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初のアニメタイアップ、そして本人作詞・作曲の新曲も収録! 伊東健人2nd EP「咲音」発売記念インタビュー

「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」観音坂独歩役、「ヲタクに恋は難しい」二藤宏嵩役など話題作に出演し、声優として活躍する伊東健人さん。2022年には川谷絵音さんプロデュース楽曲「真夜中のラブ」でアーティストデビューを果たしたことも話題になりました。今年リリースした5thデジタルシングル「My Factor」は自身初のアニメタイアップとして注目を集めるなか、待望の2nd EP「咲音」が3月27日(水)に発売。どんな思いが込められているのでしょうか?


「咲音」初回限定盤ジャケット


――2nd EPのタイトルは「咲音」と書いて「サイン」と読みます。こちらはどのような思いでつけられたタイトルなのでしょうか?
伊東 1st EPが「華灯」と書いて「はなび」と読むタイトルで、表わしたい世界としては「華灯」も「咲音」も根っこの部分ではいっしょです。いろんな音がいろんな色として灯りになるし、咲くという。ただ、1st EPと違うのは、1st EPが黒基調で都市の灯りとか街の灯りとかがコンセプトとしてあったのが、2nd EPではジャケット写真やアーティスト写真で僕が着ている衣装も白ですし、光も自然光っぽいものだったりとか、あとはちょっとぼかしで植物らしきものが入っていたりという、どちらかというと無機物の灯りというより生命力のある灯りをイメージしていたところがありました。

――そこから「咲音」という文字がすんなり思いついたのでしょうか?
伊東 自分のなかでは1st EPの流れをくみたいということもあって、文字としてはふだん使うような単語ではなくても、耳としてはよく聞きような言葉がいいなと思って、いくつかメモをしていました。その中から最終的に選ばせていただいた感じですね。

――ご自身としてもお気に入りのタイトルですか?
伊東 そうですね。「華灯」は難航したというか、いちばん最初でしたから。まず漢字にするのか英語にするのかというところもわからないまま最初は走っていたので、決めるのがちょっと難しかったなと思いつつ、最終的にスタッフさんが挙げてくれた言葉が「華灯」だったんですね。でも、今回は自分で決めました(笑)。

――1st EPから約1年ぶりのリリースで、EP以外の楽曲はすべてデジタルシングルという形で発表されているので、CD自体のリリースも1年ぶりになります。音楽業界としてもデジタルリリースが主流になりつつある昨今で、あえてCDを出すことの意味はどのように捉えられていますか?
伊東 これはなかなか考えるというか、悩むことではありますよね。そもそも2nd EPをどういう形態にするか、たとえばもうちょっと曲数を増やしてアルバムでもいいんじゃないかと考えていたときもありましたし、今回は全6曲、うちインストの曲が1曲という形になったんですけど、意味合いとして時代の変換と共に変わるものはいろいろあるだろうなと思って。気軽に聴けるのはもちろんサブスクやダウンロードだし、そのなかでCDを出す意味があるとしたら、やはり自分としてはCDショップに並ぶというのが大きいのかなと思います。あこがれみたいなものもありますからね。CDショップで平置きにしていただく期間があって、ポップも書いていただいたりして、試聴もできてというのが……どうなんだろう? “古きよき”と言われてしまうのかな? でも、たしかにそういうところでの出会いとか発見が自分にはありましたし、今だったらそれがサブスクでのプレイリストから探すものにあたるのかなと思うんですけれども、その出会いの形が実際に盤で出すことによって、ひとつ増えるというのはあると思います。逆に、伊東健人を応援してくれる人にとっては手に入れておきたいグッズのひとつという側面もあると思うんですよ。CDのケースを実際に開いたときの歌詞カードの形だったりとか、そういうところも「咲音」の世界観を構成してくれるものだと思うので、非常に難しいですけど、僕はやっぱりCDで出すことにも意義があると思うんです。今までのデジタルシングルでもファンクラブ限定でCDが出たりはしたんですけど、一般流通するというのは自分としては背筋が伸びるというか、デジタルとはまたちょっと違った気持ちをもたらせてくれるものだなというのがありますね。


「咲音」通常盤ジャケット


――出会いの形でいうと、この「咲音」にも収録される「My Factor」はTVアニメ「月が導く異世界道中 第二幕」のEDテーマになっていて、ここからアーティストとしての伊東さんを知ったという人もいたかと思いますが、反響はどのように感じられましたか?
伊東 自分としてはやること自体は変わらないんですけど、たしかに「伊東健人って歌も歌えるんだ」とか、いろんな感想はありました。もちろんそういう感想もあって当然だと思いますし、そういう反応が来るのは僕的にはおもしろくて。自分的には今までユニットでも歌ってきたし、キャラクターソングとかも歌わせていただいてきたんですけど、それって聴こうと思った人しか聴かないというか、そういうものじゃないですか。だからこそ、アニメソングのタイアップをやることによって、ふだん伊東健人の歌に触れていない人が触れてくれる機会があることはうれしいですし、この活動をやるにあたって、自分はアニソンをやっていきたいし、アニメへの恩返しというか、貢献していきたいというのを常々言ってきたんです。そういう意味では、この「My Factor」が最初の一歩になるわけで、やりたいことリストみたいなものを自分のなかでつくっているんですけど、そのなかの大きな目標がひとつ達成できたという思いはありますね。でも、この一歩だけではそんなに満足しきれていなくて、まだまだできることはあるぞと思ってはいるんですけど、まずはアニソンという道への第一歩は踏み出せたのかなと思います。

――「咲音」は伊東さんご自身が作詞された「BiT」、そしてソロアーティストとしては初めて本人作詞・作曲で制作された「Follow」の2曲が新曲として収録されているのも注目ポイントです。いずれはアニメタイアップ曲でも自分で作詞・作曲して自分で歌うことをしてみたいという思いはありますか?
伊東 そういうことがあってもいいのかなと思いますね。今回、作詞・作曲をしてみて感じたのは、自由度が広がるということでした。なんといっても自分で歌うわけですから(笑)。自分の限界もある程度わかったうえで、一歩踏み出してみる。何をするにも自分自身に対してですから、ある意味、無責任にできるのがいいところなのかなと思います。

――最後に改めて、「咲音」の聴きどころを教えてください。
伊東 「My Factor」だったら非常にさわやかな曲ですし、1曲目に入っているインストゥルメンタル楽曲も「My Factor」につながるように、言い方を変えたら「My Factor」のイントロになるような楽曲になっています。また「BiT」と「Follow」もそうですし、「戯言」「サッドマンズランド」というデジタルリリースしてきた2曲もそれぞれで全然違った表情を見せてくれている。「咲音」はそんなEPだと思うので、非常に満足感の高いものになっていると思います。ここからもしも初めて伊東健人を聴くぞという方がいらっしゃれば、1st EPも含めて本当にバラエティに富んだ曲がたくさんあるので、音楽の趣味もみんなそれぞれあると思うんですけど、きっとどれかは刺さるんじゃないかなという気がしています。今、伊東健人がやりたいこと、やろうとしていることは2nd EPまでの曲に詰まっているので、ぜひ何度も聴いていただきたいと思います。

プロフィール



●いとう・けんと/「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」観音坂独歩役、「ヲタクに恋は難しい」二藤宏嵩役、「【推しの子】」雨宮吾郎/ゴロー役などで注目を集める声優。2022年に川谷絵音のプロデュース楽曲「真夜中のラブ」で、ソロアーティストとしての活動を開始する

【取材・文:仲上佳克】

■伊東健人「咲音(サイン)」

発売日:3月27日発売
発売元:A-Sketch/Astro Voice
価格:初回限定盤[CD+Blu-ray]4500円(税込)
   通常盤[CD]2800円(税込)

リンク:伊東健人公式サイト
    伊東健人公式X(Twitter)・@21s_ken 
    伊東健人MUSIC STAFF公式X(Twitter)・@kent_musicstaff

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