「盾の勇者の成り上がり」藤川千愛インタビュー第2弾「ラフタリアの境遇に感情が刺激された」

現在、好評放送中のTVアニメ「盾の勇者の成り上がり」。その放送を記念して、スタッフ＆キャストによるリレー連載をお届けします。

第12回は、1クール目、2クール目の両EDテーマを担当する藤川千愛さんが登場。2回目の登場となる今回は2クール目のEDテーマ「あたしが隣にいるうちに」のお話を中心に、5月7日にリリースされる1st Full Album「ライカ」についてもうかがいました。

――本作の1クール目のEDテーマ「きみの名前」は大きな反響があったと思いますが、どのように受け止めましたか？

藤川　国内の方からもたくさんコメントをいただきましたが、それ以上に海外の方の反響が大きくて驚きました。YouTubeにアップされているMVには英語を中心に中国語、韓国語などいろんな言語のコメントが付いていて、InstagramやTwitterにも海外の方がたくさんコメントをしてくださっています。再生回数も過去最高の伸び方をしていて（4月下旬で190万再生）、改めてアニメの力、「盾の勇者」の力を実感しました。

――3月30日にEJアニメシアター新宿でオールナイト上映会が開かれ、藤川さんはライブパートで「きみの名前」と「あたしが隣にいるうちに」を歌われました。

藤川　映画館で歌うのは初めてだったのですごく緊張しましたが、この曲でアニメをもっと盛り上げたいという思いで全力を出し切りました。貴重な経験ができましたし、ステージと客席の距離が近くて会場の皆さんの顔がよく見えたのも嬉しかったです！

――「あたしが隣にいるうちに」はどういったコンセプトで制作されたのでしょうか？

藤川　1番ではラフタリアの気持ちを歌い、2番では尚文の気持ちを歌って、最後はまたラフタリアの気持ちに帰ってくるという歌詞にしています。「盾の勇者」を見ているときに、過酷な状況が続いていけばラフタリアにもいつか何かが起こるかもしれないと感じて、「大切な人が隣にいるうちに感謝の気持ちや愛情を届けたいし、与えられたい」という気持ちを歌詞にしたいと思ったんです。

――作詞をする上で大変だったことはありませんでしたか？

藤川　アニメを見ていて書きたいことが決まったので、大変なことはなかったです。「盾の勇者」で描かれる「人を信じられない状態の中で本当に信じられる人を見つけた」のようなテーマは、自分の経験と重なる部分もあるのでいつも感情が刺激されます。

――1番と2番では歌い方もガラリと変えていますよね。

藤川　歌詞を分けた時点では歌い方を変えるつもりはなかったのですが、練習をしていくうちに「1番と2番で歌い方を変えたい！」と思うようになって。完全に感覚で決めました（笑）。でも、そのほうが絶対に気持ちが入ると思いましたし、実際に歌ってみてもしっくりきたので歌い方を変えてよかったです。

――では、レコーディングもスムーズに？

藤川　サビのキーが高くて、最初は苦戦しました。今までも高いキーの曲はあったのですが、今回はただ高いだけじゃなく高いキーがずっと続くんです。でも、高音で声を絞り出すからこそ感情がさらに乗ってきて、より気持ちが込められました。

――強く訴えかけてくるものがありました。

藤川　曲のデモをいただいたときに、メロディの感情の起伏が激しくてサビもエモーショナルだなと感じたんです。歌うときはそのエモーショナルな部分を大切にしています。

――EDの映像の感想はいかがでしたか？

藤川　すごくロマンチックです！　ラフタリアの照れた顔や幸せそうな表情がかわいいですし、優しく甘えているようなところもあって、ラフタリアってこんな表情もするんだって新鮮な驚きがありました。画のタッチも柔らかくて、温かくて。この映像に私の歌が使われているのがとても嬉しいです。

――すでにMVが公開され、ライブでも披露されていますが、ファンの方の反応はいかがですか？

藤川　ライブで歌ったときに泣いている方もいらっしゃって、この曲に込めた想いが皆さんに届いているんだなと実感できたのが嬉しかったです。私の曲の中で一番好きとおっしゃる方も多くて、ありがたいなって思います。

――1番と2番で歌詞や歌い方が変わるのと同様に、MVも映像のテイストや藤川さんの表情がガラリと変わりますよね。

藤川　1番はラフタリアになった気分で歌って、2番は尚文になった気分で歌っているので、ライブやMVだと表情も自然と変わってしまいますね。1番は優しい表情で、2番は強い表情になっているのが歌っていても楽しいです。

――ところで、以前のインタビューでフィーロが好きだとおっしゃっていましたが今も変わらないですか？

藤川　大好きです！　今日もフィーロのキーホルダーを持っています（笑）。今はぬいぐるみがほしいですね。

――2クール目に入り、ますますフィーロが活躍中です。

藤川　本当に強い子だなって思います。鳥の状態のときもすごく強いなと感じたのですが、最近は美少女の状態でも強くて。かわいいのに強いところが素敵です。

――3月30日のイベントではフィーロを演じる日高里菜さんにお会いしたそうですね。

藤川　はい。メイクをしていただいているときに、向かい側に座っていらしたのが日高さんでした。「フィーロだ！」と嬉しくなったのですが、人見知りだから自分から声を掛けられなくて……。でも、そのあとに私の歌が好きだとおっしゃってくれたんです！　嬉しかったですね。いい思い出になりました！

――そして、5月7日には1st Full Album 「ライカ」がリリースされます。

藤川　このアルバムでは私の中にあるネガティブな部分や“毒”をさらけ出しています。ずっと言いたかったけれど、言えなかったこと。誰かの理想の自分であるために隠してきたこと。ほかにも、抱えてきた痛みや窮屈に感じてきたことがたくさんあったので、そういったものを取り払って本当の気持ちをさらけ出したいと思ったんです。けっして明るくはない自分だけれど“ありのままの、正直な自分”ではあるので、私を知っていただける始まりの一枚になったと思います。

――曲もバラエティ豊かですね。

藤川　R＆B調やロック、ライブで盛り上がれる曲など、いろんなジャンルの音楽が詰まっていて、音楽的な挑戦がたくさんできました。制作はとても楽しかったです。

――千鳥のノブさんが作詞した「あの日あの時」という曲が収録されています。どのような経緯でこのコラボレーションが実現したんですか？

藤川　実はノブさんとは実家（岡山県）が近所で、学年は違いますが幼稚園、小中高と全部同じ学校に通っていたんです。しかも、ノブさんのお父さんと私の祖父の仲が良く、実家にいた頃からお互いのことをよく知っていて。昨年、私たちの地元が西日本豪雨災害で大きな被害を受けたときから、地元の方の力になれるような曲を作りたいとずっと考えていたこともあり、旧知のノブさんに作詞をお願いしました。岡山の方だけでなく、たくさんの方が元気になれる曲になってほしいという思いを込めています。

――5月6日のワンマンライブ「Live Laika Special」（@マイナビBLITZ赤坂）もチャリティーライブなんですよね。

藤川　そうなんです。ライブ終演後、お客さんに1円から自分でチケット代を決めていただくというシステムで、売り上げはすべて西日本豪雨の義援金にさせていただきます。ぜひ、足を運んでいただきたいです。

――ライブの準備はいかがですか？

藤川　先日、リハーサルが始まって（取材は4月中旬）、ちょうどMCで話したいことを考えている最中です（笑）。曲のほうも一気に新曲が増えたので、これからもっともっと精度を高めていけたらいいなと思います。ライブは音源とはまた違ったよさがあるので、「盾の勇者」で私に興味を持ってくださった方にも、ぜひ遊びにきていただきたいですね。よろしくお願いします！

【取材・文：岩倉大輔】