アーティスト

田中有紀ソロデビューアルバム「Crier」発売記念インタビュー(前編) 「ここから新たに始まっていく、という意味もあるタイトルです」

2024年10月2日にソロデビューアルバム「Crier」をリリースした田中有紀さん。キミコエ・オーディションでデビューをして以来、歌とお芝居を続けてきた田中さんが、長年の夢として抱いていたソロデビューをついに果たしました。アルバム発売日には東京・池袋のサンシャインシティにある噴水広場でリリースイベントも行なった田中さんにじっくりお話をうかがいました。前編ではこれまでのことやアルバム表題曲についてお話いただきました。



ずっと夢見ていたソロアーティストデビュー!

――ソロデビューアルバムが発売されました。今の率直なお気持ちを教えてください。
田中 たくさん準備したアルバムが、皆さんのお手元に届いて、これからたくさん聞いていただけるんだなと思うとすごくうれしいです。10月2日にサンシャインシティの噴水広場でリリースイベントをさせていただいた際には、CDにサインを入れてのお渡し会もあって、皆さんとお話することもできました。「『Crier』がいちばん好きです」とか、皆さんの感想やお気に入りの曲も直接聞けて、アルバムの発売をより実感しました。

――サンシャインシティの噴水広場でパフォーマンスしてみていかがでしたか?
田中 そこが初披露だったはずなんですけど、皆さんから「オイ! オイ!」というお声やクラップもいただけたりして、どこかで練習してきてくれたのかな? リーダーみたいな方がいてまとめてくださったのかな?(笑)と思ったほど、たくさんの応援の気持ちをいただけたような気がしてすごくうれしかったです。このリリイベ前にスタジオを借りての練習をしたのですが、やっぱり皆さんのお顔を見てパフォーマンスすると「届けたい!」という気持ちに拍車がかかるというか。「もっと近くにいきたい! ステージと客席の間にあるこの距離すらもどかしい! 歌よ、音よ、届け!」という気持ちで歌わせていただきました。

――楽しんでパフォーマンスできたようですね。
田中 本番は、皆さんといっしょにその場をつくっているのを実感できたので、すごく楽しかったですね。でも、裏にいる時は緊張しました(笑)。大丈夫だ、失敗を恐れず楽しめるはず、皆さんは応援しにきてくださっている温かい存在なので大丈夫だと言い聞かせていました。始まるまではすごくドキドキしていましたが、始まってからはすごく楽しかった、そんなリリイベでした。

――ソロデビューへの思いも並々ならぬものがあったとか。
田中 今の事務所に移籍した際に、マネージャーさんが私のやりたいことを親身に聞いてくださいました。そこでソロアーティストデビューはずっと夢に見ていたので、絶対にしたいんです!とお伝えして。これから、全方向で自分の可能性をより広げたいという思いがあったので、そういった思いをすくい上げていただき、ランティスさんからデビューできることになりました。

――ソロデビューの夢が実現すると知った時はどんなお気持ちでしたか?
田中 もう言葉では言い表わせないくらいのうれしさでした。自分の夢を追いかけるためではあるけど、事務所の移籍というので新しい環境へ踏み出すことにためらいがなかったと言ったら噓ですし、これでよかったのかなって考えたりもしました。でもやっぱり勇気を出してよかったです。私の見えないところで、いろいろな方のお力をお借りして実現できたことでもありますし、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

――ごちそうを食べにいったり祝杯をあげたりしましたか?
田中 すぐ家族には報告しました。私、お寿司がすごく好きで、おめでたいことがあるとお寿司を食べるんです。家族もそのことを知っているのでお祝いに食べました。この夢をずっと追いかけていたのも知っているので、母からは「頑張って追いかけ続けて、よかったね」と言ってもらえました。

――子供のころから演じることも歌うことも好きで、この道に進みたいと考えてこられたんですよね。
田中 もう本当に小さいころからそれしか考えていなくて(笑)。お母さんに心配かけるくらい歌ってばっかりだったし、口を開けばアニメやお芝居のことを話す子だったので。表現や歌にずっとずっと興味があって、見続けてきて、そこから声優さんという職業に出会って、夢にしようと進んできました。

――声優でしたら歌もお芝居もできますもんね。
田中 ただ、夢をめざしている時には、そんなにいっぱいできるのかな、どっちかにした方がいいのかな、と思ったこともありました。いちばん近くで私のことを見てくれている母が「有紀はひとつに絞った方が力を注げるんじゃない?」とか、声優さんの仕事を調べて「大変みたいだよ」と心配してくれたりして。でも私、コーラス部だったんですけど、歌の発表会は楽しいし、学芸会でお芝居をするとやっぱり演技も楽しい。どっちかなんて選べないよ!となったまま高校生になって。母は私に大学に行ってほしかったんですけど、声優デビューもできるしユニットとして歌も歌える、どちらの夢もかなえてくれるこのオーディションだけは挑戦させてお願い!と受けさせてもらった最初のオーディションに合格したんです。

――それが「キミコエ・オーディション」だったんですね。最初に飛び込んだ場所でどちらも実現してしまったんですね。
田中 夢みたいでした。それまで想像していたものの何もかもが想像じゃなくなって。レッスンして、マイク前でお芝居して、歌の練習をして、レコーディングをして。ステージに立つだけじゃない、その前の段階からていねいに進んでいく。毎回の挑戦が新鮮で楽しかったです。

――これまでのユニット活動とは違う、ソロアーティストということで心構えなどの変化はありますか?
田中 ユニットではMCやかわいい担当、かっこいい担当といった感じの、役割がそれぞれにあって、みんなでひとつのものをつくり上げている感覚が強かったんですけど、ひとりになると、まず「ひとりだ……!」という現実がありますね(笑)。先日のリリイベを終えた今、こうしてひとりでのインタビューやライブのMCの時には、これまで以上に自分の中のいろんな部分をお伝えしてもいいんじゃないかなって思うようになりました。いろんな面を知っていただけたら歌と併せて楽しんでいただけるのかなと思っています。

――それではアルバムのお話もうかがいたいと思います。まずは「Crier」というアルバムタイトルについて教えてください。
田中 これはスタッフさんが付けてくださったタイトルなのですが、「叫ぶ」という意味です。それだけじゃなくて「産声」という意味もあるんです。産声――ここから新たに始まっていく、というタイトルです。


「Crier」初回限定盤ジャケット


――オープニング曲、1曲目が表題曲の「Crier」ですね。
田中 始まりの曲はキラキラしているというイメージがあったんですけど、この「Crier」はシリアスな曲調になっています。始めることって、一歩踏み出すための勇気や不安、上に登っていく時の重力に逆らっていくような感覚があるから、そこを表現できると思いました。あとは、Crier=叫ぶように「ここから始まりますよ!」と宣言ができる“場所”にもなるのかなという印象がありました。

――シンフォニックなイントロと、メロディックな曲調が際立っていますね。
田中 歌詞の「答えのない世界に夢を持つなら/諦めずにほら 自分を信じて」というところにグッとくるものがあって。本当にお芝居とか歌に正解はないんですよね。昔の話になりますが、キミコエ・オーディションの時に「自分のテーマは何だと思いますか?」という質問があったんですね。その時の私の答えは「自信が欲しい」でした。やっと仕事に対して自信がついてきた部分はあるんですけど、相変わらず緊張もしちゃう。緊張するってことは、まだどこかで自分を信じられていないんだ、それって昔と変わってないじゃん!って思って。それが悔しくもあるし、でも否定もできないし。だからこの先、この曲をどんどん歌っていくことで、この歌詞が私の決意に代わっていったらいいなって。そして皆さんも、日々いろいろなことに挑戦していると思うんですけど、自分を信じていいんだよ、頑張ってね、とエールを贈れる歌になってくれたらと思っています。

【取材・文:細川洋平】

■田中有紀「Crier」
発売日:2024年10月2日
発売・販売元:バンダイナムコミュージックライブ
価格:初回限定盤 4400円(税込)/通常盤 3300円(税込)

リンク:田中有紀オフィシャルサイト
    田中有紀公式X(旧Twitter)・@yuki_t0626
    田中有紀 Lantisスタッフ公式X(旧Twitter)・@Lantis_TY
    田中有紀「Crier」配信サイト

この記事をシェアする!

田中有紀ソロデビューアルバム「Crier」発売記念インタビュー(前編) 「ここから新たに始まっていく、という意味もあるタイトルです」(画像1/0

MAGAZINES

雑誌
ニュータイプ 2025年3月号
月刊ニュータイプ
2025年3月号
2025年02月10日 発売
詳細はこちら

TWITTER

ニュータイプ編集部/WebNewtype
  • HOME /
  • レポート /
  • アーティスト /
  • 田中有紀ソロデビューアルバム「Crier」発売記念インタビュー(前編) 「ここから新たに始まっていく、という意味もあるタイトルです」 /