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現在、好評放送中のTVアニメ「盾の勇者の成り上がり」。その放送を記念して、スタッフ&キャストによるリレー連載をお届けします。
第13回は、ラフタリア役の瀬戸麻沙美さんとフィーロ役の日高里菜さんが2度目の登場となります。前編では、ラフタリアの過去とフィーロの成長を中心に2クール目前半を振り返っていただきました。
――まずは、前回のインタビュー時にまだ登場をしていなかったメルティについて、お二人はどんな印象を持ったかを教えてください。
瀬戸 最初は尚文と反発し合っていたので、仲間になっていろんな表情を見せてくれるようになったのが嬉しかったですね。王族としてのしっかりした部分だけではなく、かわいらしい部分がたくさんあるんだって気付かされて、ますます好きになりました。
日高 メルティは王女ということで凜とした女の子のイメージがあって、最初はフィーロとは対照的な女の子だと思ったんです。でも、尚文に名前で呼んでほしいと注文したり、フィロリアルを見てテンションが上がったり。一緒に旅をするようになり、年相応のかわいらしい部分が見えてきて、そのイメージががらりと変わりました。
――フィーロはメルティといつも仲良しですよね。
日高 二人の会話も微笑ましいですし、何より第18話で合成スキルを使えたのが嬉しかったですね。フィーロは「たー!」とか「はいくいっく!」とか短い叫びで独りで戦うイメージが強かったので、メルティと一緒にスキル名を叫べたのはテンションが上がりました。そのときの画もすごいんです! 二人とも手を前にかざすんですが、メルティは上品な手の開き方をしているのに、フィーロはぱぁっと子供らしい開き方をしていて。
瀬戸 画のこだわりがすごいですよね。そのキャラクターの個性が随所から感じられます。
日高 「スタッフさん、最高です!」って感激しました。
瀬戸 フィーロの動きといえば、第17話もよかったですね。フィトリアとの戦いでフィーロがジャンプするシーンがあるんですが、ジャンプする瞬間、ちょっとがに股気味になるんです。その動きが細かくて、きっとアニメーターさんたちもフィーロを描くのを楽しんでいらっしゃるのかなって感じました。
日高 愛されているなって感じます。
――さて、第15話ではラフタリアの過去が明らかになりましたが、こちらのエピソードの感想はいかがでしたか?
瀬戸 思っていた以上に壮絶な過去だったので、やっぱりショックでした。キール君が生きていてくれたことはとても嬉しいんですが、リファナちゃんは亡くなっていて……。
日高 何より悲しかったのが、リファナちゃんもラフタリアもすごく健気で明るかったのに、この仕打ちかというところですね。
瀬戸 そうなんです。「誰か好きな人はいるの?」みたいな他愛もない話をしていた描写があったからこそ、リファナちゃんの死の重みがすさまじいんです。ラフタリアの立場からするとなおさらですよね。ずっとリファナちゃんたちのことが胸につかえていて、それでも生きていると信じていたのに。
日高 このエピソードがあって、私はラフタリアのことがもっと好きになりました。これだけ壮絶な過去があって、リファナちゃんやキール君のことをずっと心配していたのに、「ナオフミ様のためだから」とまったくそのつらさを感じさせずに尚文の剣として仕えてきたんです。なんて、健気なんだって思います。しかも、その悲しみを背負ってこれからも戦い続けようとしている。本当に愛おしいです。
――瀬戸さんは幼少時のラフタリアを演じるのは久しぶりだと思いますが、切り替えなどは大変ではなかったですか?
瀬戸 幼少時のラフタリアは序盤のほうで掴めていたので、違和感なく演じられました。
日高 私は、幼少期のお芝居を生で見るのが初めてだったんですが、すごく素敵でした! しかも大人バージョンと幼いバージョンを切り替えながら一気に録っていて、さすが瀬戸ちゃんだなと。
瀬戸 できちゃうんです、私(笑)。
日高 言いましたね(笑)。
瀬戸 冗談です! 成長前と後で台詞の間隔に余裕があったので、そんなに大変じゃなかっただけです(笑)。
――この過去を踏まえ、亜人たちに対してひどい仕打ちをしていたイドルと対峙したシーンはいかがでしたか?
瀬戸 あれだけ憎しみを抱えていたのに、剣を収めるというのは勇気がいることだと思います。だからこそ、偶然イドルが転落したのはショックだったと思いますし、死んでいなかったのは救いだったな、と。
日高 殺しても意味がないってせっかく剣を収めた矢先だったのに、まさか自分から転落するとは思わなかったです。
瀬戸 個人的には複雑な思いもありましたが、ラフタリアにとっては生きていてよかったなと思います。
――やっぱり「複雑」ですか?
瀬戸 権力を振りかざして亜人を苦しめていた人ですし、正直なところ、それなりの罰を受けてほしいという思いはありました。それもあって、ドラゴン(タイラントドラゴンレックス)に踏みつぶされるという、あっけない最期は納得できました。
日高 この作品のすごいところって、敵役がとことん敵で悪なところだと思うんです。尚文と同じ視点で怒ったり、苦しんだりできる表現になっているので、尚文の苦労が報われたり、尚文たちが敵を倒したりすると同じようにホッとするんです。
瀬戸 そういう意味では、本当に王道の物語ですよね。尚文は斜に構えたところもありますが、悪者が出てきて、その悪者を懲らしめるというわかりやすい展開になっていて。
日高 王道の物語だけど、主人公は王道じゃないところが面白いですね。
――そして、第17話ではフィーロの成長が描かれました。
日高 フィーロの成長が描かれたということで、アフレコのときから印象に残っていたんですが、色がついて音がついてさらに好きになった話数です。スタッフさんが表情から指先まで丁寧に描いてくださっていて、フィーロの感情がよりダイレクトに伝わってきました。
瀬戸 改めてフィーロっていい子だなと思えた話数でした。里菜のお芝居が本当に素敵なんです! かわいいのに全然あざとくなくて、フィーロの純真無垢なところが映像からもお芝居からも感じられました。
日高 嬉しい!
瀬戸 いつも里菜の声を聞いていますが、この声は唯一無二なんだなって。
日高 「盾の勇者」で一緒になってから、たくさん私を褒めてくれるんですよ(笑)
瀬戸 本当にすごいから! 特にこの話数は感動しました。かわいらしくて、一生懸命なところがよく表れていて。
日高 今までは割と余裕のある戦い方をしてきたので、より一生懸命に感じられるのかもしれないですね。シリアスなバトルシーンでもフィーロだけはいつも楽しそうに戦っていたのに、今回は尚文やメルティのために必死になっていて。私もそのギャップにはっとさせられました。
瀬戸 確かに強い相手と戦っても、ここまで追い詰められることってなかったと思います。
日高 一対一で誰かのために戦うのも初めてなので。
――バトルシーンの描写も壮絶でした。
瀬戸 二人の戦いは痛々しかったですね。あんなに小さい子が叩きつけられてボロボロになるんです。鳥形で吹き飛ばされるのとは違って目に見えて衝撃的でしたし、それでもくじけないフィーロがますます愛おしくなりました。
日高 この戦いを経て鳥型と人型の両方でうまく戦えるようになったので、この痛みは無駄ではなかったんだなと思います。
――フィロリアルの次期女王に認められたことで、フィーロのビジュアルも少し変わりましたよね。
日高 アホ毛のところ、すごく好きです! ポンって抜くのがかわいくて。
瀬戸 でも、私は怖いと思ったんです! 太い束ですし、そのあとにまたアホ毛が生えてきて。よく考えてみるとホラーだなって……。アフレコ現場でも「自分で抜いてるんですよ? 怖くないですか!?」って、里菜に言いました(笑)。
日高 考えすぎだよ~(笑)。あの嫌がっている表情がかわいいの!
瀬戸 確かに「いやー」って言っているところは、素直でかわいいなって思います(笑)。
――フィトリアについてはいかがでしたか?
瀬戸 洋服が魔法少女みたいでかわいかったです。
日高 性格が淡々としているので服装も大人しいのかなと思っていたら、フィーロよりもガーリーで。これはこれでかわいいなと思いました。
瀬戸 アホ毛が三本あるのも驚きました。
日高 衝撃的でしたね。しかも、アホ毛を盾に吸収させたら、スキルが解放されて。「アホ毛、優秀すぎる!」って思いました(笑)。
瀬戸 あとは第16話の尚文とフィトリアのやり取りもよかったですね。
日高 あのシーンは私も大好きです。フィトリアが壁の上を歩いているときの後ろ姿や動きに、彼女が背負ってきたものや寂しさが感じられて。
瀬戸 彼女が生きてきた長い年月を想像しちゃいますよね。歩くという行為の中にも楽しみを見出そうとしているのかな、独りでずっとこうやって生きてきたのかなって。
日高 フィトリアが石を積み上げるところもそうですが、キャラクターの背景を想像させる演出がいろんなところにあって、気付けば感情移入しています。
瀬戸 第17話の膝枕もよかったですね。尚文に甘えるんですが、ラフタリアやフィーロとはまた甘え方が違うんです。
日高 尚文そのものに甘えるというよりは、自分の大切な過去に甘えるというか、思いを馳せるような感じで、そのときの表情にグッときました。
――では最後に、第19話の見どころについても聞かせていただけますか?
瀬戸 教皇が出てきて大変なことになっていますが、元康たちに不満を溜めていた方にとっては爽快な気持ちになれるシーンもあるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
日高 いつも尚文だけが危険に晒されていましたが、第19話は元康たちも含めみんなが同じ状況になるという珍しいシチュエーションが描かれます。そこで、それぞれがどんな行動をしようとするのか、その目で確かめていただけたら嬉しいです。
【取材・文:岩倉大輔】