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「デカダンス」リレーインタビュー 小西克幸&楠木ともり&鳥海浩輔&喜多村英梨「最終話は“覚悟を決めた者”たちの生き様に注目してほしい」

新たに出現した巨大ガドルに、カブラギたちはいかに対抗するのか――!?

いよいよ最終話を迎えるTVアニメ「デカダンス」。リレー連載第16回は、再びカブラギ役・小西克幸さん、ナツメ役・楠木ともりさん、ミナト役・鳥海浩輔さん、クレナイ役・喜多村英梨さんが登場。それぞれの関係性とクライマックスの見どころを語っていただきました。

カブラギ役の小西克幸さんと、ナツメ役の楠木ともりさん
カブラギ役の小西克幸さんと、ナツメ役の楠木ともりさん (C) DECA-DENCE PROJECT


ミナト役の鳥海浩輔さんと、クレナイ役の喜多村英梨さん
ミナト役の鳥海浩輔さんと、クレナイ役の喜多村英梨さん (C) DECA-DENCE PROJECT


――いよいよクライマックス直前ということで、第10話のガドル工場襲撃後ぐらいから振り返っていければと思います。まずはナツメですが、この世界の真実を知り大きなショックを受けていました。

楠木 あれだけ前向きに、ひょうきんに生きてきた子が動揺を隠せないぐらいショックを受けるので、お芝居も気をつけました。ナツメらしさは残さなければいけないけれど、それ以上に唖然としたり、怒りがこみ上げてきたりといった複雑な感情を抱えるんです。当たり前だと思っていた価値観が崩れてしまった衝撃を出すのは、やっぱり大変でした。

楠木ともりさんの演じるナツメ
楠木ともりさんの演じるナツメ(C) DECA-DENCE PROJECT


小西 ナツメにとっては物凄く衝撃的な事だと思います。世界の根底から覆されることですし。カブラギはルールがあるとはいえナツメたち人間を騙していたサイボーグ。その上、ナツメのお父さんの死もサイボーグが関わっている。この世界の真実を伝えればナツメは排除されるということもありますが、真実を伝えるのはしんどかったんじゃないでしょうか。

小西克幸さんの演じるカブラギ
小西克幸さんの演じるカブラギ(C) DECA-DENCE PROJECT


――ショックを受けたナツメを支えたのが、クレナイでした。

喜多村 クレナイはうつむいている子どもがいたら、ただ見守るだけではなく、少し背中を押してあげられる家族愛みたいなものがあるんですよね。だから、ナツメのちょっとした表情の変化、違和感に気付ける。いいお姉ちゃんのような存在ですね。勝手な想像ですが、きっと“かの力”のタンカーたちの間ではクレナイを中心とした大家族みたいなものが出来上がっているんじゃないかなと思いました。

喜多村英梨さんの演じるクレナイ
喜多村英梨さんの演じるクレナイ(C) DECA-DENCE PROJECT


楠木 自分が見たものや感じたことを大事にしなさい、というクレナイの言葉がすごくよかったです。今までナツメって真っ直ぐで強いところが強調されてきたので、なんでも自分で決めて進んでいるように見えるんですが、実はまわりの影響を受けてそれを正しいと信じて進むことが多かったんです。その中で、クレナイさんの言葉を受けてやっと自分自身の想いに向き合うことができたのかなと思いました。

喜多村 クレナイはお姉さんっぽさもありますけど、実は先生みたいなところもあるんです。ナツメがネスト攻略の参加を見送ろうとしたときも(第4話)、「それは自分で決めたの?」って聞いていますよね? 最初から答えを押しつけるのではなく、まず本人の気持ちを引き出すための、少しだけ背中を押すような言葉や疑問をぶつけて本心を引き出すことができる。しかも、自然に。それがすてきだなって思いますし、人間として憧れます。

――一方、ミナトはガドル工場襲撃前からずっとカブラギを心配しては、やきもきさせられていましたね。

鳥海 それこそ第5話のネスト攻略の頃からずっと、「何やってんだよ、カブ!」って悶々としていたでしょうね。

鳥海浩輔さんの演じるミナト
鳥海浩輔さんの演じるミナト(C) DECA-DENCE PROJECT


小西 ミナトからすれば何度もカブラギに裏切られているはずなのに、ミナトは決してカブラギを裏切らないんですよね。実はどこかで敵対するのかなと想像していたんですが、いつまで経ってもミナトはカブラギを心配していて。正直、お前まだ手を貸す気なのかと(笑)。

喜多村 何かあるたびに、「カブ……カブ……」って言っていたのが面白かったです。

鳥海 だから、ますます気になりましたよね、二人の過去に何があったのか。その辺はぼかされていますが、もしかしたらいいパートナーだったのかなとか、ミナトはあまり戦闘向きの印象はないので現場と後方でサポート関係にあったのかなとか。いろいろ想像できるのが面白いですね。

――第10話の後半、ナツメがカブラギの手紙を読み、カブラギと再会するシーンはいかがでしたか。

TVアニメ「デカダンス」より
TVアニメ「デカダンス」より(C) DECA-DENCE PROJECT


TVアニメ「デカダンス」より
TVアニメ「デカダンス」より(C) DECA-DENCE PROJECT


楠木 第10話のナツメは、終始、気持ちを溜めに溜めていたと思うんです。カブラギの手紙が溜めていた感情を解き放つきっかけになるので、どう演じればナツメのもやもやと葛藤の解消が出せるか、ずっと考えていた記憶があります。

小西 僕はナツメとちゃんと話せたのが嬉しかったですね。……いや、嬉しいというより安心感ですかね。ナツメにとって背中を押してくれるのがクレナイであるように、カブラギにとって背中を押してくれるのがナツメなんです。自分は自分のままでいいんだよと教えてくれる人なので、話していてとても安心します。

楠木 それから、世界は嘘ばかりかもしれないけれど、組長との思い出は本物だから組長を信じると決意できたナツメはすごく強いなと思いました。しかも、そのあとの憎まれ口がかわいいんです! 「協力します」じゃなくて「協力してあげますよ」と言えるところがナツメらしいなって。

小西 ドヤ顔だったよね。

楠木 そうなんです! ここはナツメらしさを出したくて、カブラギが思わず笑ってしまうような言い方を意識しました。ナツメもカブラギに会えて嬉しかったと思いますし、暗い表情から一転して、ぱっと明るくしたかったんです。

小西 きっとナツメにもそういう意識がありましたよね。カブラギに笑ってもらおうって。実は意外と気づかいの子なんだなって思いました。

――そして第11話ですが、こちらでのカブラギとナツメについてはいかがでしたか。

小西 ここまでくると何も言わなくても通じ合える仲になっていましたね。

楠木 ちゃんとカブラギの覚悟を悟って、組長は組長、自分は自分のやるべきことをやると決心できましたからね。「なんでですか、どうしてですか」って聞きまくっていたナツメが、カブラギの顔を見て言葉を聞くだけで、理解できるようになっていたのが嬉しかったです。

小西 ものすごい信頼関係を感じました。カブラギっていわば嘘ばかりの世界を隠していた一人のわけです。第10話を蒸し返す形になりますが、嘘をついていた人をここまで信頼できるって相当だと思います。

楠木 きっと離れていた間もカブラギのことをずっと考えていて、信頼が高まっていったんだと思います。

小西 自分の生き方を見直して、しかも相手のことも考えられるって、やっぱりナツメはすごい子ですよ。

――鳥海さんと喜多村さんから見たカブラギとナツメの印象はいかがでしたか。

鳥海 二人は似ているところも多いんですが、だからこそちょっとした違いが印象的に見えました。カブはもう結末も自分がどうなるかもわかっているのか、わりと落ち着いて見えるのに対して、ナツメはもうちょっと抗いたいという気持ちが強い印象で。そのテンションの違いが最終話でどうなるのか楽しみですね。

喜多村 二人の関係ってひと言で表すのがすごく難しいんです。ただのラブではないし、単純な師弟愛とも違うし。

鳥海 カブラギに父親の面影を重ねている様子でもないですしね。心と心の結びつきが強いのは確かだと思いますが……。

喜多村 カブラギにしてもパイプにしてもそうですけど、ナツメはサイボーグだろうとガドルであろうと、いいと思ったものはいいと言える子なんでしょうね。自分が信頼できると思ったら、個人として個体として信頼する。それがナツメの魅力だと思います。その魅力に引っ張られることで、カブ様も魅力的に行動していくのが本当にアツいです。

――第11話では、カブラギとミナトが対峙する場面もありました。

鳥海 カブの揺らぐことのない覚悟と「最後まで一緒に戦ってくれないか」という言葉によって、やっとミナトも覚悟を決められました。ミナトも最初のカブと同じで、実は人生を諦めている人だったのかもしれないですね。システムに抗えないから、システムを受け入れていた。でも、親友はシステムに反抗してすっきりした顔をしているし、その覚悟も本物だった。それに触発されてしまったんだろうなと思いました。

小西 司令官という立場が隠していたけれど、実はミナトも最初からバグだったのかもしれないですね。リミッター解除の話を盗み聞きしても聞かなかったことにしているし、反抗しまくりのカブラギですら助けようとしていますからね。それでもシステム側であろうとしましたけど、最後の最後にカブラギと手を取り合うのが“粋”だなと。

鳥海 よくも悪くも優等生だったんでしょうね。でも、最後くらい道を踏み外してみるのもいいだろうと、ちょっと遅くきた反抗期のような感じでカブについていったのかなと思いました。

喜多村 この二人は端から見るとラブラブとしか言いようがなかったです!

小西 確かに、ミナトはカブラギのこと好きすぎるだろって思いました(笑)。

楠木 カブラギもカブラギであれだけ勝手なことをやっておいて、それでもミナトが自分の力になってくれると信じているのがすごいです。

鳥海 まぁでも、ここでミナトが吹っ切れてすごくいい表情になったので、最終話はより人間らしくなったミナトが見られると思います。

TVアニメ「デカダンス」より
TVアニメ「デカダンス」より(C) DECA-DENCE PROJECT


――ありがとうございます。では最後に、最終話の見どころを聞かせていただけますでしょうか。

喜多村 最終話の話の前に、やっぱり演じていたパイプの件はすごく悲しかったです。でも、ただ悲しいだけじゃなくて、やっぱり「デカダンス」は見せ方がすごいなとも思ったんです。目の前で消えてショックを受けるとか、そういう演出ではなく、「じゃあな」と言って別れてご飯のお皿と服だけが残っているという見せ方が余計にグッとくるというか……。最終話でも立川(譲)監督をはじめとするスタッフの皆さんの素晴らしい演出が見られると思います。最後の最後まで楽しんでください。

鳥海 覚悟を決めたカブラギ、そして彼と一緒に戦うことになったミナトであったり、自分のなすべきことのために動き出すナツメであったりと、それぞれ生き様が生き生きと描かれます。30分間ずっとクライマックスのような展開なので、手に汗握ってご覧ください。

楠木 ナツメは11話にかけて「自分がどう生きるか」をちゃんと選び続けてきた人間なので、そのナツメが最終的に何を選び、どんな人間になるかを見届けていただきたいです。とにかくアツい展開になることは間違いありません!

小西 生きることを諦めていたカブラギがナツメというバグに出会ったことでどう変わったのかが、はっきりわかるお話になっています。カブラギはとにかくカッコいいおじさんなんですよ、とだけは言っておきます(笑)。

【取材・文:岩倉大輔】

■TVアニメ「デカダンス」
放送:AT-X…毎週水曜23:30~
   TOKYO MX…毎週水曜25:05~
   テレビ愛知…毎週水曜26:35~
   KBS京都…毎週水曜25:05~
   サンテレビ…毎週水曜25:30~
   BS11…毎週木曜23:00~
配信:ABEMA…水曜24:00~ ※地上波先行・最速単独配信
   dアニメストア…毎週土曜24:30~

スタッフ:原作…DECA-DENCE PROJECT/監督…立川譲/構成・脚本…瀬古浩司/キャラクターデザイン・総作画監督…栗田新一/キャラクターコンセプトデザイン…pomodorosa/サイボーグデザイン…押山清高(スタジオドリアン)/デカダンスデザイン…シュウ浩嵩/ガドルデザイン…松浦聖/音楽…得田真裕/音響監督…郷文裕貴/アニメーション制作…NUT/製作…DECA-DENCE PROJECT
キャスト:カブラギ…小西克幸/ナツメ…楠木ともり/ミナト…鳥海浩輔/クレナイ…喜多村英梨/フェイ…柴田芽衣/リンメイ…青山吉能/フェンネル…竹内栄治/パイプ…???

リンク:TVアニメ「デカダンス」公式サイト
    公式Twitter・@decadence_anime
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