて「ウルトラQ」から強く影響を受けたという浦沢さんは、その一例として「本格科学冒険漫画 20世紀少年」の登場人物・万丈目胤舟の名字が、「ウルトラQ」の主人公・万城目淳からの引用であること明かします。そんな浦沢さんが「ウルトラQ」のベストエピソードとして語ったのが「最恐だった」という「悪魔ッ子」と「2020年の挑戦」。「2020年の挑戦」の注目ポイントとして、登場宇宙人のケムール人のスッとしたスタイルを挙げながら「スーツアクターの古谷敏さんは、あのスタイルだからのちにウルトラマン(のスーツアクター)にも抜擢されたのかな」と推測しました。

また浦沢さんはライブドローイングとしてケムール人を描くことに。当初は「今日はマニアックな人が集まっているから、圧を感じる」とこぼす浦沢さんでしたが、いざ描き始めるとそのスピードと精緻さから客席からは感嘆の声が。絵が完成すると、劇中BGMが鳴り響く中、ケムール人が客席から登場しファンを喜ばせます。

ケムール人が引き起こした人間消失事件を巡るエピソード「2020年の挑戦」の上映後は、飯島敏宏さんによるトークが始まります。浦沢さんもライブドローイングで描いたケムール人の特徴的な走り方について、飯島さんは「当初はローラースケートを履かせる予定だった。でもスーツは8キロもあり、中にある機械はうるさく足元も見えなかったため危険と判断し断念した」と明かします。しかしローラースケートを履かせる代わりに、大股で走らせたことで逆にうまく特徴付けができたという秘話が語られます。

また「ウルトラQ」はTBSから出向してきた飯島さんと円谷プロダクションに所属する20代のスタッフ、そして東宝がキャスティングした俳優陣という変わった面々で作られたという話題も。この内、飯島さんは「2020年の挑戦」で活躍するカメラマン・江戸川由利子役の桜井浩子さんについて「彼女は東宝からお預かりした大事なお姫様。丁寧に、腰を低くしてお願いした」と当時を振り返ります。

ふたたび会場に現れた浦沢さんがトークに加わると、話題は「2020年の挑戦」のオチへ。飯島さんが「当初は最後に刑事が消えるという予定はなかった。あれはテレビ的な発想」と明かすと、浦沢さんは「大団円で終わらせず、最後にひっくり返すというあのオチには影響を受けた」と嬉しそうに語りました。

医学の驚異的な発達により長寿となったものの、高齢化により身体が衰えた宇宙人・ケムール人。「2020年の挑戦」はそのケムール人を通じて近未来の人類の行方を扱っており、司会からそういったディープなテーマをエンターテイメントで包むという作風を指摘された飯島さんは、「僕は大衆作家」「たとえば戦争反対とか(声高に)口にするのではなく、観終わった後にじわっと感じてもらえるものにしたかった」と自身のスタンスを表明。浦沢さんもそれに同調し、「家族が揃ってみんなでテレビを観るような“お茶の間感”が大事だと思っている。みんなで楽しむという文化が復活してほしい」とコメントしていました。

トークショーが終わり、フォトセッションではサプライズゲストとして江戸川由利子役の桜井浩子さんと戸川一平役の西條康彦さんが登場。トークゲストの2人に花束を渡すと、桜井さんは「今日はこんなに大きな画面で観られて嬉しかった。このプロジェクトを通じて『ウルトラ』シリーズをさらに好きになってくれれば」と応援してくれているファンに感謝のコメントを送ります。また西條さんは劇中で一平が着用している星川航空の帽子を客席から手渡され、つばを斜めにした“一平かぶり”を披露して笑顔を見せていました。

なお「ULTRAMAN ARCHIVES」プロジェクトでは2019年2月20日(水)に「2020年の挑戦」を収録したBlu-ray/DVDをリリース。またイベント第2弾として、2019年2月16日(金)には「ガラモンの逆襲」の上映が開催される予定です。

【取材・文:はるのおと】