原作イラストの魅力をとことん追求！　TVアニメ「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する」原作・美紅×キャラクターデザイン・木村博美対談

異世界での"レベルアップ"を経て、現実世界と異世界の両方で成功をつかむ人生逆転ファンタジーを描くTVアニメ「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する ～レベルアップは人生を変えた～（以下「いせれべ」）」が、6月29日（木）にいよいよ最終回！　原作小説を手がける美紅さんと、アニメでキャラクターデザイン・総作画監督を務める木村博美さんに作品の魅力や最終話の見どころを聞きました。

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――アニメの感想をうかがう前に、まずは本作のアニメ化が決まった時の感想を教えてください。
美紅　うれしい気持ちは当然ありました……が、それよりも驚きのほうが大きかったですね。というのも、「現実世界と異世界を行き来する物語の構造上、映像化は難しいかもしれません」と担当編集さんから言われていましたから。

――確かに、美術設定だけでも膨大になりそうです。作品にそれを押し切るだけの魅力があったということですね。美紅さんからアニメスタッフへの要望などは？
美紅　僕から何かをお願いしたことは、特にはなかったと思います。専門の方にお任せするのが一番だと思っていますので。

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――木村さんは本作に触れてどのような印象を抱きましたか？
木村　小説を読むときは脳内に映像が浮かぶタイプですので「賢者の岩屋はこんな雰囲気の場所かな……」などと想像しながら楽しませていただきました。それと女の子たちがみんなかわいいので、アニメでも同じくらいかわいらしく描けたらいいな、そのためにはどうアプローチしたらいいだろうかというようなことばかり考えていました（笑）。

――お気に入りのキャラを挙げるなら？
木村　異世界の王女、レクシアですね。お姫様という言葉がぴったりのビジュアルで、とても魅力的だと思います。また、これは優夜や佳織たちが通う王星学園の制服などにも言えますが、（キャラクター原案の）桑島黎音さんの絵はキャラクターたちのルックスのみならず、服飾のデザインセンスも大きな魅力だと思います。

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美紅　桑島さんのイラストは本当に魅力的ですよね。小説のイラストを描いていただく際も僕からオーダーをすることはほとんどないのですが、いつも「このキャラはこういう見た目をしていたんだ」と納得できるイラストを仕上げていただいています。何年も前の話ですが1巻の時に、桑島さんには「優夜の髪形はもうちょっとクセっ毛にしてください」とお願いしたくらいな気がします。

――キャラの話題になったところで、アニメのキャラクターデザインについても教えてください。板垣伸総監督や田辺慎吾監督とはどのような打ち合わせをされましたか？
木村　「原作イラストのテイストをなるべく再現してほしい」というディレクションをいただきました。アニメのキャラクターデザインをする際は線を減らして動かしやすくする場合が多いですが、本作では逆に線を極力残して情報量が桑島さんの絵柄からなるべく減らないようにしました。

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――言い換えるとそれだけ動かすのが大変なわけで、大きな決断となったのではと思います。
木村　総作画監督も私が担当していますのでそういう意味では自分自身で責任をある程度取れたとも言えますが、手が早いほうではないので大変でした。また、原作イラストの華やかさを少しでも再現するために撮影処理を厚めにすることも当初から決まっていたので、仕上がりを見るのは楽しいです。

――レクシアがお気に入りという話が先ほど挙がりましたが、デザインや作画の面でほかに印象に残っているキャラはいますか？
木村　レベルアップ前の優夜ですね。優夜はレベルアップを経てルックスが大きく変化しますが、佳織は第2話で「まっすぐで優しい目はそのまま」と話していますよね。それもあり、レベルアップの前後で目の位置や印象が変わらないように気を使いました。ただ、まったく同じというわけでもなくレベルアップ前はまぶたが少し下がり気味、レベルアップ後は上がり気味…と多少の差異もあります。
美紅　実はレベルアップ前の優夜のルックスはあまりイメージを固めていなかったので、僕はアニメを見て「なるほど、こういう見た目だったのか」と腑に落ちた感じがありました。原作モノがアニメ化される際はアニメならではのキャラクターデザインになる……というのが僕のイメージでしたが、「いせれべ」はどのキャラもほぼ原作通りのビジュアルで本当に驚きました。僕より桑島さんのほうがもっと驚いているかもしれませんが（笑）。

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――アニメとしてのお気に入りシーンはどこになりますか？
美紅　第6話で、優夜が火事で炎上するデパートの13階から一刻も早く脱出するために床を踏み抜いて1階まで降りるシーンですね。小説を執筆していた際も「我ながらすごい展開を書くなぁ」と思っていましたが、映像になったことでさらにとんでもないシーンになりました（笑）。爽快感のある描写で、楽しませてもらいました。

――それでは、放送が迫る最終話の見どころを教えてください。
美紅　"邪"の力をその身に宿す少女、ユティとの戦いについに決着がつきます。"聖"の力を持つウサギと協力し合うことで、優夜はどこまで成長できるのか。アニメにおける彼の強さの集大成に注目していただきたいです。
木村　原作の展開はそのままに、"作品を見終えた充実感"も得られる最終回に仕上がると思います。

――ありがとうございます。それでは最後に、ひと言ずつメッセージをお願いします。
木村　ハイライトをたくさん付けて絵を"濃く"描いても怒られない……むしろそうやって原作イラストの魅力を少しでもそのまま表現することが望まれていた現場でしたので、本作ならではの経験をさせていただいたと思っています。まだ作業がすべて終わったわけではありませんが、最後まで自分にできるかぎりのことをさせていただきます。
美紅　幼いころの僕は読書嫌いでしたが、そんな自分でも楽しく読めるのが児童書や絵本でした。それ以来、作家となった今も僕の創作の根幹にはそうした物語に見られる普遍的なテーマやコンセプトが根付いている気がします。「いせれべ」であれば、「みにくいアヒルの子」や「美女と野獣」でしょうか。そうして生まれた本作を彩る桑島さんのイラストの魅力がこんなにも再現されていて、毎週見るたびに感謝の気持ちでいっぱいになります。最終回にもご期待ください！

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際限なく強く、優しくなっていく優夜と、そんな彼に惹かれるヒロインたち。現実世界と異世界ふたつの世界を股にかける人生逆転ストーリーは、どのような結末をむかえるのでしょうか。
アニメでキャラクターデザイン・総作画監督を務める木村博美さんの手によるキャラクターたちは、原作の美紅さんも大絶賛。そんな木村さんの手腕はアニメ本編はもちろんのこと、描き下ろし版権ビジュアルにも遺憾なく発揮されています。

アニメ「いせれべ」は、最終回放送の約1か月後となる7月26日(水)にBlu-ray＆DVD BOXの上巻が発売予定です。初回生産特典は原作イラスト・桑島黎音さん描き下ろしBOX、木村博美さん描き下ろしアニメデジパック、そして原作・美紅さん描き下ろし小説となっています。詳細はアニメ公式サイトでご確認ください。