自身初の両A面シングル＆Wタイアップ！　TRUE「ReCoda／ブルーデイズ」発売記念インタビュー

アーティストデビュー10周年を迎えたTRUEさんが、自身初の両A面シングル「ReCoda／ブルーデイズ」を4月24日（水）にリリース！　表題曲がそれぞれ、この春スタートしたTVアニメ「響け！ユーフォニアム3」「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」のOP主題歌となっているニューシングルについて、ご本人にたっぷりうかがいました！

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アニメ「響け！ユーフォニアム」の10年、TRUEの10年――「ReCoda」

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――今回の両A面シングルに収録された楽曲について順番にうかがわせてください。まずは「ReCoda」。こちらは現在放送中の「響け！ユーフォニアム」シリーズの最新作、TVアニメ第3期のOP主題歌です。
TRUE　今回、コンペで曲を選ばせていただいたんですが、本当にすてきな作家さんたちが協力してくださったんです。それぞれに個性的な、これまで私が「ユーフォ」で歌ってきた楽曲の雰囲気をなぞったものから、また違った雰囲気のものまで、いろいろな曲を提案してくださったんですけど、最終的に今までの「ユーフォ」曲とはいちばん違うベクトルのこの曲を選ばせていただきました。正確には、SUPA LOVE所属のトミタカズキさんとhisakuniさんがコンペに出してくださった曲に、どちらも捨てがたいいいところがあったので、改めてそれをコライト（共作）で再構築していただきました。

――アニメソングのコンペだと珍しいやり方ではないですか？
TRUE　もともとコライトで楽曲を提案してくださる作家さんはいらっしゃると思うんですけど、こちらからお願いすることは珍しいかもしれませんね。私も今回、初めてのチャレンジでした。結果的にAメロとBメロにそれぞれの作家さんのいいところが出ているといいますか、まったく違う感性が入り組むことでよりドラマチックになるような組み方をしていただけた。コライトした意味が確かにあったと感じています。

――そもそも、これまでの「ユーフォ」シリーズのために歌ってきた4曲とは違う方向性の曲を選んだのは、なぜなんでしょう？
TRUE　もう「ユーフォ」との出会いも10年目になるので、とにかく新しいものをつくりたいというのが、私と、そして作品側の共通の願いだったんです。とは言いつつも、「ユーフォ」らしさをなくさずにどんな表現ができるか。模索して、すごくいいバランスに着地したように感じています。これまでの「ユーフォ」の曲は、「DREAM SOLISTER」も「Blast!」もクラシカルな構成の楽曲だったんです。「サウンドスケープ」だけがロック色が強くて、やや異色で。

――そうですね。
TRUE　今回はそこからより踏み込んで、あくまでも構成はポップスで、その上に吹奏楽のサウンドがたくさん入り組んでいるつくりになっている。そこがいちばん、表現として新しいところだと思います。吹奏楽的な要素も、これまでの「ユーフォ」の主題歌はどちらかというと金管楽器をフィーチャーしていた印象なんですが、今回は木管楽器を効果的に使ってくださいました。

――「ユーフォ」らしい、でも感触の違う曲という印象を聴いて感じたのですが、今のお話でいろいろ腑に落ちました。歌詞はご自身で担当されていますが、どんな思いを込めたのでしょう？
TRUE　歌詞を書くときはいつもそういうところがあるんですが、とりわけ「ユーフォ」の曲の歌詞は、受け取っていただいた方が感じてくださるものがすべてだと思っているんですね。それぞれが受け取って、それぞれのなかで昇華していただくものがいちばんだ……と思っていることを前提にお話しするんですけど（笑）。

――はい（笑）。
TRUE　これは、高校1年生から3年生になり、吹奏楽部の部長になった（黄前）久美子のための歌なんです。そんな彼女の、さらに「その先」まで踏まえたような……ぜひ最終回まで見ていただいたあとに、改めてこの歌詞に立ち戻っていただけたらと思います。そしてもうひとつ、本当にこの10年、「ユーフォ」といっしょに歩んで、音楽と向き合ってきた、私自身の歌にもなったなと感じています。久美子と私自身の歌が書けたんじゃないかなと。

――作品に寄り添いつつ、ご自身のアーティストとしての思いも乗せた。
TRUE　不思議と久美子たち登場人物と自分が重なる部分が多いんです。たとえば作品の代表的なセリフでもある、「特別になりたい」「上手くなりたい」って、私自身もずっと思い続けていることで。特に「もっと歌が上手になりたい」という気持ちは、この10年間、ずっと頭の片隅にありました。歌詞にこういうフレーズを入れるのは作品の代表的なセリフをただ使っているだけだと思われそうなんですけど、自分としてはあくまでも、自分自身の気持ちと重なる、自分の言葉として綴っているつもりなんです。

――10年の積み重ねをいろいろな意味で感じますね。
TRUE　そうですね。最初の「DREAM SOLISTER」はすごくカラッとした、元気な歌だったけど、作中で3年近い時間が流れたこともあって、今回の「ReCoda」は前向きなだけじゃない、苦悩も表現できた。実はそれは石原立也監督からの意向でもあったんです。これまでのようにとにかく前向き！　元気！という曲ではなくって、苦悩や深みを感じさせる、時間の経過を感じさせるような作詞をしてほしい……と。

――レコーディングはいかがでした？
TRUE　実は今回のシングルに収録した3曲とも、レコーディングに苦戦はしなかったんです。歌えてはいるので、あとはもう、私の心が納得するかどうか。そのための作業をひたすら重ねました。

――そうしたこだわりの「ReCoda」の歌唱の聴きどころは？
TRUE　Bメロ「そして紡がれる新たな物語」からの「痛いくらい―――わかるよ」のフレーズは、すごくこだわりました。ここは録音後にまったくボーカルをトリートメントせずに、そのときの感情のまま、マイクにぶつけたままの声をそのまま使っています。きれいに音を直すことよりも、私の今の感情を思いっきりぶつけて、それを受け取っていただくことに意味があると思ったんです。そんな躍動感を味わっていただけたらうれしいですね。

――そういえば、「ReCoda」というタイトルの由来は？
TRUE　ただの「Coda（コーダ）」じゃなくて「Re」が付く意味は、自分自身が望めば、目標や青春は何度でも訪れることを表現したかったからです。何かを成し遂げてもそれで終わりではなくて、その先には次の目標があって、そこに向かってるあいだは、やはり青春している。久美子たちが過ごしてきた青春は、自分自身が望めば何度でも訪れるよ、って、そんな意味を込めています。もうひとつ、違う意味もあるんですけど、それは作品を見ていただければきっと伝わると思うので、今日はとっておきますね。

自分の心の青空を探すきっかけに――「ブルーデイズ」

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――もう一曲の「ブルーデイズ」のお話に移らせてください。こちらは「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」のOP主題歌です。
TRUE　こちらは実は、堀江晶太さんに決め打ちで作曲をお願いしました。堀江さんは私の代表曲である「Sincerely」を書いていただいたり、他にもたびたびお仕事をお願いしてきた大切な作家さんなんですけど、近年あまりご一緒することがなかったんです。自分の曲はサード・アルバム（「Lonely Queen's Liberation Party」）の「次の僕へ」以来。久しぶりに堀江さんのサウンドに触れたいなと思って、今回お願いをしました。

――発注はどのように？
TRUE　「堀江さんらしいデジタル・ロックを作ってください！」で、まさにそのまま表現していただけました。堀江さんの楽曲って、「デジタル」と「ロック」の要素のバランスがとても秀逸なんですよね。今回はまた特に、楽器の使い方がおもしろいなと思いました。全部の音がとても強いというか、Sクラスの楽器同士がぶつかり合って、でもなぜかきれいにまとまっている。「ReCoda」も耳を澄ませて聴いていただくと、本当にたくさんの楽器が強弱の音色で曲のあちらこちらに散らばって鳴り響いているんですけど、「ブルーデイズ」は同じように音数が多くても、まとめ方が全然違う。「ブルーデイズ」はメリハリが秀逸なんですね。2曲合わせて、いろんな音も楽しんでもらいたいですね。

――こちらの歌詞にはどんな思いを込められたのでしょう？
TRUE　主人公のアルスの人のいいところ、自分でも気づいていないような長所を見つける天才なところが、すごくすてきだと思ったんです。私もアルスみたいに、誰かのダメなところや悪いところじゃなくて、いいところを見つける人でありたい。そんなふうに感じたんですけど、ふと、「それって『誰か』に向けてだけじゃなく、『自分自身』に対しても言えることだな」って気づいたんです。

――どういうことでしょう？
TRUE　大人になると、自分と向き合わなきゃいけない機会って多いんですよね。特に私は歌詞を書くこともあって、そのたびに自分自身と向き合う作業が続きます。そうするとどうしても自分のいやなところ、ダメなところ、足らないところばかりに目がいってしまう。でも本来は、自分のいいところを自分自身で見つけて、それを育ててあげなきゃいけないんですよね。

――なるほど。自己肯定感は大事ですよね。
TRUE　「もっと自分のいいところを、ちゃんと自分で見つけてあげたいな」って、この作品は自然と改めて思わせてくれたんです。それを歌詞にしてみました。聴くみなさんもきっとそういう、自分と向き合わなきゃいけない時間ってたくさん訪れると思うんですけど、そんなときに「ブルーデイズ」という曲や、「鑑定スキル」という作品のことを覚えていて、そばに置いていただけたらいいなって思っています。

――こちらのレコーディングでは、特別に意識されたことはありますか？
TRUE　エモーショナルになりすぎないように心がけたというか。フラットな自分で歌いたいなとは意識していました。私、歌うときにどんどん感情があふれ出してきて、エモーショナルについついなりがちなんですけど、この曲ではちょっと俯瞰で自分のいいところを見つめてあげられるような歌い方にチャレンジしたいなと思ったんです。……でも、曲の後半に行くにつれて、いつもの私になっちゃった気もするんですけど（笑）。

――あはは。
TRUE　そういった気持ちの変化も含めて録りたくて、細かく別録りするではなく、フルコーラスをつなげてレコーディングをしたのは、この曲の特徴かもしれないですね。

――ちなみタイトルの「ブルーデイズ」という言葉は、どこから発想されたんですか？
TRUE　「鑑定スキル」の原作を読んだときに、開けた、曇りない青空のイメージが湧いたんです。私たち、現代を生きている大人たちの心って、もう雲だらけじゃないですか（笑）。

――晴れ渡っていること、めったにないですね（笑）。
TRUE　私も曇り空だらけですよ（笑）。たまに雨が降って、「やっと晴れたな」って思ったら、またすぐに雲がかかって……の繰り返しみたいな日々を送っています。でもアルスの心って、曇りなく純粋で、前向きで、青空みたい。きっと子どものころの私たちも、「毎日が晴れの日だったらいいな」と願って、曇りなく生きていたんじゃないかな……と。この曲が、自分の心の青空を探せるきっかけになったらいいな。そんな気持ちで、「ブルーデイズ」というタイトルにしました。ひとことでいうなら、「青臭いのって最高だよな」でしょうか（笑）。

10年分の感謝と、もらった愛をお返しする年に

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――アーティスト盤には配信限定シングルだった「ギフト」が収録されます。この曲はどんな楽曲なんでしょう？
TRUE　「ギフト」はもともとファンクラブコンテンツとして作った楽曲で、私の楽曲には季節感があるものがほとんどないんです。「DREAM SOLISTER」のカップリングだった「SAKURAコンチェルト」と、あとは「HANABI」くらいかな。アニメのために曲をつくってると、季節ものって珍しくなるんです。そこで「バレンタインソングを作ってみるのもいいな」と思って制作した楽曲です。かわいらしい恋する女の子のミディアムバラードで、音の隙間を楽しんでいただける曲になったので、３曲合わせて聴いていただくと対比がおもしろいと思います。「ReCoda」も「ブルーデイズ」も、詰め込まれた音の強さが魅力ですからね。

――シングルのリリースのあとは、リリースイベントやツアーが控えています。
TRUE　今年はアニソンアーティストとしてのデビューから10周年。とにかくファンのみなさんに、10年間の感謝と、いただいた愛をお返しする1年間だと思っているので、精力的に楽曲を発信したり、ライブ活動をしていこうと思っています。たくさんのライブができるということは、それだけ新たなチャレンジもできるので、今までのライブをなぞるのではなく、攻めの姿勢で、新たな何かを得るためのライブをしていこうかなと思っています。発表しているものだと、横浜と大阪、2か所のBillboardとライブハウスでライブを開催するんですが、これは2つの公演が対になっていて、同じセットリストを全く違うアレンジでお届けしようと思っています。

――それはおもしろいですね！
TRUE　それもこの10年間で、さまざまな形でワンマンライブができたから思いついたてことなんです。ライブハウスもあれば、ホール、あとは少人数のストリングス、大編成のオーケストラコンサート、アコースティックライブ……本当にいろいろな形式でワンマンライブをやらせていただいて、いろいろな音楽の表現をしてきました。そんな私だからこそお見せできるものがあると思うので、ぜひ私の10周年の新たなチャレンジを見届けていただきたいですし、その先にはまた、締めくくりとなるライブもできたらいいなと思っているので、1年間通して、これからの私に期待をしていただけたら。それに応えられるよう、これからも真摯に頑張っていきます。よろしくお願いします！

プロフィール

7月15日生まれ。2014年に「TRUE」としてアーティストデビュー。「バディ・コンプレックス」オープニングテーマを皮切りに、「響け！ユーフォニアム」や「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「転生したらスライムだった件」など、数多くのアニメ主題歌を担当。2024年2月にはアーティストデビュー10周年を迎えた。また「唐沢美帆」名義で作詞家としても活躍。

【取材・文：前田久】

■TRUE「ReCoda／ブルーデイズ」
発売日：2024年4月24日（水）
発売元・販売元：バンダイナムコミュージックライブ
価格：アーティスト盤 1650円（税込）
　　　響け！ユーフォニアム盤／鑑定スキル盤 各1540円（税込）


☆ライブ情報
TRUE 10th Anniversary Live Tour Sound! vol.9 ～TRUE × FALSE～

“TRUE side“ ＠神奈川・Billboard Live YOKOHAMA
2024年7月9日（火）
1stステージ：17:00開場 18:00開演／2ndステージ：20:00開場 21:00開演

“FALSE side“ ＠神奈川・F.A.D YOKOHAMA
2024年7月10日（水）
18:30開場 19:00開演

“FALSE side“ ＠大阪・OSAKA MUSE
2024年10月11日（金）
18:30開場 19:00開演

“TRUE side“ ＠大阪・Billboard Live OSAKA
2024年10月12日（土）
1stステージ：15:00開場 16:00開演／2ndステージ：18:00開場 19:00開演

リンク：TRUE Official Website
　　　　TRUE／唐沢美帆 公式X（Twitter）・@miho_karasawa
　　　　TVアニメ「響け！ユーフォニアム３」公式サイト
　　　　TVアニメ「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」公式サイト