アイドルアニメの華である歌唱シーン。CGや歌など、さまざまな要素で構成されているなかで、忘れてはならないのが振付です。アイドルたちが見せる華麗なダンスは、一体どのように作られているのか。声優アイドル“i☆Ris”や、ガールズダンスボーカルユニット“Prizmmy☆”などアーティストの振付のほか、アニメ「プリパラ」のダンスシーンの振付も担当するMIKAさんに話を聞きました。
■ダンスを始めたのはSPEEDがきっかけ
――これまでの経歴を教えてください。
MIKA:本格的にダンスを始めたのは15歳くらいです。同世代のSPEEDが活躍しているのを見て憧れたのと同時に「私もできるんじゃないか?」と思って。それからしばらく友人とコピーをしたあと、高校入学のタイミングでスクールに通い始めました。
――そこで学んでプロのダンサーになったんですね。
MIKA:はい。特に専属のアーティストはいなかったのですが、色んなアーティスト――いきものがかりさんやL'Arc~en~Cielさんなどのバックダンサーをして、紅白歌合戦やミュージックステーションなどにも出演させてもらいました。
――振付師になったきっかけは?
MIKA:エイベックス・アーティストアカデミーで特待生として1年活動しました。ただ1年を終えたときに「貴女はプレイヤーとしてより、振付やインストラクターのほうが向いている」と言われて、エイベックスさん関連でそういったことをするようになりました。最近はアイドルユニットの振付が多いですが、私は元々かわいい、女の子らしい振付が得意なので、それが上手くリンクしたのかなと思います。
――具体的なダンスのジャンルで言うと?
MIKA:ジャズヒップホップやガールズヒップホップにあたります。ただアイドルのダンスって、既存のジャンル名では表しにくいんですけどね。
――i☆Risはデビューから担当していますね。ということは「プリティーリズム」シリーズに関わるようになったのは「§Rainbow」(「プリティーリズム・レインボーライブ」エンディングテーマ)からでしょうか。
MIKA:そうです。元々スタジオに来る子供たちから聞いて「プリティーリズム」の存在は知っていたものの、なかなか観る機会はなくって。ただ「レインボーライブ」で(i☆Risの芹澤)優ちゃんが出演するようになったので、観るようになりました。
――「プリティーリズム」シリーズでも劇中でダンスをしていましたが、振付師としてどう観られていましたか?
MIKA:スケートを履いて踊っていたので、現実ではなかなか再現が難しそうだな、と(笑)。でも、その異次元な感じが夢があって素敵でしたよね。
■「プリパラ」のダンスは「あまり簡単過ぎないように」?
――振付がどのように作られているか伺います。まず振付にあたってオーダーなどはあるのでしょうか?
MIKA:ケースバイケースですが、たとえばi☆Ris名義でシングルになるような曲は細かい指定はありません。ザックリと世界観だけ聞いて作っています。
――アニメで使われる曲は、また違うと思います。たとえばMIKAさんは「プリパラ」では「Make it!」、「ミラクル☆パラダイス」、「Realize!」、「Jumpin'! Dancin'!」、「Love friend style」を担当されています。
MIKA:「プリパラ」に関しては「子供向けアニメだけど、あまり簡単な振付にし過ぎないように」とi☆Risサイドからは言われています。「声優だけど歌って踊れるアイドルでもある」というのがi☆Risの強みなので。ただ、あまり激しいダンスしてもアニメの世界観やi☆Risのキャラクターと合わないので、ポイントポイントで印象に残るような踊りやすい振りを入れるようにしています。
――物語の流れに合わせた振付もあるかと思います。
MIKA:ありますね。たとえば「Love friend style」では、らぁらとファルルの約束をイメージしてサビの最後に小指を立てるとか。私自身、アニメ「プリパラ」を毎回何周もしてしまうくらいで大好きで(笑)。世界観をきちんと把握しているので、作っていて楽しいです。あと、おそらくCG的な都合なのでしょうけど、フォーメーションはあまり動かし過ぎないように言われています。
――モーションキャプチャーのダンサーもMIKAさんがされているんですか?
MIKA:私は客観的に振付を観たいので、自分のニュアンスを再現できるダンサーを用意して、その子に「もっとこうしてほしい」と口うるさく言いながらやっています。CG班の方いわく「MIKAさんの振りは、数が多くて大変」だそうですが、「細かい振りは控えめにして」という言外の言葉も感じます(笑)。【インタビュー:はるのおと】