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報われない恋を募らせている高校2年生の安楽岡花火と粟屋麦。一見付き合っているように見える2人はある”秘密”を共有していた。お互いがお互いの“かけがえのある恋人”――ー。
フジテレビ「ノイタミナ」枠にて、1月12日(木)から放送がスタートする「クズの本懐」から、安楽岡花火を演じる安済知佳さんと粟屋麦を演じる島崎信長さんに、作品の魅力を語っていただきました。
――ご自身が演じるキャラクターについて教えてください。
島崎:麦は見た目の通りカッコ良くて、女子から人気の高校生です。ただ、いろいろあって思春期をこじらせています。過去にわりと大きな出来事があって、今の人格が形成されているんですけど、中盤あたりまで中身というか本音が見えづらい子だから、序盤は皆さん、いったい何考えているんだろうっていう視点になるんじゃないかなって思います。
安済:花火は、すごく純粋で、まっすぐで素直で一途なんですけど、それが過ぎるというか。それが過ぎるがゆえに、こじれていって歪んでいって、道を踏み外していく…。危なっかしくて、客観的に見ていると守ってあげたくなる儚い子です。でも恋に関しては、諦めない強い女の子だなっていう感じですね。あとは、いろんな人に対しての接し方が結構違っていて、どれも本当の彼女なんだけど、だからといって、それがブレとか揺らぎには見えない。そこが不思議で、説明し難い子ですね。
――そういう接し方って、女性ならではなところがあるのかなと。
安済:どうなんですかねぇ。麦とは秘密の関係なので、そこだけにしかないコミュニケーションになるのはわかるんですけど、お母さんとも、えっちゃん(絵鳩早苗)ともそうだし、最可(のり子)や、その他大勢のクラスメイトに対しても接し方やテンションが違ったりするんですよね。最初は考えずにやっていたんですけど、途中で“結構顔が違うなこの子!”って気づいて…。でも、確かに女の子特有なんですかね。それを故意にやっている人もここにはいるんですけど、花火に関しては若干故意くらい。でもホント、思春期!って感じです、この子たち。感情でしか動いてないです。
――麦と花火の関係については、どう考えていますか?
島崎:やっぱりいびつだし、遠回りが近道になることもあるかもしれないけど、遠回りしているなって思います。
安済:世界はすごく狭いんだなって。恋に盲目過ぎて、何でそっちに行っちゃうの!っていう。2人だけでなくそういう子が多いから、本当にひとりひとりビンタして抱きしめたい!みたいな(笑)。違うだろー!! 幸せになっていいんだよ!!って。ひとりひとり危なっかしいし、あえてそっちに行く人もいるし、いろんな人間の恋心が交錯しちゃってて、私はすごくモヤモヤします!
島崎:苦しんだり、悩んだりするのも青春だし、傷ついて成長したりもするんだろうけど、もう少し広いところを見て人生を楽しんでいいんじゃないかなって思ったりしますね。
――若い時は学校がすべて、みたいなところありますからね。
安済:きっとそれまでは、花火の中で学校に恋は存在しなかったんですよ。でも、お兄ちゃんが担任になっちゃったから、すべての生活にお兄ちゃんが入ってきて、余計に拍車がかかっちゃったと思うんです。気持ちの高ぶり、盲目さに。だから、そう来ちゃったか~っていう(笑)。そんな中、同じ境遇の麦と出会って、いろんな偶然が絡み合ってでき上がった状況ですね。
――いわゆる“かけがえのある恋人”という関係ですね。アニメを見れば見るほど、痛くなりそうです。
安済:やるせない気持ちになりますし、そうなってもらいたいですね。
島崎:刺さるものはあると思います。
安済:刺さらない人には刺さらないとも思うんですけど、でも考えてほしい。これはありえないことじゃないって。
島崎:逆に俯瞰して刺さらずに見られる人は、それはそれで楽しいと思うんです。人間模様が交錯する様だったり、言動や行動が面白いと思うので。でも刺さる方は、存分に刺さっていただいて。
安済:(現実に)帰ってこれないと思います。
――木曜の夜に、そういう気持ちで寝なくてはいけないと。そういうエンターテイメントもいいですよね。
島崎:そうそう。それにこの作品は、最後にテーマだったり、結論や答えがちゃんとあって、そこに到達する作品なので、それは安心して見ていただければと思います。それがないとね。
安済:うん。モヤモヤだけで終わるものではないです。
島崎:答えがちゃんと出ます!
――アニメの他、ドラマと原作漫画も同じタイミングで終わるということなので、それぞれのメディアが、どうやってそこに辿り着くのかは楽しみですね。
島崎:実写もアニメと同じように、真っ向から難しい表現とテーマに向き合っているのをすごく感じましたし、全部が楽しみだし全部が相乗効果で、この「クズの本懐」っていう作品を盛り上げていけたらと思いますね。<後編に続く>【インタビュー=塚越淳一】
※島崎信長さんの「崎」は、正しい表記は「立ち崎」ですが、機種依存文字のため「崎」表記しています