舞台

舞台『魔道祖師』邂逅編 藍忘機 役・廣瀬智紀インタビュー

(C)舞台『魔道祖師』製作委員会 改編自晋江文学城簽約作者墨香銅臭同名小説


中国の作家・墨香銅臭(モーシャントンシウ)によるBLファンタジー小説を原作に、ラジオドラマ、漫画、アニメ、実写ドラマなど様々なメディアミックスを展開し世界的な人気を誇る『魔道祖師』が初の舞台化を迎え、3月22日より東京・シアターHにて開幕しました。妖魔や邪鬼がはびこる架空の古代中国の世界で、後に屍を操る「鬼道」の創始者となる魏無羨(ウェイ・ウーシエン)と〝邂逅〟し、壮絶な運命に巻き込まれていく藍忘機(ラン・ワンジー)を演じる廣瀬智紀さんに作品に掛ける思いをうかがいました(取材は3月上旬に実施)。



――『魔道祖師』という作品の第一印象は?
廣瀬 登場する一人ひとりが抱えているものが非常に複雑で、それがゆえに奥行き深く、なんと重厚な物語かと驚きました。ここまで本格的な中華ファンタジー作品に携わるのは初めてですが、衣裳や武術にも少年心をくすぐられて、すごく好きな世界観です。夢のような、人が「こうであればいいな」と抱く理想ともいえるキャラクターたちを見て「自分に務まるのだろうか」という恐れがなかったかと言えば嘘になるのですが……ビジュアル撮影のとき、小道具ひとつをとっても原作に忠実に表現された各セクションの方々の技術の結晶を身に着けたことで、すてきな〝ギフト〟をいただいたような気持ちになり、藍忘機役として舞台に立つ自信をもつことができました。



――藍忘機については、どのようなところに魅力を感じましたか?
廣瀬 藍忘機は、品行方正で、礼節を重んじ「ド」がつくほどまじめな人物です。ことば数が少ないので冷たく見えてしまうのですが、実はすごく優しいところがすてきだと思います。かわいいなと思うのが、魏無羨の自由すぎる行動に引っかき回されて自分のペースを崩されるときに出てくることばが「くだらない」とか「失せろ」とか、同じようなものばかりというところです(笑)。魏無羨と出会うまで、自分の領域に踏み込んでくるタイプの人間と出会ったことがなかったんでしょうね。


(C)舞台『魔道祖師』製作委員会 改編自晋江文学城簽約作者墨香銅臭同名小説


――舞台上で表現するにあたり意識していることは?
廣瀬 目線や仕草の一つひとつに無駄がないキャラクターなので、そうした少ないながらの動きにもしっかりと意味をもたせていきたいです。ただ、最初から「藍忘機はここまで動かない」と決め込むと、舞台上で生きる藍忘機の可能性を狭めてしまうことになるので、まずはそこを超えていくようなギリギリのお芝居をしていって、演出の伊勢直弘さんともディスカッションしながらはみ出した部分を引き算していくというつくり方をしていけたらと思っています。僕はいわゆる「クールな役」をいただくことも多いのですが、これまでにつくってきた自分の中の引き出しも活かしながら、自分だけのものさしに留まるのではなく、共演者の方たちがもつ魅力などを吸収したりして、新しい何かを生み出せる稽古をしていきたいですね。

――ちなみに、廣瀬さん自身が今、藍忘機の影響を受けているようなところはありますか?
廣瀬 僕は、演じる役に寄っていく習性があるようなんです。こうして取材で撮影をしていただくときも、普段だったら歯を見せて笑うことが多いのですが、最近は気づいたらシュッと澄ましてしまっています(笑)。



――もうひとりの主人公である魏無羨の印象はいかがですか?
廣瀬 魏無羨は、無垢で、天真爛漫で……とにかくずっと話しかけてくるので、まるで子どものようだなと思うときがあります。でも、だからこそ愛おしくも思います。そして、本当に大変なのはそれを演じる(金子)隼也です。稽古を始めたときは膨大なセリフの物量に追われているようにも見えましたが、徐々に魏無羨としての輪郭が現われてきたように思います。藍忘機はどちらかというと魏無羨の言動を受けるほうが多いので、僕自身も毎回新鮮なリアクションをして、そのやりとりを楽しむ魏無羨という図をしっかり見せていきたいです。


(C)舞台『魔道祖師』製作委員会 改編自晋江文学城簽約作者墨香銅臭同名小説


――アクションシーンも期待されています。藍忘機が得意とする古琴を用いた秘術も披露されるのでしょうか?
廣瀬 照明、音響、映像を駆使した臨場感のもと、お客様の想像力をお借りしながら創るシーンも多くなると思います。立ち回りは舞台ならではの醍醐味なので、たっぷりとした広袖やひらひらした裾の動きも味方につけて、洗練された藍忘機のさばきを表現していきたいですね。琴は、基礎を習うために先生のところにも行きました。劇中で実際に演奏するわけではないのですが、藍忘機の最大の法器なので、そのくらいの熱量で覚えないといけないと思ったんです。本番までに精度を高めて、リアルな舞台表現に落とし込んでいきたいです。

――藍忘機と魏無羨以外で注目してほしいキャラクターについて教えてください。
廣瀬 本当に一人ひとりが魅力的な作品なのでピックアップするのは難しいのですが、藍忘機を演じている身としては、和田琢磨くん演じる江澄(ジャン・チョン)です。今回の『邂逅編』では少年時代と魏無羨が呪術で蘇ったあとの2つの年代が描かれますが、江澄はその間に人が変わってしまっていて、一体何があったんだろうと想像をかきたてられるんです。それから少年時代の雲深不知処のシーンでは江澄と魏無羨と、安井一真くん演じる聶懐桑(ニエ・ホワイサン)の3人でいることが多くて、そこでホッとひと息つけるような関係性を楽しんでいただきつつ、物語の本筋を追っていただけるかなと思います。

――最後に、公演を楽しみにしている方たちへメッセージをお願いします!
廣瀬 副題に『邂逅編』とあるように、魏無羨と藍忘機の出会いのシーンを丁寧に描いているので、まずはそこをしっかりお見せしたいです。『魔道祖師』の世界を舞台ならではの表現でしっかり創り上げられるよう、制作陣、役者陣ともども愛をもって向き合っています。僕としても、藍忘機という人物を生身でお見せすることは大きな挑戦だと思っています。全力で挑んでいきますので、ぜひ劇場で体感していただけたら嬉しいです。楽しみに待っていてください!



廣瀬智紀

●ひろせ・ともき/スターダストプロモーション所属。主な出演作に舞台『弱虫ペダル』シリーズ 巻島裕介役、『ダイヤのA THE LIVE』シリーズ 降谷暁役、「映画刀剣乱舞-継承-」鶯丸役、舞台『鬼滅の刃』産屋敷耀哉役ほか、5,6月にミュージカル「『憂国のモリアーティ』大英帝国の醜聞 Reprise」への出演を控える。

【取材・文:キツカワトモ/写真:武田真和】

■舞台『魔道祖師』邂逅編
東京公演 2025年3月22日(土)~3月30日(日) シアターH
京都公演 2025年4月4日(金)~4月6日(日) 京都劇場

■STAFF
原作=『魔道祖師』墨香銅臭
脚本・演出=伊勢直弘 音楽=坂部剛 メインイラストレーター=Gearous

■CAST
魏無羨=金子隼也 藍忘機=廣瀬智紀

江澄=和田琢磨 藍曦臣=小松準弥
金凌=田村升吾
藍思追=安藤夢叶 藍景儀=土屋直武
聶懐桑=安井一真 金子軒=武子直輝 
藍啓仁=村田充

大塚優希 小野俊介 坂本和基 櫻原智美 鈴木翔流 仲島瑠太 広瀬 蓮 光永ヒロト 宮園博之 来夢

【配信情報】
京都・千秋楽公演のライブ配信決定

■配信実施公演
・2025年4月6日(日)11:30公演【全景映像】
・2025年4月6日(日)17:00公演 (大千秋楽)【スイッチング映像】
※全景=1台の固定カメラで舞台全体が見える映像
※スイッチング=複数のカメラでシーンによって切り替える映像

■配信プラットフォーム、配信ページ
ZAIKO
https://l-tike.zaiko.io/e/mdzsstage

■販売価格
・全景映像:3000円(税込)
・スイッチング映像:4000円(税込)
※配信映像のご購入は、別途各種手数料が発生いたします。

■販売期間
・全景映像:~2025年4月6日(日) 13:30まで
・スイッチング映像:~2025年4月6日(日)19:00まで

■視聴期間
・公演配信開始~公演終了まで

■配信に関するお問い合わせ
ZAIKO お問合せ先
https://zaiko.io/contactus

リンク:舞台『魔道祖師』公式サイト
    公式X(Twitter)・@mdzs_stage

この記事をシェアする!

MAGAZINES

雑誌
ニュータイプ 2025年5月号
月刊ニュータイプ
2025年5月号
2025年04月10日 発売
詳細はこちら

TWITTER

ニュータイプ編集部/WebNewtype
  • HOME /
  • レポート /
  • 舞台 /
  • 舞台『魔道祖師』邂逅編 藍忘機 役・廣瀬智紀インタビュー /