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放送前に投稿されたOPイントロループ動画が火付け役となり、放送開始後も何かと話題が尽きないギャグアニメ「しかのこのこのここしたんたん」(以下、「しかのこ」)もいよいよ中盤に突入。シカのツノが生えた謎の少女・鹿乃子のこ(のこたん)と元ヤンの優等生・虎視虎子(こしたん)という2人(?)の女子高生(?)の出会いから始まった〝ガール・ミーツ・シカストーリー〟は、ようすのおかしな仲間を増やしてさらにエスカレート中だ。こしたんを愛しすぎるあまりヤンデレぎみの虎視餡子や、のこたんにあこがれるシカ見習いの馬車芽めめといった新入生がシカ部に入部。しかし、こしたんが生徒会長を務める生徒会の面々によるかわいらしい魔の手がシカ部に伸びようとして……! 美少女キャラクターたちによる怒濤のギャグ、そして妙にリアルなシカが飛び交う本作について、今回はのこたん役の潘めぐみさんとこしたん役の藤田咲さんにインタビューを実施。ふざけ倒しているように見えて、意外とシっカりと、こだわりがツノ(集)った本作への思い入れをたっぷりと語ってもらった。
──本作の第一印象を教えてください。
藤田 原作マンガを読んだときは終始大爆笑でした。ビジュアルこそかわいらしいものの、やっていることは終始カオス。その状況にひたすらツッコミを入れるこしたんを見て、笑いつつも不憫さを感じました。
潘 私もまず感じたのは「カオスだなー」ということでした。同時に、本作はこしたんに始まりこしたんに終わる作品だとも思わされましたね。何せセリフからモノローグに至るまでずっとこしたんがしゃべってますから。彼女がいないと成り立たない作品です。
藤田 逆にのこたん抜きでも本作は成り立たないんですけどね。「ガール・ミーツ・シカ」の作品ですから。でも、確かにこしたんはずっとしゃべってる。特に序盤は登場人物が少なく、起こる事柄すべてに彼女がツッコミを入れているんですよ。なのでアフレコ時は血管がちぎれるかと思いました。人間の体って数十分間ツッコミを入れつづけるようにはできていないんですね(笑)。
──藤田さんはふだんからツッコミに回ることが多いのでしょうか?
藤田 多いです。誰かがボケるとそれを拾わなきゃと使命感に駆られますから。さらに私はもともとリアクションが大きい。人が100で反応するところで200のリアクションを取ってしまうんですよ。この癖は今作の演技で役立ったかもしれません。
潘 咲さんは生まれもってのこしたん体質ってことで(笑)。でも、ふだんの咲さんを見ていて「リアクションが大きいな」とは感じないんですよ。いっしょにいると愛情の深さと、何でも受け入れてくれる包容力の大きさを感じます。
──物語が進んでこしたんのツッコミの量も落ち着いたのでは?
藤田 そうですね。猫山田根子ちゃんが登場してからは、微々たる量ですが彼女がツッコミを肩代わりしてくれるようになりました。それ以降は負担が減り、逆に「出番が少ないな……」と感じるようになって。
潘 減ったとはいえ、こしたんのセリフは相変わらず多いんですけどね(笑)。でも彼女がただの女子高生に感じられる瞬間も出てきたように感じます。
藤田 音響監督のえびなやすのりさんも「こしたんが普通の女子高生に見えてきた」と言ってたし。あれはちょっと寂しかったな。こしたんには不憫な立ち位置でも頑張ってほしいし、ずっとツッコミ役でいてほしい。
──藤田さんはこしたんをどんなキャラだととらえていますか?
藤田 普通の女子高生だと思っています。元ヤンキーだけど、今は優等生にあこがれて生徒会長や学級委員長を兼任している。要素の多いキャラクターではあるんですよ。でも常識的な感覚の持ち主で、人間味にもあふれている。演じるにあたってその両面をきちんと表現できるように意識していました。
©おしおしお・講談社/日野南高校シカ部
──ツッコミへのこだわりは?
藤田 それはありました。ツッコミにきちんと幅をもたせないと一辺倒な演技になっておもしろくないと考え、状況に合わせて工夫を凝らしました。
──のこたんの印象もお聞かせください。
潘 のこたんは……シカですね。シカが人間に興味をもち、自由に会話できるようになったら彼女のようになるのではないかと。同時に、彼女はひとりでは成立し得ないキャラクターだとも感じています。誰かと遭遇、接触することで初めてそのおもしろさが見えてくる。だから演じるにあたっての事前準備は最低限にとどめ、収録現場の空気にうまく乗ることを大切にしました。アフレコ中はひたすらアンテナを張り、その場の空気を敏感に察知してセリフを返せるよう努めています。
藤田 私ものこたんのことはシカだと思っているんですよ。あの自由極まりないふるまいはシカだからできるもの。彼女を見ていると「きょうも世界は平和だなぁ」と思えてきます。
──そんなのこたんの周りには彼女を愛する人たちが集まってきます。
潘 そうなんですよ、へへっ(笑)。
藤田 そこが解せないんですよね。こしたんはあんなに頑張っているのに、彼女のことを愛しているのはメンヘラの餡子だけという。
潘 でもほら、餡子から受ける愛情が大きいからいいじゃないですか。総合したら2人とも同じだけの愛を受けていますよ。
藤田 確かにそうかも。あ、言いくるめられてしまった……こしたんに似て私もチョロいな……(笑)。
──映像をご覧になった印象はいかがでしたか?
藤田 今作はアフレコの時点で第3話までは映像がほぼ完成していました。なのでビジュアル的な驚きはなかったのですが……音の使い方に驚かされることが多々ありました。特に作中で使われる「シカ」ということばを使ったSEは聞いていて笑ってしまいます。
潘 「シカ」が聞こえるとあらゆる映像が神聖なものに見えてくる。あの力はすごい。あと、アフレコ時の映像と比べてCGのシカの毛がリアルになってるんですよ。オンエアされたものを見てそこに驚きました。
──収録にあたって特に力を入れたシーンはありますか?
潘 全部ですね。この作品は常に気が抜けないんですよ。テンションの低いシーンでも力を込めて演じる必要がある。のこたんらしさを意識しながら、ずっと居合のポーズ。一瞬も気を抜くことなくアフレコに向き合っていました。
藤田 私は第3話でこしたんがオリジナルソングを歌うシーンが特に大変でした。アフレコ前から台本4ページにも及ぶ歌詞が用意されており、映像も前もってでき上がっていたんですよ。それにもかかわらずメロディは私に一任で。映像にきちんと合う歌になるよう、これまでにないほど映像を見返すことになりました……。
──歌う際に意識したポイントは?
藤田 見ていて恥ずかしくなるような歌にしたいと考えました。中学生のときに自作した恥ずかしい歌ってみんなあるじゃないですか。あれを再現しようとして。完成した映像を見ると心底恥ずかしく、こしたんが不憫になるようなシーンに仕上がっていて、われながら大成功でした。
──最後に、お2人が考える本作の楽しみ方をお聞かせください。
潘 もう「考えるな、感じろ」とシカ……。
藤田 楽しんだ者勝ちみたいな作品だしね。斜に構えず、作品世界に浸っちゃったほうが絶対楽しいと思う。槍が降ろうが、ガラスの破片が刺さろうが、それでも笑っている人たちを見て楽しい気持ちになってほしいです。
潘 あと、何話から見はじめても大丈夫な〝受け入れ力〟の高い作品になっています。だから今からでもぜひ気楽に見てほしいです。「しかのこ」はあらゆる人を受け入れてくれますから(笑)。
【取材・文 はるのおと】
■TVアニメ「しかのこのこのここしたんたん」
放送:TOKYO MX/BS日テレ…毎週日曜23:30~
配信:ABEMA…毎週水曜23:30~
※その他の各配信サイトでも配信中
スタッフ:原作…おしおしお(講談社「マガジンポケット」連載)/監督…太田雅彦/シリーズ構成・脚本…あおしまたかし/キャラクターデザイン…辻村歩/音楽…三澤康広/オープニングテーマ…「シカ色デイズ」シカ部 [鹿乃子のこ(CV.潘めぐみ)、虎視虎子(CV.藤田咲)、虎視餡子(CV.田辺留依)、馬車芽めめ(CV.和泉風花)] /エンディングテーマ…
「シカせんべいのうた」鹿乃子のこ(CV.潘めぐみ)、虎視虎子(CV.藤田咲) /アニメーション制作…WIT STUDIO
キャスト:鹿乃子のこ…潘めぐみ/虎視虎子…藤田咲/虎視餡子…田辺留依/馬車芽めめ…和泉風花/猫山田根子…久保ユリカ/狸小路絹…土屋李央/燕谷千春…赤﨑千夏/ナレーション…鳥海浩輔
リンク:TVアニメ「しかのこのこのここしたんたん」公式サイト
公式X(Twitter)・@shikanoko_PR