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Machico「Growing Up」発売記念インタビュー(前編) 「この曲も私にとって特別な曲になるんだろうなと思いました」

4月から放送開始した「この素晴らしい世界に祝福を!3」でOP主題歌「Growing Up」を担当するのは、2016年の第1期以来、このシリーズのテーマソングを歌い続けているMachicoさん。インタビューの前半では「3」でも引き続き歌うことになった「このすば」への思いと楽曲制作のエピソードを中心にお話を聞きました。歌詞に込められたクリエイターからの温かいメッセージに、Machicoさんが思わず涙しそうになったことも……!?



――「この素晴らしい世界に祝福を!3」は7年ぶりとなる新作TVシリーズですね。
Machico 第2期からそんなに時間が空いていたんですね……! 間にスピンオフの「この素晴らしい世界に爆焔を!」があったから、常に動いているイメージがありました。

――Machicoさんは第1期のOPテーマ「fantastic dreamer」以来、映画やゲームも含めて「このすば」のテーマソングを歌い続けてきましたが、今回のOPテーマを担当することが決まったときはどんなお気持ちでしたか?
Machico 本当にありがたいなという気持ちはもちろんあるんですけど、「このすば」のファンの方から「またMachicoかよ」って思われたらどうしよう?という不安もちょっとあったんです。でも、いざ発表されると「Machicoが『このすば』歌ってくれてうれしい」とか「『このすば』といえばMachicoだよね!」と言ってくれる方ばかりで、そんなに心配することじゃなかったんだなと思って。それくらい皆さんにとって『このすば』といっしょに自分も受け入れてもらっているんだって思ったら、よりうれしくなりました。

――「Growing Up」はどのように制作されていきましたか?
Machico 今回は「fantastic dreamer」もつくってくださった園田(健太郎)さんが楽曲を書いてくださっているのですが、実は「Growing Up」のデモを送っていただく前に、もう1曲「Growing Up」とは全然別物の楽曲を園田さんがつくってくださっていたんです。それをレーベルのディレクターの穴井(健太郎)さんから「すごくすてきな曲ではあるんだけれども、3期の曲か?となると、俺のなかではちょっと違うかもしれないと思ったから聴いてみてくれ」と言って渡されて……。そんなこと言われたら私も「何かが足りないんだ」と思って聴いちゃうじゃないですか。結果、最初の曲とは全然違う「Growing Up」が上がってきて。そこからまた「TVサイズの終わり方を悩んでいて、どちらがいいと思う?」と穴井さんに聞かれて……。ひとつはサビの最後の「大志を抱いて」の部分が上がっていくパターン、もうひとつはシンプルに終わるパターン。私としてはどこかに変化があるようなもののほうがいいと思うし、自分的には高音が得意分野ではあるので「変則的なものが入っているほうが私は好みです」と答えたら「そうだよね」って。そうやってディスカッションしながら「Growing Up」は固まっていって、いうなれば「fantastic dreamer」のときは皆さんにつくってもらったものを自分の解釈で歌うことしかできなかったんですけど、今回はいろんな視点で見て納得できるようなものをつくっていくという楽曲のつくり方だったので、それは今までの関係性や経験があるからこそできる制作の仕方だったのかなと思っています。


Machico「Growing Up」通常盤ジャケット


――レコーディングにはどんな思いで臨みましたか?
Machico 歌詞に引っ張ってもらうというか、歌詞のフランクさに身を任せるようにして歌うというところを意識しました。「このすば」のみんなといっしょにどんちゃん騒ぎというか、キャラクターの力も借りながら歌うことができたので、全体的にめちゃめちゃ難しかったというのはないですね。ただ、いわゆるDメロの部分は最初に私が表現したニュアンスが、目に見えた強弱をつけていて。それを聴いた園田さんから「今でもすてきではあるんだけど、明るい声のまま強弱がつけられたらいいよね」って。「それができたらシンガーとしてもっとレベルアップできるし、声量で強弱をつけるんじゃなくて気持ちでつけてほしい」という、すこぶる難しいリクエストが来まして(笑)。だから、ここはほかのパートよりもリテイクを重ねた部分ではありますね。そんな表現の仕方があるんだっていう、勉強にもなりました。でも、基本的にレコーディングは和気あいあいと進んでいって、終わった後に園田さんが「Machicoちゃん、本当に歌うまくなったね」って。

――もとから歌はお上手だったと思いますが……?
Machico 「初めてご一緒した時もうまいなって思ったけど、いろんなことを経験したから、さらにうまくなったね」と言ってもらえて、それもうれしかったですし、楽しみながらレコーディングに立ち会えたとも言ってもらえたので、ホッとしましたね。そして「この歌詞は『このすば』だけじゃなくて、実は僕視点で見たMachicoちゃんのアーティスト、役者としての歩みも入れているんだ」とも言ってもらえて、そんなこと言われたら泣いちゃうじゃん……!って。そう思ったら2番とか特に自分に当てはまるというか、すごく共感できるところなんですよね。「回り道こそ王道じゃないか」とかも、私は今ありがたいことにいろんな作品とご縁をいただいていて、「このすば」以外にも「Machicoといえば」というものが増えてきてはいますが、ここに至るまでは新規のお仕事が1年に1回増えれば御の字というくらいの空白の瞬間がたくさんあったんです。あまり人と比べることも私はしたことないんですけど、でもやっぱり同じような環境のなかでもほかの子はちゃんと新規のお仕事が入っていて「なんで周りは決まるのに自分は決まらないんだろう?」とか、ライブの会場のキャパとかを見ても「自分はこのキャパですらまだまだなのに、ほかの子は全然埋められている」とか、今の自分が歩いている道は本当に正しいのか?と思うことが何度もあって。それをこうやって言葉にしてくれた園田さんもそうですし、いろんな人が見てくださっているというので自分の過去の歩みが肯定されたような気持ちになって、「私へのメッセージなんて……本当だわ、園田さん!」って思いながら(笑)。そんなうれしいサプライズもありつつ、この曲も私にとって特別な曲になるんだろうなと思いました。

――Machicoさんがこの曲を受け取って感動している一方で、アニメ本編ではきっとまた主人公のカズマたちがバカ騒ぎを繰り返すんでしょうね。
Machico 私のこの気持ちが、またいいギャップになるんだろうなって(笑)。「このすば」は本編と楽曲の壮大さのギャップが大きければ大きいほど生きていく作品だと思うので、そういう相乗効果を出せるような歌が歌いたいなと、改めて強く思いました。でも本当に、「このすば」のファミリーに入れてよかったなと思います。キャストさんと制作チームの絆がすごく深いし、みんな全力でバカをやっている。だからこそ生まれる熱があって、たくさんの人に愛されているんだなと思うので。「Growing Up」も"素晴らしい僕らに祝福を!"って、作品タイトルにちなんだ言葉で終わっているので、ノリノリで聴いてもらえる曲になればいいなと。みんなの心を晴らせるような、そんな存在になってくれと願っています。



◆プロフィール

●まちこ/アーティストとして「プリキュア」シリーズなどの主題歌を担当。声優としては「ウマ娘 プリティーダービー」トウカイテイオー役などで注目を集める。5月4日(土)・5日(日)の2日間にわたり故郷・広島県呉市で凱旋ライブを開催

【取材・文:仲上佳克】

■Machico「Growing Up」

発売元:日本コロムビア
発売日:発売中
価格:限定盤[CD+DVD]2090円(税込)/通常盤[CD]1430円(税込)

リンク:Machico公式サイト
    Machico公式サイト(日本コロムビア)
    Machico公式X(旧Twitter)・@MachicoOfficial

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