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「大切なものを学びつつソマリを演じきりました」TVアニメ「ソマリと森の神様」プレミアム先行上映会レポート&インタビュー

2019年11月17日(日)、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で、2020年1月からAbemaTV、TOKYO MX、BS日テレで放送開始予定のTVアニメ「ソマリと森の神様」プレミアム先行上映会が昼夜2公演で開催されました。

第1話、第2話の上映後、ソマリ役の水瀬いのりさん、ゴーレム役の小野大輔さん、シズノ役の七海ひろきさん、ハイトラ役の小野友樹さん、安田賢司監督、そしてスペシャルゲストとして音楽(劇伴)の吉俣良さんが登壇し、さまざまなトークを繰り広げました。

水瀬さんはソマリについて「ソマリは、子供ならではの視点や切り口で、感情を素直に口にする女の子です。目を離すとすぐどこかに行ってしまうような子供らしさを大切に演じました」と思いをまじえながら紹介。

ゴーレム役の小野大輔さんは「(ゴーレムに)心があるかどうかは分からないけれど、彼の行動理念になっているのはソマリです。ソマリがとにかくかわいい作品ですので、親目線の芝居になってしまわないよう、感情をおさえながら演じました」と続けました。

話題がアフレコの思い出におよぶと、本作がアニメ初挑戦となるシズノ役の七海ひろきさんは「(アフレコ現場には)マイクが4本あって、どのマイクにどのタイミングで入ればよいかすら、よく分からないところからのスタートでしたが、みなさんがさりげなく1本を空けたままにしてくださり、深い優しさを感じました」とエピソードを語りました。

また、今回先行上映された第2話まででは、小野友樹さんが演じるハイトラが登場していないこともあり、イベントではハイトラが登場するシーンのハイライト映像も公開されました。小野友樹さんはその映像とともに「ハイトラが登場するのはもう少し先になりますが、ハイトラ&ウゾイとの出会いが、ソマリたちにどのような影響をおよぼすかに注目してください」と作品の見どころに言及しました。

ここでスペシャルゲストとして、劇伴を手がけた作曲家の吉俣良さんが登壇しました。吉俣さんは今回の楽曲について「アニメの曲をよく手がける同業者からは、尺の短い曲を数多く使うことが多いと聞いていましたが、長尺の曲をしっかり使っていただけて音楽家冥利につきます」とコメント。安田監督はそれを受けて「親子の絆をテーマとした作品ですので、見ている方にゆったりとした時間を与えたかった」と狙いを語りました。

楽曲には生演奏も多く用いられており、演奏には天皇陛下の御即位をお祝いする祝賀式典で奉祝曲を演奏した、ヴァイオリニストの室屋光一郎さんらが参加しているとのことです。思わぬビッグネームの登場に、会場では大きな歓声が上がりました。

イベントの最後は、小野大輔さんが「出会い、そこから紡がれる温かい時間を感じてください。(水瀬)いのりちゃんとも段々と打ち解けることができて、最終話のアフレコを終えるときは本当に名残惜しかったです。そのくらい大切な時間を過ごせました。みなさんにもかけがえのない時間を感じてもらえれば」と挨拶。

水瀬さんは「ソマリから、大人になると忘れてしまいがちな気持ちをたくさん学びました。アフレコはもう最後まで終わっていますが、最後まできっちりソマリを演じきれたと思っていますので、応援をよろしくお願いします」と語り、上映会は幕を閉じました。

今回開催された昼夜2公演からなるプレミアム上映会の模様は、2020年2月28日(金)と4月24日(金)に発売される「ソマリと森の神様」Blu-ray BOX上巻と下巻の特典ディスクにそれぞれ収録されます。最後に、昼公演終了後に行った登壇者へのメディア合同インタビューをお届けします。

【「ソマリと森の神様」キャストインタビュー】

――イベントを終えての感想を教えてください。

水瀬 早くみなさんにお届けしたい気持ちでこの日をむかえました。また、作詞と歌唱を担当させていただいているエンディングテーマ「ココロソマリ」が、劇場という大画面、大音響でお届けできたのはとてもうれしく、光栄でした。

小野(大) 完成したフィルムは想像以上の仕上がりで、がんばって演じた甲斐があったと役者冥利につきました。演じていて心に残るもの、培われたものがたくさんある作品です。(上映では)そんなことを思い出して感慨深かったです。

七海 アニメのアフレコは本作が初めてで不安はありましたが、キャスト、スタッフのみなさんが温かくむかえてくださいましたので、心を落ち着けて臨めました。そんな作品をファンのみなさんといっしょに劇場で見られたことがうれしいです。

小野(友) あっという間で、楽しい時間でした。劇場で開催するイベントはお客さんも得てして固くなってしまいがちなのですが、笑いもあって温かい空気感になったのではと思います。

――キャラを演じるうえで印象に残っていることを教えてください。

水瀬 (第1話の)アフレコに臨んだときは、自分のお芝居はこれでよいだろうか、はしゃぎすぎではないかなと不安もあったのですが、音響監督の濱野(高年)さんから「もっと喜怒哀楽を付けてくれていいです。お父さん(ゴーレム)は感情を削っていく芝居になるので、ソマリは(感情を)どんどん足す。二人合わせて100になるように」とディレクションをいただいて、よりアグレッシブに、より無邪気にいっていいのだと分かったときが、私の中でソマリ(の役作り)が固まった瞬間でした。お父さんを絶対にデレさせてやるんだという思いで、演じさせていただきました(笑)。

小野(大) お父さんは心や感情がなく、そしてそれを殊更に強調することもなく、淡々と演じる必要がありました。そういう"引き算"の芝居は難しいところもあって、アフレコでは「愛情がだだ漏れになってしまっているので抑えてください」とディレクションをいただくこともありました(笑)。そこで、本番前のテストではあえて愛情をだだ漏れにさせてみて、それを基準に、本番では感情をしっかり抑えるという手順で臨みました。

七海 お父さんとソマリちゃんが2人で作っている世界に入っていくことに最初は緊張していましたが、小野(大輔)さんに「みんなで隣の人の芝居を感じながら演じていきましょう。その方が、空気感を音に乗せて伝えられます」とおっしゃっていただけて、声だけのお芝居もそういうところを大切にしていくのだと教わりました。

小野(友) ハイトラを演じるにあたっては、彼の病の度合いをどのくらいにするかをまず安田監督とディスカッションしました。そのお芝居が(ハイトラを演じるうえでの)本質というわけではないのですが、彼の背景に横たわるストーリーを感じてもらうために、最初にそこを固める必要があると感じました。

――最後にメッセージをお願いします。

小野(友) 物語、音楽、色彩、世界観……すべてがひとつの芸術を織りなしていると感じられるくらい素敵な作品です。ハイトラとウゾイの登場も含めて、楽しみにお待ちいただけますと!

七海 幅広い年代の方たちの琴線に触れる作品だと思います。また、私個人としては、宝塚を退団して初の作品になります。そういった面でもお楽しみいただけたなら、うれしいです。

小野(大) 声優が何かを表現するには役柄やセリフが必要で、1人でできることは限られていると考えていますので、僕は人といっしょにモノを作るのがすごく好きです。本作はスタッフ、キャストが一体となって本当にすばらしいものに仕上がりましたので、感無量です。

水瀬 ソマリを演じられる喜びが、1話ごとに大きくなっていくのを感じていました。決してハデな世界観ではなく、見栄えのする魔法が飛び交ったりもしませんが、確かに胸に残るものがある作品です。ぜひとも最終話までお付き合いください!

【「ソマリと森の神様」スタッフインタビュー】

――イベントを終えての感想を教えてください。

安田 現場での作業は残り少ないのですが、今日、来場者のみなさんと一緒に見ることで、当時の思いがよみがえってきました。キャラクターたちをあらためて身近に感じられて、とても有意義な時間でした。

吉俣 アニメをよく見ていらっしゃる方たちが自分の音楽を受け入れてくれるだろうか、違和感を抱かないだろうかとドキドキしていましたが、今日お会いした方たちからは「よかったよ」と言っていただけて胸を撫でおろしました。

――作品、および楽曲を手がけるうえで、一番大切にしたいと思ったことを教えてください。

安田 本作はファンタジーでありつつ、親子の旅、成長、絆に軸足を置いた作品です。異世界を見せつつ、いかに日常感を出すか、いかにソマリに親近感を持ってもらうか、表情のないお父さんの内面をどう表現するか――ハードルは高かったですが、うまく仕上げられたのではないかと思っています。

吉俣 作曲するうえで大切なテーマだと感じたのは「親子愛」と「旅」です。旅のテーマ曲をいかに作るかが課題でしたが、作品に触れて最初に感じたものをそのまま曲にしたらスタッフのみなさんがメインテーマとして位置付けてくださって、ホッとしました。メインテーマを作曲するうえでは、(ドラマなどの実写作品ではなく)アニメの曲であるという意識はあまりありませんでしたね。どこかの砂漠を、親子が2人で旅をしているというイメージで書きました。

――お二人同士のやりとりで印象的だったことを教えてください。

安田 僕はアニメ業界で、吉俣さんは実写作品を軸足とされている方ですので、まずは共通言語を探っていくところからのスタートでした。旅のテーマ曲をお願いするにしても「親子の旅のテーマ(子供が歩くスピードで)」というように、丁寧なオーダーを心がけました。

吉俣 実写作品は役者の方たちが演じる前に作曲することがほとんどですので、曲のテンポ感まで指定してもらえることはあまりないんです。(安田監督のオーダーは)とてもイメージがしやすくて、こちらとしても助かりました。

――最後にメッセージをお願いします。

安田 今の時代にはめずらしく、刺激的なわけではなく、スピード感があるわけでもない作品です。ですがそれゆえに、じっくりと見て、いろいろなことを考えられる作品ではないかとも思っています。「ソマリ」を見ていただく時間が、みなさんにとって大切な時間になれば幸いです。

吉俣 絆、つながり、愛……そういう普遍的なものを感じつつ、最後に切ない気持ちになれる、とてもいい作品だと思いました。みなさんにも、同じ気持ちになっていただけると信じています。

■TVアニメ「ソマリと森の神様」
2020年1月よりAbemaTV、TOKYO MX、BS日テレにて放送開始予定

スタッフ:原作…暮石ヤコ「ソマリと森の神様」(「WEB コミックぜにょん」連載/ノース・スターズ・ピクチャーズ)/監督…安田賢司/シリーズ構成…望月真里子/キャラクターデザイン…伊藤郁子/美術監督…ニエム・ヴィンセント/音響監督…濱野高年/色彩設計…中村千穂/オープニング主題歌…「ありがとうはこっちの言葉」森山直太朗/エンディングテーマ…「ココロソマリ」水瀬いのり/音楽…吉俣良/音楽プロデューサー…山岡晃/アニメーション制作…サテライト
キャスト:ソマリ…水瀬いのり/ゴーレム…小野大輔/シズノ…七海ひろき/ヤバシラ…鈴木達央/ウゾイ…早見沙織/ハイトラ…小野友樹/キキーラ…小林ゆう/ムスリカ…速水奨/コキリラ…関智一/ヘイゼル…茅野愛衣/プラリネ…高垣彩陽/ローザおばさん…柴田理恵

リンク:TVアニメ「ソマリと森の神様」公式サイト
    公式Twitter・@somali_anime
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