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声優・岬なこさんが、アーティストデビューから丸2年を迎える2025年7月23日に、待望の3rdシングル「Meteor」をリリースしました。
表題曲は、自身もラミィ役で出演するTVアニメ『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 第2期』のエンディング主題歌。優しく壮大なバラードであるその「Meteor」に加え、カップリングにはクールでアグレッシブなダンスチューン「SHINE BRIGHT REVOLUTION」、そしてかわいさに振り切った「ぽぽきゅん!」を収録。一枚で彼女のもつ多彩な表現力とギャップに驚かされる作品に仕上がりました。
アーティストとして3年目の扉を開いた今、彼女は何を感じ、どこへ向かおうとしているのでしょう。楽曲に込められた思いから、むき出しの挑戦心まで、その素顔に迫るロングインタビューです。
「Meteor」初回限定盤ジャケット
――今回の3rdシングル「Meteor」は、新曲としては約1年ぶりで、TVアニメ『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 第2期』(以下、『第七王子』)のエンディング曲ですね。主題歌が決まった際の率直な心境はいかがでしたか?
岬 タイアップのお話をいただいた時は、「そんなうまい話ある?」っていうのが本音でしたね(笑)。1st、2ndと、ありがたいことにタイアップでリリースさせていただいて、 それだけでもすごかったのに、さらに3rdもですから……。とくに『第七王子』はもともと好きな作品で、第1期のアニメも視聴していたので、だからこそ「自分で大丈夫かな?」という不安な気持ちも少しだけありました。
――『第七王子』のどんなところに魅力を感じていましたか?
岬 もともと転生もののアニメ全般が好きなんですけど、なかでも主人公がチート級の能力を手にして周りに復讐していくストーリーがすっきりして好みなんです(笑)。『第七王子』の物語はちょっと違いますけど、主人公のロイドが、ただ純粋に自分の意志で魔法を楽しんでいる姿が印象的で。実際に魔法が使えたら楽しいだろうなとか、いたずらっぽいところもかわいいなと思いながら見ていました。
――そんな作品世界に「Meteor」は本当にぴったりだと感じました。
岬 ありがとうございます。最初に曲を聞いた時は、まだ第2期がどうなるかわからなかったので、あのちょっとコミカルな世界にうまくなじめるのだろうかっていう気持ちもありました。でも、いい意味で飛び抜けた色がないからこそ、話数を経ても、作品自体を邪魔することなく、自然と溶け込むようなエンディングになったんじゃないかなと思います。
――タイトルは「Meteor」と力強いですが、楽曲はとても優しいですよね。
岬 そうなんです! いったいどんな強烈な音が鳴り響くのかと思いきや、めちゃくちゃ優しくて私もびっくりしました(笑)。レコーディングでは、あまりクセをつけすぎないように、言葉やメロディが何も考えなくてもすっと心に入ってくるように歌えたらいいなと思って歌いました。あまり深く考えすぎると負のループに入っていくタイプなので、「歌う」というよりは「読む」に近いニュアンスで臨ませていただきました。
――「Meteor」という楽曲を、岬さん自身はどのように解釈されていますか?
岬 とても大きなスケールの曲なんですけど、誰かに届けるというよりは、自分自身と対話していくなかで、その対話自体をまた客観的に俯瞰で見ているような……今、この世界に生きている自分を、また別の場所からそっと背中を押してあげるような……そんなイメージをしています。
――ちなみに岬さんは、『第七王子』で蛇のしっぽをもつ魔物・ラミィを演じられていますね。
岬 そうなんです。とにかくビジュアルが衝撃的で、最初は「下半身が蛇の女の子ってどう演じればいいの?」って悩みました(笑)。でも彼女とちゃんと向き合ってみると、感情の起伏は激しいけど、優しい心や人間らしさ、自分の意思もちゃんとあって。アフレコでは、そんな彼女の芯の強さみたいなところを表現できたらいいなと思いながら演じていました。けっこうウルっとしちゃうシーンもあって、そこは私も胸が苦しくなりましたね。ぜひアニメ本編でも注目していただければと思います。
「Meteor」通常盤ジャケット
――カップリング曲についてもうかがいますが、2曲ともまったく違う方向性で驚きました。まずは「SHINE BRIGHT REVOLUTION」ですが、これは本当にクールでアグレッシブな楽曲ですね。
岬 せっかく夏にリリースするので、わかりやすくみんなと盛り上がれる曲が欲しいってお願いして生まれた楽曲です。今回は作詞をsajou no hanaのsanaさんが担当してくださったんですが、私、sanaさんが大好きで。sanaさんは他の人に作詞をされるのが初めてだとうかがったので、本当に身が引き締まりました。レコーディングにも来てくださって……力強くて楽しい楽曲なのに、めちゃくちゃ好きな人に見られて緊張する、みたいな(笑)。いろんな感情がぐるぐるしたのを覚えています。
――ライブでファンの方といっしょに声を出せるパートがたくさんありますね。
岬 そうなんです! でも改めて聞いたら「声出すところつくりすぎたかな?」って思っちゃうくらいボリューミーになりました(笑)。でも、歌詞にも「ついてきて!」って入っているくらいなので、ちょっと皆さんを挑戦的にあおりつつ、ライブでひとつになれたらいいなと思っています。正直、私ひとりの力じゃどうにもならないので、助けてほしいです(笑)。
――ラップパートも本当にお見事でした。
岬 私、もともとカッコいい女性にすごくあこがれがあるんです。ダンスをずっとやっていたのでリズムを取るのは好きなんですけど、こういうアップテンポな曲はカラオケでもほとんど選ばないので、自分のなかでも大きな挑戦でした。この曲ができたことで、「じゃあもっと行けるのでは?」って、新たな扉がいくつか開いたような気がします。
――一方、3曲目の「ぽぽきゅん!」はかわいさに完全に振り切っていますね。
岬 ボカロ楽曲がすごく好きなので、ピコピコしたキラキラな曲を歌いたい、という思いから生まれました。レコーディングで一番意識したのは、「恥ずかしがらない」ということです。ふだんの私は、どちらかというとガサツなので(笑)。
――(笑)。
岬 ここまであざとかわいい感じを出すタイプでは全くなくて、むしろ正反対。この感じは、これまで生きてきたなかで、お母さんに「これ買って?」っておねだりする時くらいしか出してないかも(笑)。そういう意味では、こういう楽曲でないと絶対に出せない一面だと思います。
――サビの早口パートがすごいですよね。ライブで噛んでしまわないか心配になります。
岬 歌詞にもちゃんと「ぽよぽよ……噛んじゃった」って入っているので大丈夫です! わざと噛むってどうしたらいいんだろうって思いますけど(笑)。サビ頭の「ぽぽぽきゅん!」は、皆さんに歌ってもらう前提でレコーディングしたので、ぜひライブではいっしょに歌ってほしいです!
「Meteor」アニメ盤ジャケット
©謙虚なサークル・講談社/「第七王子」製作委員会
――今回のシングルは、本当に3曲3様で、初めて岬さんの曲を聴く人は「本当の岬なこってどれ?」と迷ってしまうかもしれませんね。
岬 ですね(笑)。「こういう曲を歌ってみたい」という想いを詰め込んだ結果、ここまで色の分かれた3曲になりました。私自身も、できあがった時に「どれが本当の岬なこ?」って思いましたから。
――アーティスト活動をスタートさせてから2年が経ち、3年目を迎えますが、ご自身のなかで変化はありましたか?
岬 正直に言うと、「岬なことして歌う」ことの正解はまだはっきりと見いだせてはいないんです。最初はそれが不安だったんですけど、今は、自分が不透明だからこそ、固定概念なくいろんなことに挑戦できるのかなって、少しポジティブに捉えられるようになりました。
――それは大きな変化ですね。
岬 それもこれも本当に、応援してくださる皆さんのおかげです。聴いてくださる方がいなければ私が歌うこともなかったと思いますし、「こんな曲が聴きたい」「この曲のここが好き」っていう真っすぐな感想をいただけるから、今の私がいるんだと思います。ファンの皆さんが「歌ってよかったな」っていう着地点をいつも用意してくださるんです。
――では最後に、今後の目標を教えてください。
岬 もともと歌に苦手意識があったんですけど、一昨年11月のファーストライブでは心の底から「楽しい」と思えたんですね。だから、2ndライブもいつか実現させたいですね。個人的に私の武器は、歌はもちろん、ダンスもそうだと思っているので、耳で聞いても、目で見ても楽しいと思ってもらえるようなライブをしたいなと思っています。今回のシングルが、その次の一歩につながるような、誰かの心に響く一枚になったらうれしいです。
【取材・文:岡本大介】
■岬なこ「Meteor」
発売日:2025年7月23日(水)
発売元:バンダイナムコミュージックライブ
販売元:バンダイナムコフィルムワークス
価格:初回限定盤 3080円(税込)/通常盤・アニメ盤 各1980円(税込)
リンク:岬なこオフィシャルサイト
岬なこ公式X(旧Twitter)・@ misakinako_