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現在放送中のTVアニメ『慎重勇者 ~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~(以下、慎重勇者)』。そのヒロインである女神・リスタルテを演じる豊崎愛生さんにインタビューを行いました。前後編の2回に渡って送るインタビューの前半をお届けします。
インタビューでは、豊崎さんが抱いているリスタルテというキャラクターへの印象をはじめ、アフレコ現場の様子、耳に残る数々のセリフの収録秘話をお聞きしています。回答の各所から溢れる豊崎さんの“『慎重勇者』への愛”にも注目です。
――リスタルテの第一印象はいかがでしたか?
豊崎:オーディションを受けるにあたって、原作小説の絵を見させていただいたのがリスタ(リスタルテ)との初めての出会いでした。とよた瑣織先生が描くリスタルテを見て「なんてかわいらしい女神さまなんだ!」と思った……というのが“第一印象”でした。
――では、その印象が変わるきっかけは何だったのでしょうか?
豊崎:より作品を知るためにリスタのセリフを見たら「生乳ハミ出ちゃってるからぁ!」っていうセリフがあったんです。その時に「あっ、これはギャグなんだ」と理解しました。加えて、オーディションに向けて、土日月先生が執筆する原作小説を読ませていただいて、リスタの印象はだいぶ変わりましたね。
見た目は本当に女神様らしいキャラクターなんですけど、原作を実際に読むと“駄女神様”なんだなって思いました。女神様らしい部分は、第1話からもう崩れていたので、開始数分も持たなかったなと(笑)。
――そんなギャップのあるリスタルテですが、豊崎さんから見た彼女の魅力とはどこでしょうか?
豊崎:やっぱり一番は視聴者のみなさんと同じ目線に立っているところですね。親近感が湧く部分だと思います。原作小説でもリスタ目線で先生が物語を描いているので、みなさんと同じ気持ちを持っていて共感できるのがリスタの魅力だと思っています。
――そういった魅力は、演じる際にどのように表現しているのでしょうか?
豊崎:セリフはもちろんツッコミも含め、視聴者のみなさんと心を1つにできる部分がリスタの魅力になればいいなと思って全力で演じています。作画チームのみなさんがすごくこだわってリスタを描いてくださっているおかげで、リスタはかわいく表情豊かになっています。私はそれに負けない芝居をして、アニメーションになった時に、彼女の魅力がよりパワフルに伝わればいいなと思っています。
――リスタルテのキャラクターとしての濃さは、アフレコを続ける中で徐々に完成されていったものなのでしょうか?
豊崎:アニメのキャラクターを演じる時って、第1話ではまだ探り探りの状態で「どこまで許されるのかな?」「ここまではやっちゃっていいのかな?」というラインを少しずつ構築していく感じなんです。でも、リスタに関しては初っ端から表情が吹っ飛んでいて答えは明確だったので、最初から「思い切ってやればいいんだ」と意識して演じることができましたね。
――表情も印象的でしたが、第1話ではリスタルテのセリフ量が膨大でしたよね。
豊崎:そうなんです。それもあって、アフレコにはノリとテンションを上げてギア全開で挑みました。セリフが口パクの尺に入りきらないと思っても無理やり入れたりすることもありましたね。そのテンポのよさもあって、ポンポンとストーリーも原作の小説通りに進んでいるのがすごいです。
――今回のように1話の中身がほとんど自分のキャラクターのセリフっていう経験は今までにありましたか?
豊崎:あまりなかったかもしれません。セリフ量が多いキャラクターはこれまでにもいましたが、あのテンポ感であのセリフ量、しかもテンションフルスロットルで……というのは初めての経験でした。
――やはり、速いテンポでセリフも多いと大変な部分もあったりするのでしょうか?
豊崎:いえ、全然大変ではなく、楽しいですね! むしろ好き勝手やらせてもらってすみません……みたいな感じです。リテイクも少なく、逆に「もっとやっていいよ」という言葉をもらったこともありました。アフレコの際には完全に絵が完成している状態ではなかったので「もっと顔がこうなるのでそれに合わせてもっと」みたいな指示が出ることもありましたね。
――アフレコ現場の雰囲気はいかがでしょうか?
豊崎:みんなで楽しく笑いながらやっています。物語とセリフのテンポがいいので、演じていて気持ちいいですね。その一方で、セリフのリズム感もテンポがよすぎるせいか、みんなでセリフを掛け合うことになり、アフレコの最中はまるで餅つきをやっているような感覚になってしまうこともあります(笑)。
――リスタは特徴的なセリフが多いですが、中にはアドリブもあったりするのでしょうか?
豊崎:リスタに関しては、実はアドリブは割と少なかったりします。台本には従いつつ、そのうえでどうやっておもしろい演技を見せられるのかを考えてやっています。もうすでに原作でのリスタのセリフやツッコミ、リズム感は確立されていて、そこは大切にしたい部分です。なので、基本的に原作小説のリアクション通りの音を出しながら、さらに私がドライブをかける……という意識をしていますね。
――ということは、叫び声のような部分もセリフとして台本に記載されているということですか。
豊崎:そうなんです。「アヘェェェェ!」とか「あばばばばばばば!?」とか、台本に書いてあるんです(笑)。
――収録をしている最中の豊崎さんの様子が気になるところですね……。
豊崎:周りからは「楽しそうでなによりです」って言われます(笑)。楽しんでいますが、かと言ってリスタの中に私が見えたらいけないとは思っているので”豊崎がしゃべっている”じゃなくて“リスタルテがしゃべっている”という範疇に留めておこうというポリシーは自分の中に持って臨んでいます。
これまで演じてきたキャラの中でも、リスタはふり幅が広いキャラクターというか、色々な声色を使っても許される顔とリアクションをしているキャラなので、その結果演じていて楽しそうと言われるという部分はありますね。実際に私も楽しいですし、演技がリスタに合っていると言ってもらえることもあって嬉しいですね。
――他にも、リスタルテを演じる上で注意していることはありますか?
豊崎:やっぱり一番は、自分が楽しむことですね。テンション高く演じることで、リスタがより生き生きしてくれるといいなと思っています。まずは自分がキャラクターを好きになり、原作小説を大好きになり、その上で声を使ってどう味付けをするか……ということを考えています。
『慎重勇者』の原作小説からアニメまで、いろいろな方がリスタを描くじゃないですか。土日月先生、とよた瑣織先生、コミカライズのこゆき先生、アニメーターさん……みなさん自分の中にリスタ像を持って描いていると思います。でも、すごくたくさんの人が描いているのに、リスタに対する認識は、割としっかりと固まっているように感じるんです。私のリスタ像も制作サイドのみなさんが考えているものとほとんど違いがありませんでした。なので、私が考えているリスタになるように思いっきりやって、スタッフさんに笑ってもらえたらOK、と考えて演じています。
――リスタルテはセリフもツッコミも豊富ですが、演じるにあたって事前に準備などされていることはありますか?
豊崎:私はアフレコをしていく中で、ツッコミのバリエーションをもう少し増やしたいなと思い続けてきたんです。そのために台本にどんな感じでツッコミをするかメモを入れるんですが、後から見返してもそこに書き込んだ自分のメモが意味がわからないんですよ(笑)。ツッコミの部分はお笑い芸人さんの名前やコンビ名が書いてあったりします。
――ツッコミの参考にしているのは、本物のお笑い芸人さんということですか?
豊崎:多分、私が見た漫才のツッコミに「これや!」ってピッタリくるものがあって、それを文言で書いていたんです。あとは「韻を踏む」って書いてあるのに、全然セリフでは韻を踏むワードなんて無かったり。自分でも何を書いているのかわからないという……。
深夜テンションで書いていることが多くて……。例えば今回の収録だったら……(手元にある台本を見ながら)。セリフの横に『サラリーマン●太郎』って書いてあります(笑)。台本のチェックをした時に「これ!」って思いついたものをメモして収録に向かっていました。
――そういう日常の中で演技の幅を広げていくのは、まさに声優さんという感じですよね。
豊崎:声優という仕事の職業病なのかもしれませんが、普段ラジオとかテレビとか見ていても、言い方がすごい気になってしまうんですよね。「この人はこんなしゃべり方なんだ」とか「このテンポ感いいな」って思ったりしてて、漫才とかを見ていてもネタの内容よりも声質とか言い方とかばっかり気にしちゃいます。特に『慎重勇者』の収録をしてからはツッコミがもっと気になっちゃって。お笑い番組を見ている時、めちゃくちゃ楽しんでいても無意識に研究しちゃっているので、多分、ずっと真顔でテレビを眺めていると思います(笑)。
放送・配信情報
10月2日からTVアニメ好評放送中
AT-X:毎週水曜22:30
AbemaTV:毎週水曜23:00(地上波先行・独占先行配信)
TOKYO MX:毎週水曜23:30
KBS京都:毎週水曜25:35
サンテレビ:毎週水曜26:00
テレビ愛知:毎週木曜26:05
BS11:毎週木曜23:00
メインスタッフ:原作…土日月『この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる』(株式会社KADOKAWA/カドカワBOOKS刊)/キャラクター原案…とよた瑣織/監督…迫井政行/シリーズ構成・脚本…猪原健太/キャラクターデザイン・総作画監督…戸田麻衣/プロップデザイン…戸田麻衣、鈴木典孝、岩畑剛一/美術設定…青木薫(美峰)、緒川マミオ、デジタルノイズ/美術監督…高峯義人(美峰)、宮里和誉(美峰)/色彩設計…佐藤美由紀(Wish)/特効監修…谷口久美子(チーム・タニグチ)/撮影監督…大泉鉱(T2studio)/2Dワークス…荒木宏文/3Dディレクター…板井義隆(アイラ・ラボラトリ)/編集…須藤瞳(REAL‐T)/音響監督…明田川仁/音楽…藤澤慶昌/音楽制作…KADOKAWA/アニメーション制作…WHITE FOX/製作…慎重勇者製作委員会
メインキャスト:竜宮院聖哉…梅原裕一郎/リスタルテ…豊崎愛生/マッシュ…河西健吾/エルル…古賀葵
OPテーマ
MYTH&ROID『TIT FOR TAT』(10月23日発売)
EDテーマ
安月名莉子『be perfect,plz!』(11月6日発売)