アニメ

クリエイターの秘話に観客も興奮! ANIME EXPO 2023 +Ultraパネルレポート

7月1日から4日にかけて、アメリカはロサンゼルスのLos Angeles Convention Centerで開催されている「ANIME EXPO 2023」。2日目となる本日は、フジテレビの深夜アニメ枠・+Ultraの新情報パネルが実施されました。日本では3月下旬に「フジテレビアニメラインナップ発表会」が開催され、7月以降に放送される「アンデッドガール・マーダーファルス」「カミエラビ」「メタリックルージュ」が発表。その続報が北米で解禁される形となりました。その模様を現地よりお届けします。



まず、フジテレビの森彬俊プロデューサーとクランチロールの山口貴也プロデューサーが登壇。日本のアニメを世界に広めたいという意図のもと枠を設立したという経緯を語りつつ、現在は日本以外の各国で動画配信サービスを運営しているクランチロールと協業していると「+Ultra」についての紹介が行われました。


キービジュアル
(C)カミエラビ製作委員会


最初に取り上げられたのは、10月から放送開始となる「カミエラビ」。瀬下寛之監督とシリーズ構成・脚本のじんさん、キャラクターデザインの大久保篤さん、プロデューサーの大槻林太郎さんが登壇しました。瀬下監督から渡米後に泥酔した森プロデューサーがヨコオさんのマスクを紛失したため、急遽新たなマスクを探したというエピソードが紹介されたのち、原案を担当するヨコオタロウさんも登場! 「NieR:Automata」で人気を博すヨコオさんの登場に、会場は一気にヒートアップしました。

ここで解禁となった第2弾ティザーPVが上映後には、大槻プロデューサーから「この作品はヨコオさんと一緒にアニメを作りたいという思いからスタートしました。相談をしたところヨコオさんから「瀬下監督と一緒なら」と伝えられたことが最初のやり取りでしたね」と企画初期を振り返る言葉が。ヨコオさんは「飲み会から始まったんですよね」と企画の異例さに触れつつ、「瀬下さんと一年間ぐらい企画を練ったあと、じんさんが加わりました。そこでじんさんが僕の描いたプロットとは全く異なるシナリオを提出してきて……」とコメント。すかさず瀬下監督も「じんさんがプロットをどんどん壊したことには驚きました。そこで壊されたガラスの破片を繋ぎ合わせてアニメにしていくことが、今回の僕の仕事でした」と加勢しました。その言葉を受けたじんさんは、「プロデューサーから『ヨコオさんのアイデアがなかなか形にならないので、参加してください。何をやってもいいので!』と言われたからやったまでです!」と参加経緯とともにプロデューサーをチラ見します。

企画初期の飲み会から参加していたという大久保さんは、「いつの間にかキャラクターデザインを務めることになっていました。飲み会が発端とはいえちゃんと仕事をしようと思っていたら、瀬下監督からは「なんでちゃんとやるの?」って言われたんですけどね(苦笑)」とポソリ。コメントの後には大久保さんが描いたキャラクターイラストが投影され、客席からは驚嘆の声が巻き起こりました。また、スタッフがメインキャラクターのゴローのコスプレイヤーを発見。「カミエラビ」第1号コスプレイヤーだとして、注目を浴びました。

瀬下監督が「こうやって個性の強い四人がコラボできたのは、飲み会で打ち解けられたから」と振り返ると、じんさんは「瀬下さんやヨコオさん、大久保さんの刺激的なアイデアは壊していないのでお楽しみに!」とアピール! ヨコオさんも「キャリアを積んでいくとアイデアが素通しされてしまうことが多いんですよ。でも、じんさんはそこで僕と戦ってくれた。意見を重ねることができたので、絶対いいフィルムになっているはず!」と太鼓判を押しました。


「カミエラビ」写真左より、瀬下寛之監督、じんさん、大久保篤さん、大槻林太郎さん、ヨコオタロウさん


ヨコオさんはこの日初披露となる仮面(?)を付けて登場


会場で発表された大久保さんによる「カミエラビ」キャラクターデザインイラスト
(C)カミエラビ製作委員会


「カミエラビ」より場面カットが到着
(C)カミエラビ製作委員会


「カミエラビ」より場面カットが到着
(C)カミエラビ製作委員会



「カミエラビ」より場面カットが到着
(C)カミエラビ製作委員会


「カミエラビ」より場面カットが到着
(C)カミエラビ製作委員会


「カミエラビ」より場面カットが到着
(C)カミエラビ製作委員会



TVアニメ「カミエラビ」
2023年10月よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて放送予定
(C)カミエラビ製作委員会

スタッフ:原案…ヨコオタロウ/監督…瀬下寛之/シリーズ構成・脚本…じん/キャラクターデザイン…大久保篤/音楽…MONACA/アニメーション制作…UNEND/企画・プロデュース…スロウカーブ

リンク:公式サイト
公式Twitter:@kamierabi_PR


「メタリックルージュ」発表時の会場風景


続いて取り上げられたのは、2024年1月から放送となる「メタリックルージュ」。ボンズ代表取締役社長にして本作の企画を務めた南雅彦プロデューサーと、キャラクターデザインを担当する川元利浩さんが登場しました。数年ぶりのANIME EXPO参加となった南さんは「コロナ禍以前よりも人がいて、熱気が凄まじいですね!」と挨拶。川元さんも「これだけ規模の大きいアニメイベントはなかなかないでしょうね。ANIME EXPOには13年ぶりの参加なので、とても気持ちが昂ります」と興奮を隠さない様子でした。

二人の登壇後には、初解禁となる第2弾ティザーPVが上映! ルジュとナオミのバディ感溢れるバトルシーンとグラディエーターへの変身シーンが公開されました。南さんは「これまでのオリジナルアニメ制作とは違って、本作では(総監修・シリーズ構成を務める)出渕裕さんと一緒に世界観の構築から始めました。舞台は太陽系全体。この壮大な世界観では、「メタリックルージュ」以外のドラマも生まれるかもしれません」と作品の巨大さをアピールしました。

キャラクターデザインについて川元さんは、「今回はタイトルにもあるように赤色がキーワード。ルジュには赤いコートを着せたりメッシュを入れたりしてイメージを固めていきました。ダウナーなキャラクターなので、表情もかなり意識しながら描いています。ナオミについてはルジュとの対比を考えながら、デザインを固めていきました」とポイントを紹介。戦闘シーンでのルジュについては、「ダウナーな女の子がバトル中は快活になる。そのギャップを楽しんでほしいです!」と述べました。PVには登場しなかった更なるキャラクターについても「これからアダルトな男性キャラクターも登場します。僕としても描きたかったキャラクターなのでお楽しみに」と期待を煽ります。

その後、森プロデューサーが「ルジュとナオミ、どっちが好き?」と観客に呼びかけると、会場からは挙手が。半々くらいの反応に、川元さんが「片方だけが好かれるのではなく、どっちのキャラクターも好きになってくれて嬉しいです」と満面の笑みを浮かべました。

南さんは最後の挨拶として「PVはまだ作品のほんの一部です。ルジュとナオミは、火星から始まっていろんな惑星を巡っていきます。毎週驚きが待っているような作品になるよう制作しているので楽しみにしてください」と改めて作品への期待を高まらせました。


「メタリックルージュ」プロデューサー・南雅彦さん


「メタリックルージュ」キャラクターデザイン・川元利浩さん


会場で投影されたルジュのグラディエーター姿


会場で投影されたルジュとナオミのキャラクターデザイン


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge


「メタリックルージュ」より場面カットが到着
© BONES・出渕裕/Project Rouge



TVアニメ「メタリックルージュ」
2024年1月よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて放送予定

スタッフ:総監修・シリーズ構成…出渕裕/監督…堀元宣/キャラクターデザイン…川元利浩/音楽…岩崎太整/アニメーション制作…ボンズ

リンク:公式サイト
公式Twitter:@MetallicRouge

パネルの終盤には、10月から公開となる「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」と、7月から放送開始となる「アンデッドガール・マーダーファルス」のワールドプレミア情報が紹介。「アンデッドガール・マーダーファルス」「カミエラビ」「メタリックルージュ」の劇伴についても触れられたうえで、森プロデューサーからは「来年もまた逢いましょう!」との言葉で締めくくられ、「+Ultra」パネルは無事に終了しました。

リンク:「+Ultra」公式サイト

取材・文/太田祥暉(TARKUS)

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