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TVアニメ「文豪ストレイドッグス」中島敦役・上村祐翔×ラックライフ・PON対談(後編)「演じるのではなく、敦になっていく」

「文豪ストレイドッグス」がアニメ化されてまもなく7年。現在、第4シーズンがオンエアされています。その第4シーズンの放送を記念して、中島敦役を演じる上村祐翔さんと、EDテーマを歌うラックライフのPONさんが初めて対談。お互いの7年の歩みを振り返ります。後編では現在放送中の第4シーズンと、お2人の気になることについて語っていただきました。

TVアニメ「文豪ストレイドッグス」中島敦役・上村祐翔×ラックライフ・PON対談(後編)「演じるのではなく、敦になっていく」
TVアニメ「文豪ストレイドッグス」中島敦役・上村祐翔×ラックライフ・PON対談(後編)「演じるのではなく、敦になっていく」(C)朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会


――第4シーズンでは「しるし」が流れます。この「しるし」も武装探偵社のメンバーたちのきずなや、敦を取り巻く人々の関係を感じさせる歌になっていますね。
PON 僕が今回、引っかかっていたのは(江戸川)乱歩さんの話なんです。社長(福沢諭吉)が乱歩さんを見つけたという話(探偵社設立秘話)があって。みんな、誰かに見つけてもらって、今の境遇があるんだよなと。僕らもいろいろな人に手を差し伸べてもらったことで現在がある。そういう出会いって、当たり前じゃなくて、運命的なものがあるんだよなと。周りの人々に偶然、恵まれただけじゃなくて、自分自身が引き寄せる力があるから、そういうめぐりあわせが生まれたんだろうなと思ったんです。そうやってめぐりあえたことで、あなたが印(しるし)をくれたんだという気持ちを歌にしました。そういう気持ちを僕らが歌うことで、きっと誰かが見つけてくれるんじゃないかと。
上村 EDの映像が、武装探偵社のオフィス内の映像なんですよ。朝、昼、夜の探偵社を見せるという感じで、「場所」というものが、僕らにとっては「しるし」になるのかなと思いましたね。第4シーズンは、武装探偵社のメンバーがバラバラになっていくという展開があって、それをもう一度結束しなきゃいけないと戦っていく内容になっているんです。それぞれのいる場所は離れているんだけど、お互いを信じながら行動していくことで、武装探偵社のメンバーのきずなが見えてくるんですよね。そういう意味でも、原点回帰するような気持ちがありました。

TVアニメ「文豪ストレイドッグス」第4シーズンEDより
TVアニメ「文豪ストレイドッグス」第4シーズンEDより(C)朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会

――今回、お2人でお話されるという貴重な機会でもあるので、それぞれ聞いてみたいことがあれば、この場でお話しください。
PON じゃあ、僕から。どうして声優さんになろうと思ったんですか?
上村 僕はもともと子役でして。その子役時代からいろいろと声のお仕事をさせていただいて、そのころから声のお仕事は楽しいなと漠然と感じていました。そうして受験が落ち着き、大学に進学し、いよいよ仕事を本格的に始めようとしたときに、声優として出演したゲームのタイトルが、アニメ化することになったんです。それまでは声優の世界をほとんど知らなかったんですが、いざ活動をしてみたら、ラジオもやるし、イベントも出るし、キャラクターソングも歌うことになって。いろいろな表現ができることに驚いたんです。これは楽しそうだな、もっと声優をやってみたいなと思っていたころに、出会ったのが「文豪ストレイドッグス」でした。ちょうど大学を卒業した後そこからずっとこの作品にかかわることができて、本当にありがたいなと思っています。
PON そうだったんですね! ありがとうございます。
上村 じゃあ、僕も聞いてもいいですか。初めて曲をつくったのはいつですか?
PON 高校3年生のときですね。そのころからラックライフのメンバー4人で、別の名前でコピーバンドをやっていたんですよ。そもそも学校の文化祭に出たいがために組んだバンドで、ライブハウスにも出て、ずっとコピー曲をやっていたんです。そうしたら地元の高槻ラズベリーというライブハウスの人に「お前らそろそろオリジナルつくってみたらどうや」と言われて。「10月のライブで1曲やってみろよ」と。それで夏に1曲つくることにしたんです。それまで僕は歌いながらギターを弾いたことがなかったんですけど、オリジナルをやるなら歌いながら弾きたいと思って。夏休み中ずっと練習をして、10月に最初の曲を発表したんです。超純粋なラブソングでした。でも、1曲できると、どんどん次も次もとつくりたくなってきて。バンドっておもしろいかもしれないなと感じるようになったんです。昔からCHEMISTRYやEXILEが好きで、高校卒業したらオーディションとか受けてソロ歌手になれたらいいなと思っていたんですけど、バンドの活動が楽しくなっちゃって。そのうちどんどんバンドに力が入ってきた。それで今に至るという感じがありますね。
上村 そうだったんですね。聞けてうれしいです。ありがとうございました。

――お2人がごいっしょして約7年。これからもいろいろなかたちでのコラボレーションを期待しています。
PON そうですね。上村くんが「名前を呼ぶよ」をカバーしてくれたのがすごく新鮮で。人に歌ってもらうことで感じ方が変わるんだと思いましたね。自分は自分のために歌をつくって表現することが好きだと思っていたんですけど、人が歌ってくれる曲をつくることも音楽人としてのやりがいになるのかなと見いだすことができたらいいなと思いました。
上村 いつか、上村祐翔として歌うことができたらいいですね。
PON いいですね! そういうことができたらうれしいなと思います!

――第4シーズンもいよいよ物語が動きはじめました。ぜひ、お2人が気になっているキャラクターをお聞かせください。
上村 「天人五衰」ではニコライが気になります。やはり子安(武人)さんとの収録は、僕としてはタジタジでした(笑)。おもしろいキャラクターです。
PON 「猟犬」の大倉燁子さんが気になってます。漫画を読んだときから燁子さん、最強じゃないか?と思っていました。僕はああいう偉そうな人が好きなんです(笑)。

「天人五衰」のひとり、ニコライ・G
「天人五衰」のひとり、ニコライ・G(C)朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会

 

「猟犬」の副長、大倉燁子
「猟犬」の副長、大倉燁子(C)朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会

――上村さんにとって中島敦という役は長いおつきあいのあるキャラクターになってきたと思います。改めて、中島敦という役にどんな印象をおもちですか。
上村 敦として現場に立つときは、いつも自分自身が問われるような感じがあるんですよね。自分がいろいろな現場で培ってきたものを出そうとするんですけど、演じるってことはそういうことじゃないんだなと「文豪ストレイドッグス」の現場では思い知らされますね。自分自身と敦をすり合わせていくことで、演じるのではなく、敦になっていく。この世界のなかで、敦の声を出せるのは僕だけなんだという思いで現場にいようと思っています。
PON 上村くんは今はいろんな作品で主演をやっていますけど、どの作品もそういうふうに自分とすり合わせているんですか?
上村 そうですね。僕はキャラクターを演じるときに、自分のなかから近い部分を見つけて、キャラクターに近づいていこうと思っているんです。だから、キャラクターは僕自身だと思ってやっているところがあります。特に敦はずっと長くやってきている役なので、そのすり合わせを何度もやってきているなと思います。ただ最近は、僕自身がどんどん年を重ねて大人になってしまいまして、敦自身はほとんど年を重ねていないので、自分と敦のギャップが大きくなっている感じもありますが、すり合わせをしていく作業がおもしろいなと思っています。

上村祐翔演じる中島敦
上村祐翔演じる中島敦(C)朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会

――PONさんにとって「文豪ストレイドッグス」は7年にわたりに曲を書き続けてきた作品になると思います。ひとつの作品とおつきあいを続けるということは、どんな思いがありますか。
PON 作品としては、僕らの人生と重なるものをもっている人間くさい人たちが人間離れしたことをやってのけている。ともに歩んできたというとちょっと畏れ多いかなと思いつつ、僕らがメジャーデビューをしてからずっとEDを歌わせてもらってきた作品なので、とても思い入れが強くあります。でもね……5曲ですよ(笑)。音楽をつくる人間としては同じものをつくりたくないという思いもあって、5曲ともラックライフの色や、「文豪ストレイドッグス」の色を追求して。5曲とも毎回試されているような気持ちで挑んできましたし、試行錯誤をして、なんとかここまでやってくることができました。そうやってつくった5曲がTVから流れるのを聴くと達成感があるし、やりがいがあるなと感じています。5曲のみならず、これからも更新していけるバンドでありたいですね。

【取材・文:志田英邦】

■TVアニメ「文豪ストレイドッグス」
放送:TOKYO MX…毎週水曜 23:00~
   テレビ愛知…毎週水曜 25:30~
   KBS京都…毎週水曜 25:00~
   サンテレビ…毎週水曜 25:00~
   BS11…毎週木曜 23:00~
   WOWOW…毎週水曜 24:30~
配信:dアニメストア…毎週水曜 23:00
   ※その他の各配信サイトでも順次配信
   ☆毎週最新話の見逃し配信実施中!

スタッフ:原作…朝霧カフカ/漫画…春河35(「ヤングエース」連載)/監督…五十嵐卓哉/シリーズ構成・脚本…榎戸洋司/キャラクターデザイン・総作画監督…新井伸浩/プロップデザイン…片貝文洋/美術監督…近藤由美子/色彩設計…後藤ゆかり/撮影監督…神林剛/3DCG監督…安東容太、小栗裕樹/編集…西山茂/音楽…岩崎琢/音楽制作…ランティス/音響監督…若林和弘/音響効果…倉橋静男(サウンドボックス)、西佐知子(サウンドボックス)/音響制作…グロービジョン/アニメーション制作…ボンズ/製作…文豪ストレイドッグス製作委員会

キャスト:中島敦…上村祐翔/太宰治…宮野真守/国木田独歩…細谷佳正/江戸川乱歩…神谷浩史/谷崎潤一郎…豊永利行/宮沢賢治…花倉桔道/与謝野晶子…嶋村侑/泉鏡花…諸星すみれ/福沢諭吉…小山力也/フョードル・D…石田彰/ニコライ・G…子安武人/シグマ…千葉翔也/小栗虫太郎…草尾毅/条野採菊…梶裕貴/末広鉄腸…阿座上洋平/大倉燁子…小市眞琴/福地桜痴…大塚明夫

リンク:TVアニメ「文豪ストレイドッグス」公式サイト
    公式Twitter・@bungosd_anime

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