Machico「Growing Up」発売記念インタビュー（後編） 「みんなに『かわいい』を伝えられたのなら本望です（笑）」

この4月から放送開始した「この素晴らしい世界に祝福を！３」でOP主題歌「Growing Up」を担当するのは2016年の第１期以来、シリーズ作品のテーマソングを歌い続けているMachicoさん。インタビュー後半では初挑戦となる本格的なダンスシーンが見どころのMVやセリフの収録が大変だったというカップリング曲「ぐるぐるコンティニュー」、そしてついに実現する地元・広島県呉市での凱旋ライブから今後の目標まで聞いています。

――「Growing Up」のMVではダンスにも挑戦されていますね。
Machico　レコーディングが終わってすぐに「今回は踊りたい」ということを私から伝えさせてもらいました。こんなにポップな楽曲だから、フリーで動くというよりかはみんなが真似できるポイントとかあったほうが私も歌っていてより楽しくなるし、みんなもより楽しくなるんじゃないかということで願い出て。できあがってきた振付けを初めて見たときには「私に踊れるかな？」と思ったんですけど、レッスンのときにていねいに教えてもらって、入ってしまえばすごく踊りやすいんですよ。パッと見ると個性的な振付けが集まっている感じがするんですけど、いざ歌といっしょに踊ると歌詞とのリンクもしっかりあるから、歌詞も覚えやすくなる（笑）。「この動きのときはこの言葉だ！」みたいな感じで、踊りを覚えるのも楽しかったですね。MV撮影のときもダンスのミスで中断するというのはなかったです。むしろフリーで動くMVよりも気持ち的には楽だったし、だからこそイメージシーンとかは本当にリラックスして、ダンサーズちゃんと遊ぶような要素をいっぱい入れてもらいました。セットとかも自分の好きな世界観だったので、すごく楽しみながら撮影したんですけど、ただひとつ大変だったのは非常に寒かったことです……。

――メイキング映像を見ていても、とても寒そうでした。
Machico　撮影が12月の後半くらいだったので恐ろしいほどに寒くて、どこに行っても寒かった（笑）。テニスコートも寒い、屋内のコートも寒い。どこに暖かい場所があるんだ？というくらい激寒だったので、みんなで協力して頑張ろうって。私がミスを出してしまったら、薄着のダンサーズちゃんもみんな道連れになるわけですからね。

――Machicoさんの衣装も薄着でしたよね。
Machico　私も肌を出したい人間なので（笑）。寒さからは全然守ってくれない上着を着たんですけど、この衣装もすごく気に入っています。楽曲に合ったポップさもあり、「このすば」のキャラクターの色も入れていることで作品らしさもあり、かといって作品に寄りすぎていない、Machicoとしての世界観も詰まっていて。映像もすごくかわいいので衣装と合わせて見てほしいのと、みんなにもダンスを覚えてほしい。特に「Shining Up, Shining Up」のところはみんなできると思うので、ライブでぜひ真似してほしいポイントです。

Machico「Growing Up」限定盤ジャケット

――カップリングの「ぐるぐるコンティニュー」はどんな曲になっていますか？
Machico　今回はカップリングでも「どういうタイプの曲を歌いたい？」と聞かれて、「Growing Up」がすごくポップな曲だったので、それに合うようなポップさ＋かわいい曲が歌いたいということで「おもちゃ箱をのぞいたような音づくりの楽曲だったら、私もうれしいですね」と。とにかく「かわいい」に特化した楽曲がいいというお話をさせていただきました。それでやぎぬま（かな）さんにお願いすることになったんですけど、最初にデモが2種類来て、2曲を並べて聴いたときにライブでファンの人が楽曲に参加している姿を想像しやすいのが「ぐるぐるコンティニュー」のほうだったんですね。自分のイメージにも近いということでフルを作ってもらったのですが、レコーディング当日に行くと最初にもらっていたデモとまったく違う音作りになっていて「聴いたのと違う！」って（笑）。それで歌へのアプローチの仕方が変わってくるのかといったら、そうではなかったんですけど、より難しさが増していましたね。でも、すごくおもしろくて、このシングルに入っている2つの楽曲の共通点は「力みすぎていない」ところかなと思います。あと、歌詞を見て慣れない環境のなかで仕事を頑張っている姿が思い浮かぶ人もいれば、私は恋愛を想像しちゃって、そんなふうに受け取り方とか情景とかが人それぞれに変わっていくんだなと思ったら、それもまたおもしろいなって。みんなはこの曲を最初に聴いたときに恋愛なのか、お仕事なのか、はたまた別の何かを思い浮かべるのか、ちょっと聞いてみたい感じはありますね。

――歌詞の言い回しとかは恋愛ソングっぽくはあるのかなと。
Machico　語尾とかもかわいいですからね。あと、この曲で大変だったのはセリフの「わかんない」を録るのが恥ずかしくて……（笑）。キャラクターとして「かわいい」を表現してくださいだったら全然できるんですけど、Machicoとしてかわいい部分をセリフに乗せてくださいと言われると、12年間この業界にいるなかで、私は正統派な道を歩いてこなかったので（笑）。

――先ほどもお話に出た“回り道”をしていたころですね。
Machico　エチュードをするにしてもキュンで落とすんじゃなく、様子がおかしいまま落ちていくことが多かったので、まさかここで正統派の「わかんない」を求められてしまうのかと……。収録のときは「何個かください」と言われて、「わかんない……」「わかんない！」って正解がわからないままずっとやっていたらディレクターさんがおもしろくなっちゃったのか、全然ストップを押してくれなくて。終わった後に「どこまでやるんだろう？と思って見てました」と言われて、すごく恥ずかしかったです。あの恥ずかしさを乗り越えて、みんなに「かわいい」を伝えられたのなら本望です（笑）。

――5月4日(土)と5日(日)には、Machicoさんの地元・広島県呉市で凱旋ライブが開催。昨年の開催を予定していたものがG7広島サミット開催の影響で中止となったため、1年越しに実現されることになります。
Machico　本当に「やっと開催できる！」という気持ちが大きいです。広島市ではワンマンライブをやったことがあるんですけど、呉市でライブをやらせてもらうことはもちろん初めてなので、どれくらいの人が集まってくれるだろう？と。ハードルが高いからこそ、よりみんなに楽しんでもらえるものにしたいですね。自分としては地元の広島県の方にも遊びに来てほしいライブでもありますし、「こんなにすてきな曲たちといっしょに、ここに帰ってこられました！」と示せるようなライブにしたいと思っています。基本的には聴きなじみの多い楽曲をベースにしたセットリストを組もうとは思っているのですが、呉でやるからこそ、呉に特化したパフォーマンスの見せ方ができたらいいねとか、呉の町を含めて何かできることがあったらいいよねとか、現時点ではそういうことも考えています。あと、グッズも呉にちなんだ感じのものになっているので、それも楽しみにしてほしいですね。

――ライブに来られたファンの方に呉を楽しんでもらえたらいいですよね。
Machico　ゴールデンウィークにやらせてもらう理由もそこで、私の理想的には「呉の観光のスケジュールのなかにMachicoのライブがある」くらいの感覚がいちばんありがたい。ライブも楽しんで、呉の食べ物だったり観光だったりを楽しんで、「今年のゴールデンウィーク、呉に来てよかったな」と思って帰ってもらえるのがいちばんなので、ライブ発信で何か地元に恩返しできるようなことを考え中ではあります。

――デビュー10周年を超えて、凱旋ライブも実現して、今後の目標はありますか？
Machico　歌の面では褒めていただくことも多いですし、自分でも自信をもっている武器ではあるので、これから世代が下の子たちが出てきても「やっぱり歌うMachicoはすごいよね」と言ってもらえるように、怠らずに磨いていきたいです。声のお仕事では、吹替えをたくさんしてみたい。去年、Netflixで配信されている海外アニメ「ギャビーのドールハウス」に出演させてもらった時すごく楽しくて、そういう子供向けの作品の吹替えに今後も出られたら役者として本当にうれしいですし、ディズニー作品にかかわりたいという夢もあります。自分の実力ではまだまだディズニーにかかわるとか、そんなことを言っちゃいけないんじゃないかと思う瞬間はあるんですけど、でも、やっぱり自分の夢だから……。今後も積極的に、実現できるように言い続けていきたいなと思っています。

◆プロフィール

●まちこ／アーティストとして「プリキュア」シリーズなどの主題歌を担当。声優としては「ウマ娘 プリティーダービー」トウカイテイオー役などで注目を集める。5月4日(土)・5日(日)の2日間にわたり故郷・広島県呉市で凱旋ライブを開催

【取材・文：仲上佳克】

■Machico「Growing Up」

発売元：日本コロムビア
発売日：発売中
価格：限定盤［CD＋DVD］2090円（税込）／通常盤［CD］1430円（税込）

リンク：Machico公式サイト
　　　　Machico公式サイト（日本コロムビア）
　　　　Machico公式X（旧Twitter）・@MachicoOfficial