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2025年3月15日、2024年度に最も活躍した声優を讃える「第十九回 声優アワード」の受賞者が発表されました。本稿では、主演声優賞を受賞した関俊彦さんのオフィシャルインタビューをお届けします。
──主演声優賞受賞、おめでとうございます。
関 大変ありがたいことですし、まだまだ頑張らないと背中を押された気がしています。そして、受賞対象期間で出演した映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」で、水木を演じた木内秀信さんと一緒にいただいた賞だと私自身は捉えています。
──2024年は声優としてどんな1年でしたか?
関 映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」のヒットのおかげで告知の仕事だけでなく、作品に関連した展示会やシネマコンサート、イベントなどにも参加させてもらいました。2024年の後半は30年以上続いてきた「忍たま乱太郎」の劇場版「忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」が公開されて、他にも「天空戦記シュラト」のTV放送35周年を記念したBlu-rayの企画でオーディオコメンタリーを新録したり、1987年にTV放送した映画「ウォー・ゲーム」の追加収録をしたりと、この仕事に長い間携わってきたことを改めて実感するような機会を多くもらった1年になりました。
──映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」で水木を演じた木内さんの印象は?
関 木内さんとはなんと、初めてのお仕事だったんです。実際にご一緒してみて、「こんなに自然に役に入り込んでくる人がいるんだな」と新鮮な驚きがありました。
──鬼太郎の父を演じるうえで意識したことは?
関 今回演じた鬼太郎の父はかつての目玉おやじなんですが、その正体は幽霊族という人ならざるものでした。自分とかけ離れた存在にどうやって人物を特徴づけるアプローチをしていけばいいのか。演じ始めの時点では、自分と鬼太郎の父との間にかなり遠い距離感があったように思います。そんな中、古賀(豪)監督の指示もあり、幽霊族を演じることに重きを置くのではなく、彼の妻が愛していた人間という存在として水木に接していくことで、少しずつ解消されていったように思いました。鬼太郎の父と水木がお互いに信頼し合う関係性になってからは、自分の中でも鬼太郎の父がとても親しみ深い存在になり、無理なく自然体で演じられるようになりました。
──木内さんのお芝居から引き出されたものは?
関 鬼太郎の父と水木の対比が大きなポイントとなる作品でもあって、最初はお互いに疑って警戒していたところから、少しずつそれらが解けだして信頼し合う関係性に辿り着く。そういう意味でも、木内さんのお芝居のおかげで2人の対比が際立ち、鬼太郎の父という人物ができたと思います。
──映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」に出演したことで役者として得たものは?
関 鬼太郎の父という役に出会ったことで、自分にとっては声優人生にひとつの区切りがついたといいますか、集大成のような感覚がありました。「これでまた、もう少し頑張れるかな」という気持ちにさせてもらった作品です。
──声優として活動していて喜びや幸せを感じる瞬間は?
関 人間が創作する物語やドラマの世界に身を置いて、こうして今日まで生きてこられたこと自体が、本当に幸せだと思っています。何百年も次から次へと新しい物語が生み出されるなか、自分が生きているのなんてわずかな期間だとは思いますが、それでも素晴らしい物語や登場人物に出会ったとき、素晴らしい制作陣や共演者とご一緒できたときに最高の喜びを感じます。
──声優を続けるなかで壁にぶつかったことは?
関 壁というと、演じることへの自分自身の才能への迷いや不安になりますかね。この年齢なので昔に比べたら開き直れるようになりましたが、基本的にはいつまで経ってもそれらはなくなりません。ただ、結局は自分で選んできた道なので、少しずつでも前に進むしかないと思っています。鬼太郎の父の言葉に「ワシは諦めが悪いんじゃ」というのがありますが、それこそが答えのすべてかもしれません。そこで原動力になるのはやはり、自分の中にある「物語が好き、演じることが好き」という思いなんでしょうね。
──この先も声優として歩んでいくうえでの目標は?
関 第一に「健康であること」。第二に「精神的に負担になることはやらない」。第三に「楽しいことだけを目指して生きていく」なんですけど……この仕事をしていると、なかなか難しくて(笑)。もっと実現できそうなことで言うと、自分がやっている仕事が誰かのためになっているといいなと思いながら、ひとつひとつの仕事にとにかく真面目に取り組むこと。それに尽きると思います。
【撮影:田上富実子/取材・文:とみたまい】
■第十九回 声優アワード 受賞者及び受賞作品
主演声優賞=岡咲美保、関俊彦
助演声優賞=木内秀信、瀬戸麻沙美、東地宏樹、日笠陽子
新人声優賞=石橋陽彩、鵜澤正太郎、七海ひろき、はやしりか、結川あさき
歌唱賞=ブレイバーン(CV:鈴村健一)
パーソナリティ賞=該当者なし
外国映画・ドラマ賞=内田真礼、ファイルーズあい
ゲーム賞=「龍が如く8」
シナジー賞=「機動戦士ガンダムSEED」シリーズ
富山敬・高橋和枝賞=保志総一朗、山崎和佳奈
キッズファミリー賞=羽多野渉
インフルエンサー賞=木村昴
MVS=中村悠一
功労賞=岡本茉利、野田圭一
特別功労賞=今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました
特別賞=「ルックバック」
リンク:「声優アワード」公式サイト
「声優アワード」公式X(Twitter)・@seiyuawards