新作&おすすめアニメのすべてがわかる!
「月刊ニュータイプ」公式サイト
大学の女子寮で同じ部屋に住む入巣柚実(演:久保史緒里)と、その先輩である鯨井ルカ(演:平祐奈)。大学生らしい緩くも心地いい日々を過ごしていた2人だったが、ルカが大手音楽レコード会社から連絡を受けたことで、その日常に大きな変化が訪れて――。
石黒正数の青春コミック「ネムルバカ」が、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズのスマッシュヒットで一躍その名を知らしめた阪元裕吾監督の手によって実写映画化! コミックの映像化は初という阪元監督インタビュー、後編では、ひと癖も二癖もあるキャラクターたちや今後の野望についてうかがった。
Ⓒ石黒正数・徳間書店/映画『ネムルバカ』製作委員会
――柚実の大学の同級生である田口と伊藤も、絶妙な雰囲気を醸し出してましたね。学生時代の限られた期間であれば、ギリギリ許容できなくもない感じというか(笑)。
阪元 僕自身、今回の映画にも出てもらってる伊能(昌幸)をはじめ、学生時代から男同士でつるんだりはしてたんですよ。でも、ああいうザッツ・大学生……でもないかもしれないけど、何も考えてなさそうな連中とはあんまり合わなかったんです。たぶん、石黒さんもそうだったんじゃないですかね。僕も石黒さんも、どっちかというとルカみたいなストイック寄りの大学生だったと思うんです。そういう人間から見た、ただの大学生ってこんなんだよなっていう偏見が、知らず知らずのうちににじみ出てしまったかもしれません。
――それこそ伊能さんが演じていた荒比屋と吉沢悠さん演じる粳間らレコード会社の人間も、原作以上にルカから拒絶されそうなキャラクターになってましたね。
阪元 でもプロデューサー2人組との飲み会シーンって、最初はナチュラルに女性を見下してるようなノリで、もっともっとイヤ~な感じだったんですよね。「偉いよね~」とか褒めてきて、まず対等じゃないじゃん!みたいな。そこは脚本の皐月(彩)さんとの打ち合わせでもメチャクチャ盛り上がったんですけど、あいつらを悪人にしすぎると、のちのルカの決断に説得力がなくなってしまうし、こいつらに仕返しがしたかったのかな?みたいに受け取られたら、ちょっとそれも違うなと思って控えめの描写になりました。
――原作でも、そこまで悪しざまに描かれているわけではなかったですもんね。
阪元 そうなんです。でも、彼らのホモソーシャル感というか、じゃれ合ってる感じが、何となく気持ち悪く見えるといえばそうだろうし……2人で仲よくしてる感じを見せること自体はいいんですが、そういう男社会でやってきたんだろうな感を若干出すことで、ルカのアウェイ感といいますか。そこに飛び込んでいかなきゃいけない感じを出したいなと思って、絶妙に挑戦したところではありました。
Ⓒ石黒正数・徳間書店/映画『ネムルバカ』製作委員会
――一方で、ルカが参加しているインディーズバンド「ピートモス」のメンバーは、なかなか泣かせる味付けになっていたと思います。阪元作品に通底する、うまく生きられない人間に対する優しい目線が感じられました。
阪元 たまたま女性2人の作品が続きましたけど、僕自身はワチャワチャ男ムービーもすごく好きなので、せめて心のなかだけでも彼らが報われてるように描けたらなと。そもそも石黒さんからのリクエストに、バンドマンの悲哀と日常を描いてほしい。彼らのリアルが出るといいねという話があったんですよ。劇中でルカが歌う「ネムルバカ」って、原作ではもっとシュールな歌詞だったんですけど、もっといいものにできるんじゃないかということで、石黒さん自ら書き直してくれたりして、それでピートモスの男3人の出番も増やすか!みたいなことになっていきました。
Ⓒ石黒正数・徳間書店/映画『ネムルバカ』製作委員会
――今回、コミックの実写映像化に初挑戦されたわけですが、今後はどういった作品を撮りたいと考えてらっしゃいますか?
阪元 ホラー、アクション……やっぱりジャンル映画でしょうね。たとえば「ショウタイムセブン」とか、勝手にどのぐらい売れるんやろうと注目してたんですが、ちゃんと興行成績もよさそうじゃないですか。僕、ああいうワンシチュエーションスリラーも好きなんですよ。最近だと「#マンホール」もありましたけど、日本ではあんまりつくられることがないジャンルなので、ああいう作品に挑戦してみたいと思ったりもします。もちろん、ラブコメの依頼があれば、それはそれで楽しいかもしれませんけどね。ただ、もうすぐ僕も30歳になるので、ハタチとか高校生じゃなくて、30代の話をやってみたいなと。自分の撮るキャラクターといっしょに年をとれたら最高だなっていう思いもあったりするんですよ。
Ⓒ石黒正数・徳間書店/映画『ネムルバカ』製作委員会
1996年生まれ。高校時代から映画を撮りはじめ、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)在学中に制作した「べー。」で残酷学生映画祭2016グランプリを、「ハングマンズ・ノット」で期待の新人監督賞(カナザワ映画祭2017)を受賞。その後、2021年に監督と脚本を務めた「ベイビーわるきゅーれ」が大きな話題を呼び、現在では数多くの作品を発表している。
【取材・文:ガイガン山崎】
■ネムルバカ
●2025年3月20日(木・祝)より新宿ピカデリーほかにて全国公開中
スタッフ:監督…阪元裕吾/原作…石黒正数「ネムルバカ」(徳間書店 COMICリュウ)/脚本=皐月彩、阪元裕吾/音楽…立山秋航/主題歌…「ネムルバカ」(作詞:石黒正数/作曲:朝日/歌:平祐奈 as 鯨井ルカ)/制作プロダクション…Libertas/配給…ポニーキャニオン
キャスト:入巣柚実…久保史緒里(乃木坂46)/鯨井ルカ…平祐奈/田口…綱啓永/伊藤…樋口幸平/仲崎…兎(ロングコートダディ)/ジャガー・モリィ…儀間陽柄(the dadadadys)/DAN…高尾悠希/岩徹…長谷川大/荒比屋…伊能昌幸/粳間…吉沢悠
リンク:映画「ネムルバカ」公式サイト
映画「ネムルバカ」公式X(Twitter)・@nemurubakamovie