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アクとアクがぶつかり合うピカレスクストーリーいよいよ開幕! 戦争によって分裂し、カントウの属国となったカンサイで「アクダマ」と呼ばれる犯罪者たちが駆け巡る。
オリジナルTVアニメ作品「アクダマドライブ」のオンエアがついに始まりました。この作品を手掛けるのは「ダンガンロンパ」シリーズを生み出した小高和剛さん(ストーリー原案)と、studioぴえろの富永禎彦プロデューサー。学生時代からの友人だったという2人に、「アクダマドライブ」を作り上げたその経緯を語っていただきました。
――お2人は学生時代からのご友人ということですが、改めてクリエイターとしてアニメ制作の現場でごいっしょして、お互いにどんな特徴や魅力を感じましたか。
富永 小高さんがつくる作品の魅力はやはり「キャラクターが立っている」ことなんですよね。「ダンガンロンパ」シリーズも、キャラクターがわかりやすくて、とても個性が強い。いわゆる従来のアニメーションのスタッフではなかなかつくれないようなインパクトがあるキャラクターを生み出せる人だなと感じていました。今回の「アクダマドライブ」のプロットを見た時も、すごくキャラクターの個性が際立っているなと感じました。
小高 富永と僕は同級生なので、お互いに見てきた作品や好きな作品が、世代的に同じなんですよね。だから、すごく打ち合わせもしやすかったです。富永はstudioぴえろで「おそ松さん」にも関わっているんですが、「おそ松さん」が成功を収めてからの彼の勢いはすごくて(笑)。「自分たちが好きなことをやるぞ」と。すごく打ち合わせをしやすかったです。
富永 そうですね。最初から「自分たちが好きなものつくる」というつもりだったんですが、「おそ松さん」のあとは会社をより説得しやすくなりましたね(笑)。基本的に、今回は視聴者が見たいものを模索するのではなく、「今オレたちがシビれるもの」をつくりたいと思っていたんです。それが結果的に、新しいものになるんじゃないかと考えていました。
――「アクダマドライブ」は「今オレたちが見たいもの」が詰まっている作品なわけですね。この作品をつくるうえで、お2人が挙げたキーワードはどんなものだったのでしょうか。
富永 まずは自分たちが影響を受けたものとして「サイバーパンク」というキーワードがありました。あと、「カンサイ」というキーワードは、小高さんから出てきたような気がします。僕らとしてはこの作品を日本だけでなく、海外にも展開できるものにしたいと思っていたんですね。小高さんは海外で「ダンガンロンパ」シリーズを展開していたときの経験をおもちで、海外の話をしているときに「トーキョー」よりも「オーサカ」のほうが「ジャパニーズ感」が強いので、海外のファンからもわかりやすくなるんじゃないかという意見があったんです。たしかに、道頓堀のテカテカのネオン看板は、「昭和感」も含めて、すごくインパクトがある。「カンサイ」はいいなという話になりました。
小高 スタッフに「アクダマドライブ」の話をする時は「レトロサイバーパンク」というキーワードを出していましたね。ハンコとかダイヤル電話といったガジェットをサイバーパンクに織り交ぜたような世界観ですね。たとえばキャラクター原案の小松崎(類)はもともと弐瓶勉さん(「シドニアの騎士」「BLAME!」の漫画家)の絵が好きなので、「レトロサイバーパンク」というと、すぐに作品の方向性を理解してくれました。
――この作品には「アクダマ」と呼ばれる、一筋縄ではいかない犯罪者たちが続々と登場します。こういったピカレスクな作風にしたのは何がきっかけだったんでしょうか。
富永 (クエンティン・)タランティーノ監督の映画「レザボア・ドッグス」とかのような「悪だけど自分たちの信念を曲げないカッコよさ」を描いていきたいと思ったんです。自由に生きるのが難しい時代なので、自由に生きる彼らが魅力的に見えればいいなと考えていました。
――「ダンガンロンパ」でキャラクターデザインを務められた小松崎さんが、アクダマたちのキャラクター原案を務めていらっしゃいます。あがってきたキャラクターで、お2人にとってインパクトがあったキャラクターはどなたでしたか。
小高 「殺人鬼」が印象的でした。白い服を着ていて……人を殺したら服が汚れちゃいそうで(笑)。でも、だからこそ白い服を着ているんでしょうね。
富永 小松崎さんからキャラクター原案をいただいて、アニメ用のキャラクター設定をつくる時に、小松崎さんに監修をしていただいたんです。そうしたら、キャラクターの顔だけでなく、服装にすごくこだわられていたんです。「殺人鬼」だったら、だぼっとしたシルエットの服装はかなりこだわられていたようです。全キャラ、服装についてはかなりこだわられていましたね。
【取材・文:志田英邦】