「キルラキル」「リトルウィッチアカデミア」など、アニメーションそのものの面白さを再発見させてくれるような、思いもよらない発想を持った自由な作品を生み出しているアニメーション制作会社・TRIGGER。その「キルラキル」の今石洋之さんが手がける新作オリジナルアニメーションが「宇宙パトロールルル子」です。
1話あたり7分前後というコンパクトな尺でありながら、各話で多彩な魅力を放っている「ルル子」を作り出す原動力に迫るべく、WebNewtypeはキャストやスタッフを直撃。連載形式で、さまざまな方向から「ルル子」に携わる人々にスポットを当てていきます。
第1回は、多彩なクリエイターが奔放に才能を発揮して作り上げたアニメに命を吹き込んでいる個性的なキャスト陣に注目。ルル子役のM・A・Oさん、AΩノヴァ役の榎木淳弥さん、ミドリ役の新谷真弓さんに「ルル子」の魅力を聞きました。
――皆さんが最初に抱いた「宇宙パトロールルル子」に対する印象はいかがだったでしょうか。
M・A・O:初めて読んだのはオーディションの時の台本で、ルル子は本当に普通の女の子なんですけど、セリフや設定がすごくシュールな感じだな、と思いました。
新谷:オーディションはどの辺りのセリフをやったの?
M・A・O:「もしも宇宙の始まりがビッグバンなら、私の始まりは~」というところですね。
新谷:おお~、2話だ。ルル子がOGIKUBO支部でガンモーフィンするところ。
――ルル子に決まった時はどんなお気持ちでしたか?
M・A・O:本当にうれしかったです。宇宙人と一緒とか移民特区とか、設定がいろいろ変わっているのでどんな作品になるんだろう、すごく「普通」にこだわってるけど普通じゃなさそうな感じで、どうなっていくんだろうと想像を膨らませていました。
――榎木さんはいかがでしたか?
榎木:僕はオーディション時のセリフのイメージから、真面目な作品かな?と思っていたのですが、結果そうでもなかったという(笑)。2話にあるセリフと、たぶん最終話近辺で使われそうだなあという、どちらも真面目なセリフだったんです。だから、タイトルはこんな感じだけど真面目な作品なんだと思って台本をいただいたので、読んでみてびっくりしましたね。めちゃくちゃな作品で(笑)。思えば2月に公開されたプロモーションムービーの時点で、ちょっとおかしいなと思ってたんですよ。予想していた雰囲気と違うぞ、と。
M・A・O:そのPVのセリフ、私がオーディションの時に録っていただいた音声が使われていました。
榎木:そうなんだ!
M・A・O:「オーディションのセリフと同じだ!」と思いながら聞いていました(笑)。
新谷:そんなことがあるんだ~。それだけ役ができあがってたんだね。
榎木:撮り直しの必要がなかったってことですね。
――新谷さんもオーディションで決まったのでしょうか?
新谷:私はなかったんですよ。前々からマネージャーに「出てほしいみたいだよ」とうっすら言われていたんですけど、その後進展を知ることもなくてダメだったのかなーって思ってたんです。そうしたら流れてきたTwitterで出演者のところに私の名前が載ってて「あれ…? 私の名前、あるな…」って(笑)。
榎木:すごいなあ…(笑)。
新谷:マネージャーとはちゃんとやりとりしてたんでしょうけど、そんなラフな感じで決まりました。
――作品に対してどんな予想をされていましたか?
新谷:今石さんだしTRIGGERだし…と思ってたんですけど、公式サイトのスタッフコメントとかも含めてものすごく「普通」推しだったので「まさか本気で普通をやるつもりなのかしら!」とドキドキしてました。でも、キャストコメントが欲しいと言われた時に絵コンテを読ませていただいたら、まったく普通ではない絵だったので「やっぱり!」と安心しました。
――本作は「『キルラキル』の今石洋之が手がける新作オリジナルアニメーション」として制作されています。皆さんのTRIGGERに対する印象はどのようなものなのでしょうか。
榎木:「天元突破グレンラガン」や「キルラキル」といった勢いのある作品だけではなくて、「異能バトルは日常系の中で」といった結構やわらかい雰囲気のものまで、いろんな作品を制作されているんだな、と思っています。
新谷:「リトルウィッチアカデミア」は、かわいらしい感じだもんね。
M・A・O:私は「作品同士の繋がりとかをこっそり仕込んでいたりする」という話を伺っていて、スタッフの方々の熱や勢いもすごいなあと思っていたんですけど、「ルル子」はコラボ?が……。
新谷:「ルル子」はもう、清々しいほどの自社パロディを展開してるからね。
M・A・O:あと、「ルル子」はシーズンごと(第6話時点でシーズン2が終了)にオープニングの画が変わっていくので、そういうこだわりも素敵だなあ、と感じています。
――新谷さんは今石監督がガイナックス在籍時代からお仕事をされていますが、TRIGGERや今石監督ならでは、というものをどう感じていますか?
新谷:私は声優の仕事をしばらくお休みしていて、久しぶりに呼んでいただいたのが「キルラキル」だったんです。復帰のきっかけをくれた会社だし、すごく人情に厚い方たちなんだなあと思いました。今石さんは昔からカラーがハッキリしているし、「キルラキル」でも今回の「ルル子」でも、やっぱり今石さんの作品だってわかりますよね。特に「ルル子」はハチャメチャに磨きがかかってると思います(笑)。<前編-2に続く>【取材・文=細川洋平】