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2021年3月5日、2021年度に最も活躍した声優を称える第十六回声優アワードの受賞者が発表されました。本稿では、新人女優賞を受賞した相川奏多さんへのオフィシャルインタビューをお届けします。
――新人女優賞の受賞、おめでとうございます。今のお気持ちは?
相川 受賞の知らせを受けたときは、「?? せいゆうあわーど?」ってなりました(笑)。もちろん賞の存在は知っていたんですけど、まさかこの私が受賞できるなんて頭の片隅にも、これっぽっちも考えていなかったので、理解するまで時間がかかっちゃって。
――選考の対象作品は「IDOLY PRIDE」(以下「アイプラ」)と「ワンダーエッグ・プライオリティ」(以下「WEP」)の2作品で、そのどちらでも印象に残るお芝居をされたのが受賞理由ですね。
相川 そうなんですね。そもそも自分が演じたキャラクターの声がテレビで放送されたのが初めてで、正直に言うと「まだまだだな」って痛感した1年だったんです。だから余計に「なんで私が?」っていう気持ちでいっぱいです。
――相川さんは現在17歳の高校生ですが、そもそも声優を目指したきっかけはなんだったんですか?
相川 小さいころからずっとaikoさんやMISIAさん、Little Glee Monsterさんといったパワフルな歌手に憧れていたんですけど、小学校高学年のときに声優さんがアニメの主題歌を歌っていることを知って、それで声優を目指すようになりました。中学1年生のときに「第3回ミュージックレインスーパー声優オーディション」に応募して合格したのがきっかけです。
――もともとお芝居に興味はあったんですか?
相川 興味やあこがれはあったんですけど、事務所に入るまではお芝居を習ったことはなかったです。ただ今思うと、子供のころから読書がすごく好きで、よく登場人物のセリフを口に出して読んでいたんです。この人はこういう感じでしゃべるんじゃないかとか、脳内で妄想して声に出すのは好きでしたね。
――事務所の第3期生としてのレッスンも行いながら、「アイプラ」の成宮すず役でデビューを果たします。デビュー当時はまだ15歳だったんですよね。
相川 中学生で、生まれて初めてのアフレコでした。私が演じるすずちゃんはいじられキャラでコメディ担当でもあるので、収録の際は「もっと遊んで!」というディレクションをたくさん受けました。どうすればおもしろく見せられるかをずっと考えていて、それには自分の想像をはるかに越えていかないとダメなんだと、すずちゃんを通して思い知らされました。
――オンエアとしては同時期に「WEP」の主人公、大戸アイも演じられています。こちらはオーディションで抜擢されたんですよね。
相川 そうです。私としては絶対に落ちたと思って凹んでいただけに「なんで?」ってなりました。収録は「アイプラ」よりも少し遅かったのですが、「WEP」は世界観もストーリーもかなりシリアスですし、なにより主人公ということもあってドキドキでした。
――「WEP」の現場は収録前に読み合わせがあったようですね。
相川 そうなんです。個人的にはこの読み合わせのときがこれまでの人生でいちばん緊張しました。自己紹介のときなんて、本当に泣きそうになって(笑)。でもその読み合わせがあったからこそ、本番の収録ではそこまで気負うことなく、緊張はしつつもむしろ「やってやるぞ!」という前向きな気持ちで挑むことができたと思います。
――大戸アイを演じるうえで意識された点はありますか?
相川 ディレクションで記憶に残っているのは「女々しくならないで」という言葉です。アイちゃんはたしかに引きこもりだし弱々しい感じですけど、実は仲間のためならどんな敵とも戦えるような強い子なので、そこは常に意識していました。とくに第2回の「トサカに来たぜ!」っていう決めセリフは、初めて自分の殻を破れた気がして、密かなお気に入りです。
――ほとんど同時期にまったく違うタイプのキャラクターを演じることは大変ではありませんでしたか?
相川 実力的に大変だった部分はもちろんあるんですけど、それよりも「おいしいな」って思っていました。すずちゃんとアイちゃん、2人が全然違うキャラだからこそ「同じ人がやってるの?」って驚いてもらえるかもしれない。私は声にそこまで特徴がないので、そういうギャップを感じてもらえるような声優さんになりたくて、そのアピールになるんじゃないかと。
――ポジティブというか策士というか、聡明ですね。
相川 そうですか? ありがとうございます(笑)。
――また「アイプラ」と「WEP」ではともに楽曲をリリースしています。歌手になりたいという子供のころの夢が早くもかないましたね。
相川 そうなんです。歌の収録は楽しくて楽しくて……とにかく最高としか言えないです。
――将来的にはソロアーティストとしても活動していきたいですか?
相川 その気持ちはすごくあります。もちろん声優さんとして一人前になることが最優先ですけど、いつかはチャレンジしてみたいですね。
――最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
相川 いまだに実感が湧いていませんが、とても光栄です。いただいた賞に恥じぬようこれからも頑張っていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
【撮影:田上富実子/取材・文:岡本大介】