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「アナ雪」で劇的な一年に、神田沙也加インタビュー

ディズニー映画「アナと雪の女王」日本語吹替版のアナ役を演じ、第9回声優アワード主演女優賞を受賞した神田沙也加。現在発売中のニュータイプ5月号(特別定価800円)では、受賞に関する感想や「アナ雪」アフレコにまつわるエピソード、“声優”という存在への想いを語ってもらったが、誌面からあふれ出した彼女のアニメーション愛をここに掲載! 本誌と合わせて、お楽しみあれ。

──授賞式直前のタイミングでのインタビューになりますが、授賞式に臨むお気持ちとは?

神田:個人的に大好きな方々に囲まれての授賞式になってしまうわけなんですけど、もうそういう感覚はすべてシャットアウトして、いち役者としてちゃんと臨みます。そうじゃないと立っててはいけない場所だと思うんです。もっと深夜帯の作品だったり、いろいろな役柄に携われるようになったら、そういうファン心理も小出しにさせていただきたいとは思うのですが(笑)、今の私では、まったくおこがましいので。

──2014年は本当に「アナ雪」旋風がものすごかったですね。

神田:すばらしい映画だとは思っていましたが、まさか社会現象といわれるまでの作品に育っていくとは思っていなくて、それはディズニーの方々ですら驚かれていたことでしたので、うれしいのと同時に、作品やキャラクターがひとりで歩き始めちゃったなぁ、という感覚もありましたね。何といったらいいか、今では親心みたいな気持ちでアナを見ていることが多くて。アナが皆さんから愛されて「アナー!」って声をかけていただいている光景を目の当たりにすると、「ああ、よかったねえ」と思います。東京ディズニーランドで「アナとエルサのフローズンファンタジー」というイベントが開催されて連日盛況だったという話をうかがっても、すごくうれしくて。私自身も初日に松たか子さん、ピエール瀧さん、May J.さんと公式に参加させていただいたのですが、そのあと、いちお客さんとしても遊びにいって、皆さんといっしょに楽しんでいたんですよ。

──劇的な一年。なかでも印象的だった出来事は?

神田:本当に全部なのですが、ミュージックステーションの「SUPER LIVE 2014」に出演させていただいたことが印象深いです。「アナと雪の女王 SPメドレー」としてアナの曲を歌ったのですが、J-POPではなくミュージカル用の曲ということで、ただでさえ毛色が違う楽曲だというのに、それをアナとしてではなく素の神田沙也加として歌わせていただくというのは、自分のなかではかなりチャレンジングなことでした。だって、私=アナというわけではないので……。でも、あの日限り、アナを演じることをお許しいただいて、ミュージカル仕立てのメドレーをやらせていただけて……。番組のなかでは、すごく浮いた存在だったかもしれないのですが、でも、もしもそれを見て、少しでもミュージカルっておもしろいなって思ってくださった方がいたならうれしいですし、掛け橋になるようなことが私にできるのなら、いろんな挑戦をしていきたいな、と思えた経験でした。

──ところで、神田沙也加さんといえば、アニメ好きということでも知られていますが、最近お気にいりの作品はありますか?

神田:それが、ここのところ、全然見られていないんです。見ないうちにすぐハードディスクがいっぱいになっちゃって大変なんです……。なので、2014年のアニメに関しては、もう知ったかぶっても仕方がないので、まったく見てません、と白状いたします。もちろん落ちついたら、ちゃんと追いかけますけどね(笑)。テレビ番組だとアニメ好きということはネタとして扱われがちなんですけど、好きな作品は普通に良いモノだと思っているので、もっとゆっくり語れるような場がほしいです。

──舞台「ダンガンロンパ THE STAGE ~希望の学園と絶望の高校生~」での江ノ島盾子役の熱演も、作品愛なくしては、たどり着けない境地だったと思います。

神田:私、好きな作品に出会った時に、まず考えるのは、どうやったらこの作品に自分が関わることができるんだろう?ってことなんですね。でも、「ダンガンロンパ 」の場合は、豪華なキャストで固められていて、完璧な世界がすでにでき上がっていたので、そこに自分が声優として加わるなんてことは、万が一にも考えられなかった。じゃあ、自分と関われるとしたら舞台しかないんじゃないか、と。それで「舞台来い! 舞台来い!」とゲーム第1作の時から、ずっと念じていました(笑)。

──現実を引き寄せたんですね!

神田:そうなんです。ついにオファーをいただいて。いち役者として彼女を演じることに魅力を感じたのももちろんなんですけど、何より、彼女だけは誰にもやらせたくなかった(笑)。舞台で表現するのだったら、絶対に自分がいちばんやれると信じていたので、そこには、なぜかものすごく揺るぎない自信があったので、やらせていただけて本当にありがたかったです。制作サイドの皆さんにも信頼していただけて、衣装のスカートの丈にも1mm単位で要望を出したり、妥協せずに真っ正面からやりきれた役柄でした。

──Billyさんとのユニット“TRUSTRICK”名義となりますが、3月に最終回を迎えた「銃皇無尽のファフニール」や、4月からスタートする「俺物語!!」とテレビシリーズ主題歌の担当も続いていますね。

神田:「銃皇無尽のファフニール」の主題歌の「FLYING FAFNIR」は、私が作詞作曲したんですが、コンセプトは「90年代」なんです。あの頃を生きてきた皆さんの心のどこかにひっかかるといいな、と思っています。「俺物語!!」も楽しみにしていただけたらうれしいです。原作もすっごく好きなマンガなので、私も楽しみです。

──最後に、これからの目標を教えてください。

神田:自分が前に出ることには全然興味がなくて、声でやっていきたいという想いが本当に強いです。だから、ナレーションだったりも含めて、少しずつ声のお仕事が増えていることには、ちょっとニヤッとしています。ただ、やっぱり、まだまだ声優さんの本道の周りをぐるぐる回っている感じなんですよね……。いつか、もっと核心に近づきたいです。そういう意味でも、今回いただいた賞は私にとって、とても大きな意味があります。声優の皆さんといっしょにお仕事ができる日を目指して、頑張ります。【記事:WebNewtype】

●神田沙也加(かんだ・さやか)/‘86年10月1日生まれ、東京都出身。「INTO THE WOODS」赤ずきん役など、舞台を中心にキャリアを積み、数多くのミュージカルに出演。透明感ある声と演技力には定評がある。2012年「貧乏神が!」艶光路撫子役で声優デビューを果たす。近作にディズニー映画「アナと雪の女王」吹替版のアナ役、アニメ「銃皇無尽のファフニール」篠宮都役など

text by HITOMI WADA
shot by FUMIKO TAGAMI
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