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ソロアーティストとして活動を開始した声優の田中有紀さんが、2025年5月21日に待望の1stシングルをリリース。TVアニメ「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」のエンディング主題歌3曲を収録した「宝物」のような一枚となりました。同作には自身も声優として参加。今回の1stシングルをきっかけに、さらに活動の幅を広げていくことになりそうです。田中さんにこのシングルに込めた思いを存分に語っていただきました。
――「Treasure Chest」は、田中さんの待望の1stシングルとなります。リリースを迎えて、今の率直なお気持ちをお聞かせください。
田中 1stアルバム「Crier」のリリースとともに、ソロアーティストとしての活動がスタートしたのですが、こうして1stシングルをリリースできることが本当にうれしいです。いつも支えてくださっているスタッフの皆さんや応援してくださる方々には心から感謝しています。今回、アニメ「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。(以下、エパリダ)」の第1部、第2部、第3部のエンディング主題歌を全て担当させていただけることはとても光栄なことですし、それぞれの楽曲の色を大切にしながら、物語の変化に寄り添って歌うという、とても貴重な経験をさせていただきました。そういったたくさんのチャレンジを一枚のシングルに詰め込むことができたのも、大変ありがたいなと感じています。
――ソロアーティスト活動を本格的にスタートさせて半年が過ぎました。この半年の活動を振り返ると、どんな手ごたえを感じていましたか?
田中 そうですね……この半年は本当にとにかく必死でした(笑)。レコーディングをして、アルバムのリリースイベントや2025年1月11日には1stライブ「YUKI TANAKA 1st Live: Crier」をさせていただき、そのなかで、アーティスト「田中有紀」として歌を届けていく大変さ、難しさを実感しました。それでも、リリースイベントやライブを通じて、応援してくださる方々と直接顔を合わせて歌を届けられたことは、私の人生にとって本当に大きく、大切な経験になりました。それがあったからこそ、今回の1stシングルでは「こんな歌を歌いたい」「こんな気持ちを届けたい」という思いが明確になって。「みんなが前向きな気持ちになれるような歌を届けたい」という気持ちでレコーディングに臨めたのではないかと思っています。
――この半年で特に印象に残っている出来事や心の支えとなった瞬間はありますか。
田中 やっぱり1stライブのステージですね。初めて皆さんに問いかけた瞬間……「みんな、盛り上がってますか?」って投げかけたときに、想像の200%くらいの声援が返ってきたんです。まるで景色が一変したように感じました。「こんなにも受け止めてくれる人たちがいるんだ」「これだけたくさんの方がいっしょにライブを楽しもうとしてくれてるんだ」って思ったら本当にうれしくて。その瞬間に、「これからもっと楽曲のテーマや、自分の気持ちを歌に乗せて届けていきたい」と、強く思うようになりました。ライブが終わった後には、手紙をいただいたり、Xでリプライをいただいたりもして。「ここの歌詞が好き」「心に刺さって、明日も頑張ろうと思えた」といった感想を目にしたときには、「もっともっと届けていきたい」という気持ちが加速しました。
――そういった反応が、活動のモチベーションにもつながっていくわけですね。
田中 そうなんです! 私自身、落ち込んだときに音楽に救われてきた経験があって。だからこそ、自分が歌う楽曲を通して、誰かの心に寄り添うことができたら、こんなにうれしいことはないなとあらためて感じました。それが実際に届いているという実感を得られたことが、本当にうれしかったですし、活動を続けていくうえでのいちばんの原動力になっています。
「Treasure Chest」初回限定盤ジャケット
――さて、今回の1stシングルについてもお話をお聞かせください。田中さんは「エパリダ」のエンディング主題歌を3曲担当されました。こういった試みに挑まれた感想をお聞かせください。
田中 早い段階で「エパリダ」のエンディング主題歌3曲を歌うことは聞いていました。ありがたい気持ちと同時に、同じ作品の曲を3曲も歌わせていただくことは、あまりないことだと思ったので驚きもしました。3曲とも「人を大事にしている」というテーマは一貫していて。第1部エンディング主題歌である「Treasure Chest」は「そばで笑うキミ」と「走り出すよ」という誰かとの始まりの歌になっていますし、第2部エンディング主題歌の「MIRROR」は自分自身と向き合って、自分を大切にしていこうという楽曲になっています。第3部エンディング主題歌「Tapestry」は誰かといっしょに過ごしてきた日々のなかで育まれてきたものを、これからもいっしょに大切にしていこうねっていう温かさがあります。自分をふくめて人を思いやる、思いを馳せる楽曲になっていると思います。
――共通のテーマを読み取ることができる3曲というわけなんですね。それではひとつひとつの楽曲についてお聞かせください。「Treasure Chest」のレコーディングはいかがでしたか?
田中 初めて楽曲を聴いた時、ワクワク感を感じました。「今から夜明けを迎えに行こう」という歌詞から始まって、大切な仲間たちといっしょにいることで「ひとりじゃない」と感じる内容になっていて。レコーディングのときは、「宝物は今そばで笑う君」を想像しながら歌っていました。
――「Treasure Chest」のMVもすでに公開されていますが、自然豊かなロケーションで撮影されていますね。子どもたちといっしょに過ごした撮影はいかがでしたか?
田中 MVの撮影日はすごくいい天気に恵まれて、大自然のなかで撮影しました。私も小さいころは外で遊ぶのが好きで、住んでいたところも森のような自然がいっぱいある場所だったので、すごく懐かしい気持ちになりました。撮影は日の出前から準備を始めて、日が落ちるまでずっと撮影を続けていたのですが、子役のみんなともすぐ打ち解けられて、すごく楽しい一日でしたね。MVでは、幼少期の私と現在の私が交互に描かれることで、過去と今がつながるような映像になっています。小道具として登場するカセットテープには過去の私が録った音が入っていて、それを今も大切に持っているという設定になっているんです。そこが「Treasure Chest」の「宝物」というテーマとリンクしていると思います。MVから、懐かしさと温かさを感じてもらえたらうれしいです。
――「MIRROR」についてはいかがでしょう?
田中 冒頭の「鏡に映る私は誰よりも美しい」という歌詞は、インパクトが強いですよね(笑)。私も最初は驚きましたが、私も鏡を見ながら「大丈夫、できるよ」と自分を励ました経験があるので共感できるところがありました。「汚れた服たちを脱ぎ捨てる/つまらない感傷も拭い去る/飾らない私がいる」という歌詞がすごく印象的で。外からの干渉を振り払って、自分の価値観で「いいじゃん」と肯定する強さや、悩みや葛藤を抱えながらも前を向く姿を意識してレコーディングしました。
――「Tapestry」を初めて聴いた時の印象はいかがでしたか?
田中 明るくてさわやかな曲だと最初は思いました。でも、歌詞と合わせて楽曲を聴くと、せつなくも感じられるんですよね。とくに2番のサビの「時が過ぎても/想い出になんてならないから、触ってみて/僕らが折り重ねたページを」というところは、胸が締め付けられるような気持ちになって。歌いながら涙があふれてしまいました。
――「エパリダ」でニーベルン役も演じられていますが、作品に出演することで、楽曲への感情移入やイメージに影響はありましたか?
田中 特に「MIRROR」の「向き合う」というテーマは、役者としての経験とも重なる部分がありました。ニーベルンをはじめ、ユークやほかのキャラクターたちの気持ちに感情移入しながら歌いました。「Tapestry」は第3部の曲で、物語が大きく動くなかで「いつかまた会える」という歌詞に強く心を揺さぶられました。キャラクターとしての視点が、楽曲への思いをより強くしたんだと思います。
「Treasure Chest」通常盤ジャケット
――今回のシングルには「Treasure Chest」というタイトルがついていますが、田中さんご自身が大切にしている宝物はありますか?
田中 「友達との時間」が宝物ですね。最近は、半日だけでも、夜ごはんだけでも友達と会う時間を増やそうと思っています。お互いに忙しいのでなかなかスケジュールが合わないんですけど、短い時間でも会うことで新しい発見や豊かな気持ちが生まれるんです。そうした時間が、今の私の宝物になりつつあります。
――この1stシングル「Treasure Chest」を、ファンの方々にどんなふうに楽しんでほしいと思いますか?
田中 「エパリダ」をご覧になった方は、第1部から第3部までを思い返しながら、「Treasure Chest」「MIRROR」「Tapestry」を聴いていただけると、より楽しめると思います。アニメと楽曲が相互に響き合うことで、再び作品を見たり、曲を聴いたりするきっかけになればうれしいです。まだ「エパリダ」をご覧になっていない方も、楽曲から興味をもってアニメを見てもらえたらうれしいですし、楽曲単体でも楽しんでいただけたらと思います。
「Treasure Chest」は、朝起きたときや友達と出かけるときに聴いてもらえたら、ワクワクした気持ちになれると思います。「MIRROR」は、不安や迷いを感じたときに、自信を与え背中を押してくれる曲なので、どんな時に聴いてもいい。「Tapestry」は、友達と昔話をしたり、懐かしい記憶を思い出す時にいっしょに聴いていただけたら、過去の楽しかった瞬間を思い出す時間がきっと「宝物」になると思います!
【取材・文:志田英邦】
■田中有紀「Treasure Chest」
発売日:2025年5月21日(水)
発売元:バンダイナムコミュージックライブ
販売元:バンダイナムコフィルムワークス
価格:初回限定盤 3740円(税込)/通常盤 1760円(税込)
リンク:田中有紀オフィシャルサイト
田中有紀公式X(旧Twitter)・@yuki_t0626
田中有紀 Lantisスタッフ公式X(旧Twitter)・@Lantis_TY
TVアニメ「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」公式サイト