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心が整うことばたち 映画「ミステリと言う勿れ」狩集理紀之助役・町田啓太インタビュー

映画「ミステリと言う勿れ」で狩集理紀之助役を演じる町田啓太


同名の人気漫画をドラマ化し話題となった「ミステリと言う勿れ」が映画になって帰ってくる。新キャラクターとして登場する町田啓太は、この原作のファンのひとり。劇場版に参加したことで感じた作品の新たな魅力とは。


映画「ミステリと言う勿れ」で狩集理紀之助役を演じる町田啓太


無関係の事件に巻き込まれてはおしゃべりと独自の視点で事件を解決に導く、大学生の久能整。広島で見知らぬ女子高生の狩集汐路に依頼され、祖父の遺言書公開の場に同席したことから、狩集家の遺産相続に巻き込まれていく。相続候補者のひとりである狩集理紀之助という役を、町田啓太はどのような思いで演じたのだろうか。

――ニュータイプ‛21年1月号で町田さんにインタビューした際、大好きな漫画として紹介していただいたのが「ミステリと言う勿れ」でした。
町田 まだドラマ化されていないころでしたよね。本当に大好きな漫画なのでどこかで言いたいと思っていたんです。ドラマもいち視聴者として楽しんでいたので、その映画化に出演できると知ったときはすごくうれしかったです。今回の映画化は通称「広島編」という原作でも人気のあるエピソード。あれを映像化するんだとファンとしてもうれしかったですし、何より狩集理紀之助役と聞いて驚きました。

――理紀之助役のオファーになぜ驚いたんでしょう。
町田 僕のなかでの理紀之助は、今の僕よりももう少し年上のイメージだったんですよね。ステキなキャラクターなので、僕に任せていただけるなんてと光栄に思いました。撮影現場に原作者の田村由美先生が来てくださったのですが、ごあいさつしたら「あぁ、リッキーですね」と言ってくださって安堵しました。原作者の方にとってキャラクターって子供のような存在でしょうから。思いがけずお会いできて僕がちょっと緊張してしまったので、励ましてくださったのかもしれませんが。


映画「ミステリと言う勿れ」で狩集理紀之助役を演じる町田啓太


――町田さんは理紀之助のどんなところに魅力を感じていましたか。
町田 言いたいことがあるのになかなか言えないところは、いじらしさを感じますよね。そういう弱さをきっと本人もわかっている。原作では結婚したいと思っている相手がいることも描かれていますが、昔から好きだったんだろうな、実直だなと。器用に見えるけど、そういうところはちょっと不器用。そんなところも魅力的だなと思いますね。


映画「ミステリと言う勿れ」で狩集理紀之助役を演じる町田啓太


――撮影現場はどんな雰囲気でしたか?
町田 主演の菅田将暉くんをはじめ、ほかの方々がドラマからずっとやってきている作品なので、そこに入らせてもらう感覚でした。クランクインして最初の撮影は、遺産相続の関係者が大広間に呼ばれて遺言書を読まれるシーン。内容的にも厳かな空気だったので、皆さんとお話しする感じでもなくて。なるほどこういう落ち着いた空気なんだなと思っていたんですが、気づいたら皆さんとすごく仲よくなっていたんですよ。僕は、ミステリアスな理紀之助役なので、現場では静かにしていようと思っていたんですが、無理でしたね(笑)。スポ根系の人間だと思われているようで、たくさんいじられました。どうして仲よくなれたんだろうと思い返してみると、菅田くんがいい感じに会話を回してくれていたんですよね。さすがだなと思いました。

――遺産争いをする狩集家ですが、撮影の裏では和やかだったんですね。
町田 菅田くんを含めたキャストの雰囲気が僕はとても好きなんですが、その空気感が映像にも出ていると思いますね。俳優としてのコミュニケーションをしっかりと取りながら撮影できました。その中心にいる菅田くんは、お芝居に対して本当に誠実な方。監督とよくディスカッションしていましたし、それを僕たちにも共有してくれるんです。いっしょにつくっていこうという思いがひしひしと伝わってきた。すばらしい座長だと思います。


映画「ミステリと言う勿れ」で狩集理紀之助役を演じる町田啓太


――菅田さん演じる久能整は、私たちが当たり前のように感じている事柄に対して、本当は違うかもしれないという別の考え方を教えてくれます。
町田 知らず知らずに刷り込まれてきた、誰かに都合のいいような考え方が社会に流れていて、それとのギャップに苦しんでいる人がいる。主流の考え方につかっている人もいると思うし、そのことに気づいていない人もいると思うんです。整はそれをちゃんとことばにする。言ってくれてよかったなと思いますよね。劇場版でも、女性はこうであるという概念はマジョリティ側である男性によるものだと、整が語るシーンがあります。整は生物的には男性だと思いますが、男性でしかも大学生という子供と大人のはざまにいる人。そんな整がそういうことを言ってくれるって、ステキだなと思いますね。


映画「ミステリと言う勿れ」で狩集理紀之助役を演じる町田啓太


――本誌で「ミステリと言う勿れ」を推薦してくれた町田さんですが、今そのほかに熱中している漫画はありますか?
町田 「たったひとつのことしか知らない」(著:本田)は、幼なじみの男性2人が電話をしているだけの物語。会わないけどたまに電話だけする仲で、いつも一方的に突然かかってくるんです。短い話なので隙間時間に読むにもオススメですね。「ミステリと言う勿れ」の次に僕が「来た!」と思ったのが、「青のミブロ」(著:安田剛士)。少年の視点から新選組を描く時代ものなんですが、その少年は現代の僕らのような価値観をもっているんです。僕は大河ドラマ「青天を衝け」で土方歳三役を演じさせていただきましたが、もし「青のミブロ」が実写化されることになったら、ぜひ土方役をやりたいな。永遠に語れるぐらい今夢中になっている漫画ですね。


映画「ミステリと言う勿れ」で狩集理紀之助役を演じる町田啓太


【撮影:島本絵梨佳/取材・文:大曲智子/ヘアメイク:KOHEY/スタイリスト:石川英治(TABLE ROCK.STUDIO)】


©田村由美/小学館 ©2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社


■映画「ミステリと言う勿れ」
●9月15日(金)より全国公開中

■原作:田村由美「ミステリと言う勿れ」(小学館「月刊フラワーズ」連載中)
■監督:松山博昭
■脚本:相沢友子
■音楽:Ken Arai
■キャスト:菅田将暉
松下洸平 町田啓太 原菜乃華 萩原利久 柴咲コウ

リンク:映画「ミステリと言う勿れ」公式サイト
    ミステリと言う勿れ公式Twitter・@not_mystery_

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