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ついに最終回を迎えたアニメ「プランダラ」。Web Newtypeの「プランダラ」リレーインタビューでは、リヒトー=バッハ役の中島ヨシキさんと陽菜役の本泉莉奈さん、そして監督の神戸洋行さんにお話を伺いました。第2クール以降の怒涛の展開から最終回にたどり着き、いま彼らは何を思うのでしょうか。
――「プランダラ」の最終回までの制作、お疲れさまでした。皆さんの「プランダラ」最終回を迎えたご感想をお聞かせください。
中島 2クールにわたって放送する作品が少なくなっているなかで、こうやって長く深く作品に関わらせていただけるのはありがたいことです。うれしいし、作品に対する思い入れも強くなっているので、最終回がオンエアされることは達成感を感じつつも、さみしさもあります。
本泉 作品は楽しいシーンとシリアスなシーンのふり幅が大きい作品だったので、演じていて私もすごく勉強になりました。楽しいことも辛いことも陽菜の気持ちに寄り添って会話をし、一喜一憂できたことが、すごく楽しかった思い出になっています。
神戸 作業はギリギリになりましたが、なんとか間に合ったかなと。最終話まで制作は大変でしたが、楽しい作品でしたね。
――第2クールの坂井離人は、リヒトー=バッハの過去の姿でもあります。2人の共通点や相違点をどのように捉えていましたか。
本泉 離人さんは、リヒトーさんがこれまで語ってくれなかった過去の姿なんですよね。陽菜が出会った「撃墜王になってしまった後のリヒトーさん」はいろいろなしがらみに縛られているんだけれど、300年前の離人さんはまだ、そのしがらみがない状態。(離人さんは)ひとりの無垢な少年という印象がありました。リヒトーさんと変わらないスケベな一面があることには、不思議な安心感がありました(笑)。
中島 音響監督のえびな(やすのり)さんに「リヒトーはふざけてエッチなことをしている」と言われたんです。自分の素を隠すためにスケベなことをしているんだと。たしかに、リヒトーは何かをちゃかすときにスケベなことをしているんですよね。そのリヒトーに比べると、離人は「ただのスケベ」(笑)。
本泉 (離人は)純粋ですよね。無邪気なスケベ(笑)。
中島 僕は『プランダラ』を説明する時に「古き良き」というキーワードを使っているんですが、(離人は)「古き良き、女性から嫌われる主人公」なんです。純粋にスケベを追い求めていますから。
――第2クールからは舞台が第13特設軍学校となり坂井時風、道安武虎といった軍人をめざす生徒たちが登場します。神戸監督はどのように学園生活を描こうとお考えでしたか。
神戸 原作だと「300年前の過去」のストーリーは本物の学園ドラマっぽくなっているんですが、アニメでは尺(話数)に限りがあるので、お話の主軸をきちんと学園生活のなかに織り交ぜていこうということになりまして。原作だと時風がメインでお話を進めているところがあるんですが、アニメでは主人公の離人とジェイルを中心にお話を再構成しています。
――時風を演じる石川界人さんや、道安を演じる日野聡さんとの収録はいかがでしたか?
本泉 中島さんと石川さんの仲がすごく良くて。アフレコのときも隣同士の座席に付いていましたよね。
中島 そうだね。僕は石川界人と長い付き合いなんです。でも、アニメのメインキャラクターでがっつりと共演するのが初めてで。しかも、離人と時風は義理の兄弟役で。2人ではしゃいでいたのを覚えています(笑)。
本泉 私はアニメの前に原作を読んでいたので、時風は第13特設軍学校のクラスメイトではなくて、陽菜のパパ(父親)にしか思えなかったんですよね。だから、アニメで時風を見た時も「パパ、かっこいいなあ」って思っていました。ただ、その感情をアニメの収録に持ち込むと作品が崩壊してしまうので、その感情を押し殺しながら演じていました。
中島 僕が原作を読んだときは、道安の声のイメージが全然湧かなかったんです。どんなキャストになるんだろうなと思って香盤表を見たら、日野さんで。いやいや、日野さんの声はかっこよすぎでしょう、と。
神戸 道安には裏があって。「いじめっ子」として振舞いつつ、実はある人物を守ろうとしているんです。最初の星奪戦(第13話)もそのためにやっているんですよね。
中島 そうなんですよね。道安の想いがちゃんとわかるのは原作でもずいぶん後のことで。そこまでアニメ版でやってほしかった(笑)。
――離人は、Aクラスのみんなが「人を殺さない」ために、自らが撃墜王の手術を受けようと覚悟をします。その覚悟の強さをどのように描こうと思っていましたか?
神戸 離人は普段おちゃらけているけど、正義感が強いんですよね。みんなを守らなきゃと思う。そこを上手く描くことができればいいなと思っていました。
中島 これは原作のネタバレになってしまうのですが、離人には両親がいなくて、シュメルマンの養子になるんですよね。義父(シュメルマン)を喜ばせたいという、子どもの単純な感情もあったんだと思います。僕は、離人が撃墜王手術を受けるときのシーンを、今回のアニメでは映像化されていない原作のストーリー展開にも、離人の感情がつながるように芝居を組み立てていきました。
――離人が撃墜王になったとき、陽菜は離人へ大胆に迫りますね。
本泉 覚悟を決めた女性は強いんだな、と思いました。彼女は、300年前に行ったことで、リヒトーさんの過去を本当に近くで見ることができたんですよね。でも、陽菜は彼を変えられなかった。ならば「彼をひとりにしちゃいけない」と感じて、いままで自分のなかではあやふやだった「好き」という気持ちが固まったんです。いやあ、強いです、彼女は。
――中島さんと本泉さんは第18話以降のリヒトーと陽菜をどのように演じようとお考えでしたか?
中島 第18話でアルシアに帰ってきてから、リヒトーの芝居がどうなるかは気になるところでした。300年前の世界からアルシアに戻ったときに、リヒトーは陽菜を拒んだりするので、変に大人っぽくしすぎないように意識していましたね。
本泉 リヒトーさんは変わらないんですけど、「実はお爺ちゃんだった」んですよね(笑)。
中島 そうなんですよ。「お爺ちゃん」なんですよ(笑)。でも、そんな「お爺ちゃん」に対して、陽菜が暴走しはじめるんですよね。
本泉 そうですね。第18話以降は、陽菜ちゃんのほうが積極的になるんです。
中島 陽菜がすぐ脱ぐヒロインになってしまう(笑)。でも、陽菜はちょっと存在感が薄くなっていませんか?
本泉 最後は、ヒロインが一堂に会してしまいますからね。陽菜だけじゃなくて、ナナもいるし、園原(水花)ちゃんもいるし、リィンもいるし……。
中島 リィンが良いんですよねえ。でも、アニメだとちょっと不憫なまま最終回を迎えてしまうんですよ……。
本泉 原作では、このあとに幸せがあるんですけど……。
神戸 今回の2クールでは描き切れない部分がけっこうあるんでね。振りだけで終わっているところもあるんです。
中島 でも、リィンが幸せになる振りはちゃんと描かれているんですよ。ペレの言動とかに。もちろん察しの良い方は気づくかもしれませんが……。
本泉 みんな、幸せであれ。……本当にそう思っています。
――最終話はどんな思いを込めて、作業を進めていったのでしょうか。
神戸 最終話は気合を入れて描こうと思っていました。やっぱり楽しく終わりを迎えたいなと思っていたんです。
中島 アニメの最終回をご覧になったら、そのまま原作をお読みください!(笑) きっと、すぐに続きが読みたくなると思います。これは『プランダラ』マジックだと思います。アニメとあわせて原作を楽しんでほしいです。
本泉 アニメをご覧になって気になるところがある方は、原作もあわせて読んでください。そうすると、きっとアニメで描かれていたことがわかるかもしれませんし、アニメを見てから原作を読むとよりおもしろくなると思います。
神戸 アニメにはアニメの良さ、原作には原作の良さがあるので、それぞれのおもしろさを楽しんでほしいです。アニメをご覧になると、原作を読みたくなると思います。ぜひ第1巻から読んでください。きっとアニメを見てから原作を読むと、リヒトーと陽菜のセリフが中島さんと本泉さんの声で再生されるでしょうから、きっとより楽しめると思います。
【取材・文:志田英邦】