新作&おすすめアニメのすべてがわかる!
「月刊ニュータイプ」公式サイト
好評放送中のTVアニメ「彼方のアストラ」をさらに盛り上げるための、キャスト&スタッフによるリレー連載がスタート。
第4回のゲストは、キトリー役の黒沢ともよさんとフニシア役の木野日菜さんが登場。複雑な事情を抱える二人の距離感をどう演じようとしたのか。たっぷり語っていただきました。
――まずはキトリーについて、黒沢さんはどんな女の子だと捉えましたか?
黒沢 おっぱいとお尻の形がきれいな子です!
木野 そこ!?(笑)
黒沢 キトリーって女子が理想とする体型だと思うんです。男の子はきっとユンファやアリエスがいいんでしょうけど、私がいいなと思うのはどちらかというとモデル系。あの引き締まったスタイルは本当に素敵だなと、そんな第一印象でした。
性格については、音響監督の飯田(里樹)さんもおっしゃっていたんですが、いつもツンツンしているけれどツンデレの枠には収まらない女の子だと思います。男の子を弄ぼうとしてただツンツンしているわけではなく、本当にテンパってしまってとげとげしくなってしまうだけなんです。そんなところがかわいいなと思います。
木野 すごく自然体の女の子ですよね。黒沢さんのお芝居の力もあって、本当にそこにいるような存在感があります。キトリーは感じたことを感じたまま言葉にするタイプなので、どんな調子で台詞が飛んでくるのか、フニシアとして想像できないところが面白いです。
――では、フニシアについてはいかがですか?
黒沢 かわいい!
木野 (笑)。フニも特定のジャンルでは言い表せない子ですね。まだ自分の言葉でうまく気持ちを伝えられないので、なかなか本心が見えないという事情もありますが……。第3話ぐらいからは徐々にB5班のメンバーとも距離感が近づいたかなと思います。
黒沢 第1、2話だとビーゴが気持ちを全部代弁してくれていたからね。
木野 そうなんです。本当は全部フニの気持ちなんですけどね(笑)。そういう意味では気持ちを言葉にできないだけで、感情は豊かなんだなと思います。
黒沢 繰り返しになっちゃいますが、フニはかわいくて仕方ないです! 「彼方のアストラ」はオーディションがなく、第1話でみんなが現場に集まってそこで役を掴んでいくという形だったので、最初にフニの声を聴いたときは「義妹といえどもこんなかわいい妹がいていいのかしら」って思うくらいかわいいなって思いました。私にとって、ナンバーワンの妹です。
木野 ええええ、嬉しい(笑)。
黒沢 でも、ヘビーな人生を送ってきたのに、しっかりしていて全然すれていないところは本当にすごいなって思います。もちろん、しっかりしているがゆえに正論が出ちゃったり、子どもなりに核心を突いちゃったりすることもあるんですが、日菜ちゃんのお芝居のさじ加減もあって、素直ないい子という印象が強いです。
――第1、2話だとキトリーはフニシアに対する当たりが強かったですよね。
黒沢 キトリーはお母さんとの関係もあって、やっぱり擦れてしまっているんです。自分はかわいがられず、お家に居場所がなかったのに、そこへ妹がやってきていきなりかわいがってあげてなんて言われたら……絶対に複雑な気持ちですよね。しかも、フニは自分と違ってとってもいい子だから、つい強く当たってしまったんだろうなと。
木野 キトリーが冷たく当たってくるので、フニもしょんぼりしちゃうんですが、音響監督さんから「そんなに悲しく見えないようにしてほしい」とディレクションをいただいたんです。つらいことがあっても健気に明るく振る舞うというのがフニなんでしょうね。
――ほかに何か音響監督から演技についてリクエストされたことはありますか。
黒沢 第1、2話ぐらいだとキトリーは「もっと冷たく」「もっとキツく」というディレクションをいただくことが多かったです。誰に対してもとげとげしく喋る、そういう距離感の子なんだなと思いました。
木野 私も第1話の冒頭で、音響監督さんから「声の調子はそのままで大丈夫ですけど、もう少し年齢感を上げてください」と言われました。見た目が子どもなので、喋り方ももっと子どもっぽいのかなと思っていたんですが、フニは児童養護施設で暮らしてきていろんなことを考えてきた子ですし、ただ明るく無邪気なだけの子ではないなと納得しました。
――実は第3話のアフレコを見学させていただいたのですが、黒沢さんは監督に「フニがうちの養子になったのも6月よね」という台詞を「うちの子」にしてはどうかと提案されていましたよね。
黒沢 第2話の最後にあれだけ強く抱きしめて、ごめんねと言ったあと「うちの養子」という距離感のある言い方をするかなと思ったんです。原作では「養女」だった台詞を聞き取りやすくするために「養子」にしていましたし、せっかくなら親密なところを出せたらいいなと思って提案させていただきました。難しければ芝居で距離の近さを出そうと思ったんですが、監督も快く受け入れてくださって嬉しかったですね。
木野 第3話以降のキトリーはフニにデレデレなのがかわいいです! 優しく接してくれるようになったことで、フニのリアクションも素直に喜ぶ演技になって私も嬉しくなりました。
――「彼方のアストラ」のキャスト陣は若手の方が多いですが、共演者から刺激を受けることはありますか。
黒沢 アニメの収録って、作品によりけりですが休憩のときは芝居の話をあまりしないほうがいいという場合もある気がするんです。それは変に役者の主観が入ってしまうより、監督という統率者に方向性を決めてもらったほうがいいものが作れるという考え方からなんですが、「彼方のアストラ」の収録はキャスト同士の息づかいに任せてくれることが多いので、休憩中もよく芝居の話をしています。
特に突っ込みやボケのテンション、間に関して、テストが終わると「ここは引いたほうがいいかな、押したほうがいいかな」ってあちこちで芝居の話になるんです。細谷(佳正)さんがきっかけを作ってくださることが多くて、キトリーもザックとの距離感についてよく話し合っています。そういうところはすごく刺激的な現場だなって感じますね。
木野 共演者の皆さんのお芝居を見るといつも鳥肌が立ちます。「彼方のアストラ」は惑星でも船でも、のほほんと会話していると思ったら、急にピンチになって緊張感が高まるということが多くて、皆さんその切り替えがすごいんです。フニシアはあまり大きな行動に出ることが少ないので、皆さんに圧倒されながらキャラクターの動きとお芝居を見守っています。
黒沢 私、いつも日菜ちゃんの台本がすごいなって思うんです。
木野 ええ、そうなの!?
――台本の書き込みですか?
黒沢 そうです。すごくかわいいんですよ!
木野 初めて言われた!
黒沢 いつか皆さんにも見ていただきたいんですが、付箋の数がすごいし、台詞もきれいに色分けされていて、テスト前のノートみたいな感じなんです。しかも、ページをめくってすぐに自分の台詞があると、前のページの最後に「次、すぐ、めくって!」って書いてあるんです。「ヤミー」のイラストが描いてあったりして、もうかわいすぎます!
木野 心配性なので、ガイドがあったほうがいいかなと思って……。でも、よく見てるよね(笑)。
黒沢 アドリブの台詞があるときは日菜ちゃんの近くに行って、「フニ、フニ」ってフニを探すんですが、そのときに自分の台本をしまいたくなるくらいかわいい台本を見つけてしまって(笑)。私はあまり書き込まないタイプなので、衝撃的でした。いつか公開してほしいです!
――では最後に、今後の見どころをぜひ教えていただけますか。
黒沢 私はザックに注目していただきたいですね。どんどんメンバーに馴染んでいって、ザックのとぼけた行動やザックがいじられることが増えていきます。ぜひ楽しみにしていてください。
木野 これから本格的な冒険が始まるので、どんな惑星があるのか、そこでみんながどんな活躍をするのか、注目していただけたら嬉しいです。
【取材・文:岩倉大輔】