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低い声が長年のコンプレックスだった!? SennaRin「最果て」インタビュー

澤野弘之による全曲プロデュースで今年4月にデビュー。すでに多くのタイアップ楽曲を担当し、国内外でライブを開催するなど快進撃を続けるSennaRin。11月23日にリリースされた最新シングル「最果て」は、放送中のTVアニメ「BLEACH 千年血戦篇」のED テーマ。発売中の月刊ニュータイプ12月号では「最果て」についてのインタビューを掲載しているが、こちらではMV撮影の裏話やカップリング曲についての話題を中心に、たっぷりお届けする。

SennaRin「最果て」ジャケット
SennaRin「最果て」ジャケット

――「最果て」のMVではSennaRinさんが無数の管につながれていて、とにかくインパクト抜群ですね。
SennaRin ありがとうございます。「最果て」の歌詞は精神世界をモチーフにしているので、MVでは現実と精神の2つの世界を描きたいということを監督さんにお伝えしたんですよ。そうしたらすごく大掛かりなセットを組んでくださって、初めて見たときはすごく驚きました(笑)。

――撮影も大変そうですね。
SennaRin そうなんです。一度衣装を装着すると外すのにすごく時間がかかっちゃうので、すべてのカットを撮り終わるまで外すことができなくて。約4時間拘束されっぱなし(笑)。でもおかげで印象に残るMVになったので、長時間耐えたかいがありましたね。

――カップリング曲についてうかがっていきたいと思います。M2「透明な惑星」は透明感があり、青春っぽさも感じる楽曲ですね。
SennaRin そうですよね。スポーツドリンクのCMソングのようなさわやかさも感じました。でもどういうわけか歌詞は真逆の方向に進んでいきましたね。

――この曲もSennaRinさんが作詞を担当しています。第一印象では無邪気な青春ソングにも聴こえますが、実はそうではない?
SennaRin 実は地球が滅亡する歌なんです。地球にはいつまでも元気でいてもらいたいし、ずっと暮らしていきたいけど、でもこのまま環境破壊が進むと確実に滅んじゃうよねっていう、私なりの皮肉ソングです。「また会おうね」というフレーズが入っていますが、地球が滅びてしまうので、実際には会うことはできないっていうオチです。

――驚きました。たしかにそれは強烈な皮肉ですね。サビの歌詞も独特です。「error 創造 loading loading lie 正解層 没有 命‘s resolving PSI の配散々 今世 then U Q A. つづく」という単語の羅列には、何か意味が込められているんですか?
SennaRin ありますよ。まず「error」で温暖化が起こり、それを解決する「創造」があり、それを「loading」していくっていう感じで、最後まで意味があります。あくまでも耳心地を大切にしつつ、私なりに地球の命運を綴っていて、〈廻るストーリーをどこまでも見たいよ〉というフレーズをいろんな言語で変換しています。

――なるほど。一般的な作詞とはまた違った才能が垣間見えますね。
SennaRin ありがとうございます! 私は適当な言葉を考えるのも得意なんですけど、その逆に適当そうに見えてしっかり意味のある言葉を考えるのも好きなんです。なのですんなりと出てきました。

――続けてはM3「Missing Piece -WwisH-」とM4「Till I」についてうかがいます。この2曲は昨年配信された澤野弘之さんのPiano solo album「scene」の発売記念特番で、SennaRinさんご自身が披露された楽曲ですよね。
SennaRin そうです。「Missing Piece -WwisH-」はもともと英語歌詞で男性が歌っている楽曲なんですけど、私は学生時代からこの曲の元になっている「randam-E」という楽曲が大好きで、かなり聴き込んでいたんです。なので歌わせていただけたことはとても光栄ですし、日本語歌詞も書かせていただけてすっごく幸せでした。

――英語歌詞の意味を翻訳しているわけではなく、オリジナルで日本語歌詞をつけているんですよね。
SennaRin はい、澤野さんからも英語歌詞の意味は無視していいよって言われたので自由に作詞させていただきました。

――純粋に泣けるバラードですが、歌詞にはどんなストーリーが込められているのでしょうか?
SennaRin この歌詞の主人公は26歳のひとり暮らしの男性で、子供のころに両親を亡くしているという設定ですね。

――そこまで細かく設定しているんですね。
SennaRin 私は歌詞を書く際に必ずコンセプトや人物設定を決めています。この曲は「Missing Piece」という曲名と、澤野さんからの冬の歌にしてほしいというお話しから私のなりのイメージを組み立てていきました。ふだんはこの設定は誰にも見せないんですけど、この時だけはなぜかそれも澤野さんに渡してしまって、めっちゃ恥ずかしかった記憶があります。今でも「Missing Pieceって26歳のやつだっけ?」ってイジられてます(笑)。

――最後は「Till I」です。この楽曲はもともとSawanoHiroyuki[nZk]の4thアルバム『iv』に収録されていた作品ですね。
SennaRin そうですね。原曲はバラードではなくリズムのある曲なんですが、今回はピアノ伴奏のみでカッコよく歌わせていただきました。

――とくにサビの低音のパワフルさがSennaRinさんらしく、とても聴かせる歌になっていますね。
SennaRin この収録の時に自分の声の新しい部分を見つけることができたのですが、特にサビではそれが表われているのかなと思います。YouTubeにもスタジオライブの映像が上がっているのですが、歌声を褒めていただくコメントがたくさんあってとてもうれしいです。

――その歌声は、強力な武器だと思います。
SennaRin 私が好きなアーティストさんはみなさん透き通ったクリアな歌声の持ち主ばかりで、昔はどうしても比較しちゃっていたんですよね。歌うことは好きなんですけど、声質はよくないよなってコンプレックスをもっていました。当然プロになんかなれるわけがないと思っていたんですけど、YouTubeでカバー動画をアップしたら意外と前向きなコメントが多くて、それでだんだんと「この声は武器になるのかもしれない」と思うようになっていったんです。

――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
SennaRin 「最果て」はもちろん、カップリング曲も含めて世界中の人に聴いてほしいシングルになりました。4曲それぞれで私の異なる一面をお見せできたのではないかと思いますので、ぜひすみずみまで楽しんでください。
 

プロフィール

 

SennaRin
SennaRin

●SennaRin(センナリン)/高校生のころからYouTube上で公開してきたカバー動画が5500万回以上の再生回数を記録する福岡出身、21世紀生まれのシンガー。迫力のある低音とハスキーな高音が特徴で、その歌声は無二の存在感を誇る。2022年4月にデビュー

【取材・文/岡本大介】 

■SennaRin「最果て」
発売元:SACRA MUSIC
発売日:11月23日

リンク:SennaRin公式サイト
    SennaRin〈茜雫凛〉公式twitter・@senna_rin
    SennaRin〈茜雫凛〉公式YouTubeチャンネル

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