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「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」主題歌「オレンジ」のロングヒットにより、新ボーカルYOSUKEを擁する新生SPYAIRの存在感を世に知らしめた2025年。続く2026年の第1弾シングルとなる新曲「Kill the Noise」は、1月より放送中のTVアニメ「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」の主題歌。これまでの「王道」「青春」といったイメージを覆す重厚なラウドロックサウンドが生まれた背景には、「もっとダークに」という異例のオーダー、そしてレコーディング前にYOSUKEを襲った「あばらの骨折」という衝撃のアクシデントがあった。
MOMIKEN(Ba.)とYOSUKE(Vo.)に、楽曲に込めた「罪と罰」、アニメ映像への共鳴、そして結成20周年、デビュー15周年という節目に向かうバンドの熱い想いを、余すところなく語ってもらった。
TVアニメ「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」キービジュアル
――SPYAIRといえば、これまで「銀魂」「ハイキュー!!」などでの、「熱い青春」や「王道」のイメージが強かったので、今回のようなダークファンタジー作品への参加は新鮮な驚きがありました。
MOMIKEN そうですね。こういうダークな世界設定の作品はめったになく。「勇者刑に処す」は戦闘シーンも多いですし、僕らの音楽のルーツにある激しい部分とマッチしそうだなという予感はありました。
YOSUKE 僕にとっても新鮮でした。こういう重厚な世界観、のめり込んでいくような作品設定のアニメに触れられて、「あ、今こういう作品がキテるんだな」と新しい発見がありました。
――楽曲はUZ(Gt.)さんのデモからスタートしたと思いますが、第一印象はいかがでしたか?
MOMIKEN いちばん印象的だったのは、イントロのリフですね。「ドゥンドゥンドゥンドゥン……」っていう。僕らはKornとかのラウドロックが好きで、インディーズ時代はそういうヘヴィなものをやっていたんです。だからデモを聴いた瞬間、「お、そっちの重たいの来たか!」と(笑)。原点回帰というか、自分たちがもともと好きだった要素を、この作品なら出しても大丈夫だという確信がUZにもあったんだと思います。
YOSUKE 僕も「いいの来たね!」って感じでした。SPYAIRに加入する前はラウド系の音楽をやっていましたし、これくらいダークでも、ナチュラルに受け入れられました。「あ、かっこいいじゃん」って。
――YOSUKEさんの「ダーク」の部分がハマったと。
YOSUKE 波長が合う感じがしましたね。ライブに来てくれている人はわかると思うんですけど、常にワーキャーしてるわけじゃないんで(笑)。ダークな一面も表現できる曲だなと思いました。
SPYAIR「Kill the Noise」ジャケット
――歌詞はMOMIKENさんが担当されていますが、今回はどのように歌詞の世界を構築されたのですか?
MOMIKEN まずテーマを「罪と罰」にすることに決めて、そこに「聴く人の背中を押す」というSPYAIRらしいメッセージをどう入れるべきかを考えました。歌詞にある「時効がないなら」というフレーズは、忘れ去られた夢も、時効がないなら今からでもかなえられるんじゃないか、というポジティブな意味も込めて、うまく作品の世界にはめられたんじゃないかとったなと思います。
――アニメの制作サイドとのやり取りで印象に残っていることはありますか?
MOMIKEN 実は最初、サビはもっと開けたメジャーコードでつくっていたんです。いくらダークな作品とはいえ、サビはパーンと高揚感があってキャッチーなほうがいいかなと思って。そうしたら「もっとダークにできませんか?」とオーダーが入って。
――逆に「もっと暗くしてくれ」と。
MOMIKEN そうなんです。「あ、いいんだ!」と思って、サビを全部マイナーコードで作り直して、歌詞も、より罪を重く受け止めるような表現に修正しました。結果的にストリングスが入ることで、単に暗いだけでなく、壮大でドラマチックな楽曲に仕上がったと思います。これはいい相乗効果でしたね。
――タイトルの「Kill the Noise」にはどんな意味が?
MOMIKEN 「罪と罰」から連想したんですが「何を殺すか」を考えたときに、自分の中の迷いや、周囲の雑音を殺せ、と。そういう意味を込めて付けました。ダブルミーニングですね。
――今回のボーカルは、いつもの伸びやかな歌声とは違い、楽器隊の一部となってグルーヴをつくるような、鬼気迫るものを感じました。
YOSUKE 実はレコーディングのとき、あばらを痛めてまして(笑)。
――えっ!?
YOSUKE レコーディングの数週間前に出演したフェスで、ダイブしたときにやってしまって、ヒビが入っていたんです。だからコルセットを巻きながらレコーディングしていたんですけど、どうもしっくりこなくて。で、サビを録るタイミングで、「外すか!」ってコルセットを取ったら、痛いんですけど、その瞬間に歌が乗った気がしたんです。
――物理的な痛みが、歌の気迫につながったと。
YOSUKE まさに「命削って歌ってる」感じでした(笑)。このぶ厚いサウンドには、それくらいの覚悟と気迫がないと負けちゃう気がして。痛みとともに歌ったテイクですね。
©2024 ロケット商会/KADOKAWA/勇者刑に処す製作委員会
――今回の「勇者刑に処す」では、この主題歌「Kill the Noise」が話数によってOPに使われる回もあればEDで流れる回もあるという特殊な構成で、かなり珍しいです。
MOMIKEN やっぱりそうですよね。このパターンは僕も初めてで驚きました。でも、「勇者刑」という特殊な設定を視聴者に読み込んでもらうため、ストーリーに没入してもらうための工夫なんだと思いました。その世界に寄り添うための1分1秒を、この曲で全うできたことがうれしいですね。
――「Kill the Noise」とともに流れる映像をご覧になられて、いかがでしたか?
MOMIKEN 想像以上の派手さとワクワク感があって、すごかったです。実は今回、制作がスタジオKAIさんだと聞いた時、以前スタジオKAIさんが制作した宝鐘マリンさんの「幽霊船戦」というMVを思い出して。あれがめちゃくちゃ派手でキレイだったので、「あんな感じの勢いのある映像だったらいいな」と密かに期待していたんです。そうしたら、本当にすばらしい映像が上がってきて。
YOSUKE このまま僕らのMVにしたいってくらい(笑)。ドシッとした力強さがあって、強者が立ち向かっていくぞという感じがして、ゾクッとしましたね。
――サビの歌詞「Whatever it takes(何としてでも)」にちなんで、今、お2人が「何としてでも」手に入れたいものや、成し遂げたいことはありますか?
YOSUKE うーん、「Switch 2」かな(笑)。いや、それはいつか手に入るから違うか。
MOMIKEN 個人的な想いですけど、YOSUKEに一度は武道館に立ってもらいたい、という気持ちがあります。僕らがデビューして最初に武道館に立ったとき、親や周りが喜んでくれたあの体験を、彼にもさせてあげたい。そこまでは、何としてでも駆け上がりたいですね。
――グッとくるお話ですね。YOSUKEさん、今の言葉を聞いていかがですか?
YOSUKE ……うれしいです。やっぱり武道館はミュージシャンにとって神聖な場所ですし、到達しなきゃいけない夢のひとつだと思っています。あの独特の空気感で演奏する感覚。早くやりたいですね。
――昨年、結成20周年、デビュー15周年という節目の年を迎えましたが、最後に、これからの未来に向けてメッセージをお願いします。
MOMIKEN 出会ったころと違って、僕らもファンのみんなもお互い歳を重ねてきたので。ここから10年、20年と長くライブを楽しむためにも、お互い健康第一で頑張っていきましょう!(笑)
YOSUKE バンドを続けていれば、今回の「勇者刑に処す」のような新しい出会いがあるんだなと感じています。これからもファンの皆さんといっしょに、SPYAIRの新しい物語をつくっていければと思います。
UZ(Guitar & Programming)、MOMIKEN(Bass)、KENTA(Drums)と、2023年に加入したYOSUKE(Vocal)からなる4人組ロックバンド。「Kill the Noise」を携えての全国ツアーを開催中。また、2026年3月18日(水)にはニューアルバム「RE-BIRTH」をリリースする
【取材・文:岡本大介】
■SPYAIR「Kill the Noise」
発売中
発売元:ソニー・ミュージックレーベルズ
価格:2000円(税込)
リンク:SPYAIR公式サイト
「Kill the Noise」Streaming&DL
TVアニメ「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」公式サイト