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万城目学&野島一人「メタルギア」対談[その1]

2015年10月26日 16:35配信
万城目学&野島一人「メタルギア」対談[その1]

野島一人さんによる「メタルギア」最新ノベライズ「メタルギア ソリッド ファントムペイン」(KADOKAWA文庫)

そのエンディングと「仕掛け」をめぐって物議をかもしているゲーム「METALGEAR SOLID V:THE PHANTOM PAIN」。それが意味するものについて、ベストセラー作家にして大の「メタルギア」ファンである万城目学と覆面作家・野島一人が語りあう!

■■対談中にゲーム本編および、小説版のネタバレが入ります■■

野島:万城目さんとお会いするのは2度目ですね。たしか「メタルギア」25周年記念パーティの時にご挨拶させていただきました。

万城目:そうですね。……というか、野島さんて小島監督じゃないんですね。僕はてっきり監督ご本人だと、今の今まで思ってました!

野島:すいません。今日の対談は、監督に間をとりもっていただいてセッティングしていたので、事前に監督から聞いておられたかと……。

万城目:この3作は、どのくらいのペースで書いたんですか?

野島:3冊でだいたい10か月くらいですね。

万城目:早いですね! 僕なら3年かかります!

野島:いや、ゼロからつくったわけじゃなく、ベースのシナリオがあるからなんとかなりました。僕は「メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティー」(以下「MGS2」)が、ほんとうに好きなんです。

万城目:ノベライズ版の「MGS2」は特にラストの盛り上がりがいいです。完全にゲームを著者が自分のものに消化してますね。

野島:ありがとうございます。「メタルギアソリッド ピースウォーカー」(以下「PW」)の時は見よう見まねでなんとか最後まで書いた、という感じでしたが、とにかく「MGS2」が好きすぎて、これをなんとかしたい、と思ったんですね。ゲームでしかできない仕掛けを小説ならどう表現できるのか、と考えて、生意気にも出来る、と思ったんです。で、それは「MGS2」単独では成立しないから前作の「メタルギアソリッド」(以下「MGS」)の話も必要だから、という発想で二部構成にしました。

万城目:「PW」はときどきゲームの場面を忠実になぞっている印象がありましたが、「サブスタンス」は、一個の独立した小説になっている。「この人、誰なんやろう、一年で急激にうまくなってる!」なんて生意気なこと思いながら、読んでいました。すみません。

野島:ありがとうございます。僕の悪い癖で、おもしろい小説や映画を観ると、これはメタルギアだ!と賞賛する癖があるんですが、万城目さんの「とっぴんぱらりの風太郎」を読んだ時も、これはメタルだ!と興奮しました。お話のはじまりは、おなじみの万城目ワールドで、ニートの忍者の風太郎が登場するんですが、いろんな思惑に巻きこまれて最後は壮絶なバトルになる。おまけに戦争と経済の話もあって、僕にとってはメタルギアで得る興奮そのものでした。風太郎は僕から見たら完全に雷電です。

万城目:そんなことはじめて言われました(笑)。風太郎、雷電みたいにかっこよくないですよ。「サブスタンス」で特におもしろかったのは、スネークがスニーキングモードになるでしょ、自分で「これから、スニーキングモード!」って宣言するんです。そうすると気づかれない。なるほど、こうやって文章で表現するんだ、って新鮮でした。

野島:あれは完全に忍者です(笑)。僕の勝手な解釈では、スニーキングってそう簡単にできないんです。ザ・ボスとかスネークとか、FOXHOUNDのメンバーや、マスター・ミラーくらい。雷電はようやくできるようになる。だから、「メタルギアソリッドV ザ・ファントム・ペイン」(以下「MGSV」もしくは「V」)のノベライズでは、一度もスニーキングのシーンが出てこないんです。【対談その2に続く】

■万城目学(まきめまなぶ)

1976年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。2006年、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した「鴨川ホルモー」でデビュー。「鹿男あをによし」「プリンセス・トヨトミ」「偉大なる、しゅららぼん」など、多くの作品が映像化されている。最近作に「とっぴんぱらりの風太郎」「悟浄出立

」。文芸カドカワで「バベル九朔」連載中。

また、「メタルギア」シリーズの大ファンでもあり、小島監督とも交流がある。

「MGS V」についてのインタビューはwebサイト「シネマトゥデイ」の以下のページにも。http://www.cinematoday.jp/page/A0004677

■野島一人(のじまひとり)

蛇年。小島監督ではない。「メタルギアソリッド」のノベライズを手がける。