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声優アーティスト・内田彩、アニバーサリーアルバムリリース記念インタビュー(後編) 「いつかは演歌にも挑戦したい!?」内田彩が見据える、誰も知らない“この先の未来”

7月23日にリリースされた声優アーティスト・内田彩さんのデビュー10周年を記念したアニバーサリーアルバム「Re:birthday」。その制作の裏側をひも解くインタビューの後編では、新曲を手がけた作家陣とのクリエイティブなエピソードや、個性豊かな楽曲たちにどのように向き合ったのかを深く掘り下げます。さらに、この先の未来に見据える新たな挑戦とは? 彼女のアーティストとしての飽くなき探求心に迫ります。



作家たちとの化学反応が生んだ、彩り豊かな新曲たち

――前編ではリード曲「Minty Smile」についておうかがいしましたが、ほかの新曲もすばらしい作家陣が集結していますね。まずは、初期から内田さんのせつない一面を描いてきた宮崎京一さんによる「Summer Lasting」はいかがでしたか?
内田 京一さんの曲は、私の楽曲の人気投票があると必ず上位に入ってくるくらいファンの方にも愛されていて、私自身も大好きです。昔から「内田さんには切ないラブソングが似合う」と言っていただいていたので、今回は「“ザ・京一”でお願いします!」とだけお伝えしました(笑)。



――かなりキーの高い楽曲ですが、レコーディングはいかがでしたか?
内田 まさかこんなに高い曲が来るとは思っていなくて、大変でした。そのまま歌うとキーンと張り詰めた強い感じが出すぎてしまって、なかなかこの曲がもつせつない雰囲気に合わなかったんです。なので、途中で裏声にしたり、フレーズごとに歌い方を変えたりと、たくさんの試行錯誤を重ねました。ワンフレーズの伸びにいちばんこだわって、何度もテイクを重ねました。京一さんの曲がもつ、突き抜けるような高音の伸びと、聴いてくれた人の心にずっと残る感じを表現したいなと思って歌いました。

――「初めて会った日」はとても温かくて優しいバラードですね。
内田 この曲を作詞・作曲してくださった金子麻友美さんとは、年齢も近いのですごく親近感を抱いていて。彼女の詞はいつも、ちょっと背伸びしている等身大の女性、という感じで、すごく共感できるんですよね。この曲も、彼女が声を入れた仮歌を聴いた時に、まるで金子さんが私に向けて歌ってくれているかのような温かい感覚に包まれました。仮歌の時点で完成形に感じてしまうくらいだったので、私もその優しい歌声の雰囲気を大切にしてレコーディングしましたね。

――「頑張ってるって聞いたよ」という歌詞が、本当に友人からの手紙のようでグッときますね。
内田 本当にそうで、もう泣きそうになりました。金子さんの曲は、私の楽曲のなかでもいつもそういう、温かい場所をつくってくれる存在ですね。

進化しつづけるロック魂と、新たな表現への挑戦


内田彩「Re:birthday」通常盤


――そして、内田さんのクールでロックな一面も本作ではさらに進化しています。黒須克彦さん作曲の「Not Enough」は、特に攻撃的でカッコいいですね。
内田 黒須さんの楽曲はいつも大好きなんです。むしろ、私のなかの“ロックな部分”というのは黒須さんありきで存在している気がしていて。だからこそ、私も歌でできる限り「打ち返したい」という欲がものすごくあって。

―― レコーディングもかなり熱が入ったとか。
内田 そうなんです。新曲のなかでは最後にレコーディングしたんですけど、欲張りすぎて「もっとこういうアプローチで歌ってみたい」っていうのが次々に出てきちゃって。多分、いちばんしつこく粘った曲です(笑)。これまでの黒須さんの曲では、どちらかと言うと悲恋系の歌詞が多かったんですけど、今回はそうじゃなくて「10年やってきて強くなった自分」を表現したくて。音楽的な挑戦ができた曲でしたね。

――小野貴光さんが手がけた「Veil of Lies」も、また違ったタイプの激しさとクールさがあるロックナンバーですね。
内田 私が初めてクールな楽曲に挑戦したのが小野さん作曲の「Like a Bird」で、そこで初めて「あ、こういう一面も出していいんだ」と思わせてくれたんです。小野さんはいつも私の新たな一面を引き出してくださるので、今回も「何でもやるぞ!」っていう気持ちだったんですけど、最初にデモを聴いたときは「こういうのが来たか!」と驚きました。感情的に行きたいところを、あえて抑制を効かせてタイトに歌う感じが技術的にはすごく難しかったんですけど、それがまたスリリングでもあって、レコーディングはとても楽しかったです。

10周年は通過点。この先の未来へ

――9月にはライブも予定されています。1stライブのリバイバル公演と10周年記念公演を同日に行なうというのは非常に珍しいですし、これも挑戦ですよね。
内田 そうですね。「Minty Smile」の歌詞にもある移り変わりのように、10年の時の流れというのも含めて、もう一度“原点”をやってみようと思って。それを昼に感じてもらって、その後の夜公演では「10年後、こうなりましたよ!」っていうのを見せたいんです。ぜひ昼と夜のセットで私の10年の歩みを感じてもらえたらうれしいです。

――最後に、この先の5年、10年で挑戦してみたいことはありますか?
内田 最近、日本コロムビアのキッズレーベルからお子さん向けの歌を歌わせていただいたり、5月にはぐんまちゃんとのツーマンライブをやったりして、それもすごく楽しかったんです。今後は、声優という仕事も生かしつつ、そういう幅広い表現ができたらいいなと思っています。それから……せっかくの日本コロムビアなので、いつかは演歌とか歌謡曲とか、レーベルの特色を生かしたジャンルの楽曲にも挑戦していけたら、もっともっとおもしろくなるかなって。日本コロムビアの女性声優アーティスト第1号として、ぜひいい花を咲かせたいなと思います!

【取材・文:岡本大介】

■内田彩10周年記念アルバム「Re:birthday」
発売日:2025年7月23日(水)
発売元:日本コロムビア
価格:初回限定盤[CD+Blu-ray]4400円(税込)/通常盤[CD]3300円(税込)

☆AYA UCHIDA Re:1st SOLO LIVE ~アップルミント Baby, Are you ready to go?~
2015年5月23日に五反田ゆうぽうとホールで開催した 1st SOLO LIVE のリバイバル公演!
日時:2025年9月15日(月) 14:15 開場/15:00 開演
会場:神奈川・関内ホール 大ホール

☆AYA UCHIDA 10th ANNIVERSARY FINAL LIVE ~Re:birthday~
10 周年記念アルバム「Re:birthday」を冠にした、アーティストデビュー 10 周年を締めくくるライブ!
日時:2025年9月15日(月) 17:45 開場/18:30 開演
会場:神奈川・関内ホール 大ホール

リンク:内田彩公式Webサイト
    内田彩公式X(Twitter)・@aya_uchida

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