新作&おすすめアニメのすべてがわかる!
「月刊ニュータイプ」公式サイト
あてもなく、気ままに諸国を旅する少女・イレイナ。行く先々でさまざまな文化や慣習に触れ、幾多の人と出会いを果たしますが、旅人である彼女は決して一か所に留まることはなく、再び旅の途へと戻っていきます。これはまだ若き魔女の、出会いと別れの物語――。
ついに放送が始まったTVアニメ「魔女の旅々(魔女旅) 」は、原作・白石定規さん、イラスト・あずーるさんによる同名の連作短編式ファンタジーノベルを原作としたTVアニメです。WebNewtypeではそんな本作の魅力を掘り下げるべく、スタッフやキャスト陣へのリレーインタビューをお届けしていきます。連載第3回は、再び原作の白石定規さんにお話をうかがいました。
――リレーインタビュー第1回に引き続き、お話をうかがいます! いきなり話題が逸れてしまうようですが、白石さんのペンネームにはどのような由来があるのでしょうか?
白石 「魔女旅」を自費出版したときは「定規」というペンネームだったのですが、これは自分の本名に形が似ている字を組み合わせたものです。書籍化する際に白石という名字を加えましたがこれも本名ではなく、名前(定規)と合わせたときに口にしやすい響きのものがいいなと思って付けました。
――「魔女旅」はイレイナの旅物語となっていますが、旅というものをどう書こうと考えられていますか?
白石 旅を書く、とひと言にいってもフォーカスできるところはさまざまなものがあって、例えば未知の文化や風習に触れる、というのもテーマになりえますよね。ですが、僕はこの作品ではあくまで「旅を通じての出会いと別れ」を重点的に書きたいと思っています。
――原作では、ゲストキャラに救いがないような重いエピソードも散見されますが、そうしたお話を書かれるのもお好きなのでしょうか。
白石 実は、大好きなんです(笑)。僕は海外の刑事ドラマなどを見るのも好きなのですが、連作短編式のドラマはゲストキャラが徹頭徹尾不幸な目に遭って終わったりするんですよね。そういうのを、自分でも書いてみたいなと。
暗い話ばかりでは読者のみなさんに喜んでいただけないと思いますのでほどほどにしていますが、「最後まで救いのない話」は連作短編という形式だからこそできるものだと思っています。できるなら、今後も1巻に1話くらいは入れたいなと思っています。
――原作イラストのあずーるさんも、本作の暗い話は印象に残るとお話されていました(笑)。さて、いよいよアニメの放送が始まりましたが、まずはアニメ化を知ったときのお気持ちから教えてください。
白石 原作を読んでいただけている方はお分かりだと思いますが、「魔女旅」は第3巻でひと区切りをむかえた作品でしたので、ついにここまできたんだと感慨深くなりました。評判が少しずつ広がっていっている作品なので、不思議な売れ方をする作品だとよく言われます。
――アニメスタッフとはどのようなやりとりをしましたか?
白石 「下着は絶対に見せないでください」ということのみ、お願いさせていただきました。幅広い年齢層の方たちに見ていただきたいと思っている作品ですので、レンジは広く保ちたいなと。こちらからお伝えした大きな要望はそれくらいです。アニメスタッフのみなさんと顔合わせさせていただいたときは、人生最高潮に緊張しましたね……(笑)。
――メインキャストが決まったときの感想を教えてください。
白石 アニメよりも先に書籍特装版の特典として制作されたドラマCDのお話になりますが、こんなそうそうたるみなさんに演じていただけるのかと感動しました。特に、本渡楓さんはさらにそれよりも前に、書籍用のPVでイレイナの声を当ててもらっていますので、作品を書いているときは、脳内でイレイナの声は本渡さんの声で再生されていました。
ドラマCDは収録にも立ち会いをさせていただきましたが、その時はキャストのみなさんの演技よりも、「自分の書いた文章を目の前で演じられる」という気はずかしさの方が大きかったですね(笑)。
――アニメのビジュアルやPVを見ての感想はいかがでしたか?
白石 コンセプトデザインの内尾和正さんが、僕の頭の中にあるイメージより何十倍も綺麗で壮大な世界を描いてくださって、そのプロの仕事ぶりに圧倒されるとともに、こんなにすごい方たちが本当にアニメを作ってくれるんだ、とあらためて実感しました。
エンディングテーマ「灰色のサーガ」を歌ってくれているChouChoさんはTVアニメ「氷菓」のときから大好きなアーティストの1人だったのですが、この曲がまた「魔女旅」にピッタリで! ご本人にも、Twitterでお礼をお伝えしました。
――YouTubeで公開されているPVでは、英語のコメントが数多く見られるのが印象的です。
白石 「魔女旅」は韓国、台湾、タイ、ベトナム、中国などのアジア方面を皮切りに北米でも展開されています。それと、僕はイギリスあたりの海外ドラマで見られる皮肉をまじえたかけあいが好きで、「魔女旅」にもそのテイストは入っています。そんなところが海外のみなさんにも響いたのならうれしいですね。
――アニメも原作もまだまだこれからも続いていくと思いますが、「魔女の旅々」という物語の結末の構想などはあるのでしょうか。
白石 そうですね、大まかには考えてあります。やっぱり、最後はイレイナの故郷の話になるだろうとは思います。
――それでは最後に、アニメに期待することを教えてください。
白石 第1話ではフラン先生が試験と称してイレイナを"いじめる"戦闘シーンがありましたが、僕のイメージの10倍くらいハデに魔法をぶっぱなしてしてビックリするとともに感動しました。原作者の身からしても、アニメを見るのが本当に楽しくてしょうがありません。
第2話以降では、第4話と終盤の話数を見るのが楽しみです。第4話ではとてつもなく大きな化け物が出てきますので、アニメではどうなるのかなと。終盤の話は、書籍執筆時に僕自身すごく楽しみながら書いたエピソードです! キャラクターという意味ではサヤでしょうか。動きと黒沢ともよさんの演技が相まって、原作よりもさらに自由奔放な子になったと思っています。
最後に繰り返しになってしまいますが「魔女の旅々」原作小説は連作短編集の形を取っており、明るかったり、暗かったりと、イレイナの旅を通してさまざまなテイストのエピソードを書いている作品です。こちらも引き続き楽しんでもらえたらうれしいです!
次回の「魔女の旅々」リレーインタビューは、アニメーション制作を手がけるC2Cの早坂一将プロデューサーにお話をうかがいます!