いよいよ本日より公開の「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」。
「武器なし、策なし、意気地なし! どうする? どうなる!?」というキャッチコピーのとおり、展開予想不可能の劇場アニメーションが完成した!
一体どんな作品なのか? 脚本を担当した池田テツヒロさんにお話をうかがいました。
スタッフみんなの変態性がじわじわ出ている不思議な映画!?
──まさか「たべっ子どうぶつ」がアニメ映画になるとは!という楽しい驚きに満ちた作品ですが、池田さん視点からはどのように始まった制作だったのでしょうか?
池田 竹清(仁)監督が推薦してくださって僕に声をかけてくださったのですが、当初は竹清監督自身はスケジュール的に参加できそうにないということで、プロデューサーの須藤(孝太郎)さんと小荒井(梨湖)さんとの3人で会議を重ねていきました。コロナ禍だったので主にリモートで。ちょうど「すみっコぐらし」のヒットもあったころで、最初はその方向のイメージなのかなあととらえていましたね。昔の「たべっ子どうぶつ」のCMのように少年とたべっ子たちが気球で旅していく話とか、谷底に突き落とされたらいおんくんがそのままそこでユートピアを作る話とか、なんだかんだ30パターンくらいプロットをあげて。最終的に「これで行きましょう」という流れができて、少年が主人公のシナリオを1本あげたんですね。ただ書き上げたところ、いまいち跳ねないかも、ということになり……。そこで須藤さんがはっきり「ゼロベースに戻しましょう」と振り切ってくれて、そこから今の形につながる、もっと壮大な展開を考えていく方向に定まっていきました。そうこうしているうちにスケジュールがずれこんで、竹清監督も参加できることになって。マーザ(・アニメーションプラネット)さんと竹清監督で現場を作れることになったので、今回のチームが実現したという感じでした。竹清監督とは今回の企画にかかわらずお互い個人的に「ちょっとブレストしてもいいですか?」みたいな感じで話してきた仲でしたので、一緒にできることになってうれしかったです。
──竹清監督とは「FLCL: Grunge」以来のタッグですね。
池田 そうなんです。ただ、「FLCL: Grunge」は今のところアメリカでしか公開されてない作品で。私も竹清さんも鶴巻監督が作り上げた「フリクリ」の大ファンで意を決して臨んだ作品でもあったので日本では配信もされないという状況に愕然として、他にも別の企画が立ち消えたこともあったので、竹清さんとは同じ傷を持つ2人と言いますか。なので、まったく別のアプローチですけれども今回の企画に結びついて、3DCGでやれることはまだまだある、見出していける、とだいぶ盛りあがりました。
──世界観設定やストーリーラインはどのように固まっていったのでしょう?
池田 「ゼロベースに戻しましょう」となったときに、須藤さんから、「命をかけて誰かを救うみたいなスペクタクルがほしい」というようなオーダーが飛びだしたので、なんでそれを先に言ってくれなかったんだ!? と思いつつ(笑)軸を固めていきました。と言いながらも、須藤さん自身は「アスパラガス(ギンビスのお菓子)って、すごい硬いから何か使えそうじゃないですか?」とか「太陽に向かって飛んでいくたべっ子たちがこんがり焼けたり」とか、荒唐無稽なアイディアをポツポツ投げこんでくるんですよ。小荒井さんはそれを鼻で笑ってたりするんですけど、その雰囲気が楽しかったですし、わりと拾っていけたんじゃないかと思っています。「たべっ子どうぶつ」は知育のお菓子なので、ビスケットに動物の名前が英語表記で書かれているのですが、その要素も絶対入れたくて、なんとかエピソードに組み込んだのもこだわりですね。それから、いろんな要素が入りみだれて軸がぶれそうになったときに道を示してくれたのはやっぱり竹清監督で。「お菓子を食べると生まれてくるキャラクターというのは、かなり面白いんで残しましょう」という監督のひと言で、ぐっとキャラクターと物語が立ち上がっていきました。動物キャラとして考えたときに、肉食動物と草食動物が一緒にいることについてどう解釈しようって悩んで、他の作品、「ズートピア」や「オッドタクシー」までも観返したんですけれど、そこで監督がたべっ子たちは動物の姿をしているけれどお菓子であるというところへ意識を戻してくれたので、このアイデアを大事にさせていただけたのが本当によかったかなと思います。
──コンサートシーン然り、ソロの歌唱シーン然り、歌も見どころの作品になっていますね。
池田 歌のシーンは入れたいね、というのは当初からあったのですが、僕と監督にはBTS好きという共通点もあり、アイドルとしてのたべっ子どうぶつたちの魅力というのもちゃんと描いていきたいと考えました。ただ、ぺがさすちゃん役の髙石あかりちゃんがあそこまで歌がうまいとは思っていなくて! 羽柴吟さんの曲も素晴らしくて! ぺがさすちゃんが歌いあげる場面は本当に大きな見どころとなりました。そして、らいおんくん役の松田元太さんの躍動感あるお芝居も本当にぴったりで。音響監督さんがおっしゃってましたけど、らいおんくんの第一声はオーディエンスに呼びかける声なんですけど、それはもう第一線のアイドルでなければ出せないであろう声だ、と。映画を引っぱってくれる力がありました。
──完成した映画をご覧になっての感想、そして、皆さんに楽しみにしていただきたいポイントを教えてください。
池田 竹清監督とマーザさん、本当にすごいなぁって思いました。「ソニック・ザ・ムービー」に携わられたマーザさんが描くモフモフ感と楽しさ! 3DCGアニメとしては日本最高峰のスタッフが揃ったんだなと思いました。毛並みに関してはプロデューサーの小荒井(梨湖)さんが最初からめちゃくちゃこだわってらっしゃって、その先に誕生したのがオリジナルキャラのゴッチャンだったので、ものづくりにはそういう過度な思い入れが必要なんだよなと再確認しましたね。シナリオをまとめる上でも、そういう誰かの一言、誰かの思い入れみたいなものを取りこぼさないということを貫いた作品になりました。あの「ポプテピピック」の須藤プロデューサーをはじめ、皆さんの変態性がじわじわ出ている不思議な映画になったなぁと思います。みんなのフェチをぶち込んだ!と言っても過言ではない。予想をいい意味で裏切るアニメになっておりますので、自由にお楽しみいただけましたら幸いです。
5月10日発売のニュータイプ6月号では、池田テツヒロさんからさらにお話を聞いたインタビュー、そして、竹清仁監督と須藤孝太郎プロデューサーの対談を掲載。こちらもどうぞお楽しみに。
【取材・文:ワダヒトミ】
「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」
●全国劇場にて公開中
(C)ギンビス (C)劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会
STAFF
原作=ギンビス 監督=竹清仁 脚本=池田テツヒロ 企画・プロデュース=須藤孝太郎 クリエイティブプロデューサー=小荒井梨湖 音楽=羽柴吟 音楽制作=TBSテレビ
主題歌=「Would You Like One?」Travis Japan(Capitol Records / ユニバーサルミュージック) 音響制作=グロービジョン 音響監督=横田知加子 アニメーションプロデューサー=宇井正人 CGスーパーバイザー=堺井洋介 アートディレクター=亀井清明 ラインプロデューサー=高橋弘樹(高は、はしごだか) アニメーション制作=MARZA ANIMATION PLANET INC. 製作幹事=TBSテレビ 配給=クロックワークス TBSテレビ
CAST
らいおんくん=松田元太 ぞうくん=水上恒司 ぺがさすちゃん=高石あかり(高は、はしごだか) さるくん=藤森慎吾 かばちゃん=蒼井翔太 うさぎちゃん=小澤亜李 ねこちゃん=水瀬いのり きりんちゃん=東山奈央 わにくん=立木文彦 ひよこちゃん=間宮くるみ ペロ=大野りりあな ゴッチャン=関智一 マッカロン教授=大塚明夫 キングゴットン=大塚芳忠
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