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「俺だけレベルアップな件」澤野弘之×TOMORROW X TOGETHERのOPテーマが実現。「英語詞を歌った際のグルーヴ感も含めてさすが」澤野弘之インタビュー

1月6日より放送がスタートしたTVアニメ「俺だけレベルアップな件」は、「人類最弱兵器」と呼ばれる最低ランクハンターである主人公・水篠旬が、とある事件を経てどこまでも成長していく姿を描くバトルファンタジー作品。第1話は、ほかのハンターたちとともにダンジョン攻略に挑んだ旬が、二重ダンジョンに迷い込んだすえに圧倒的な強さの神像と遭遇してしまうという絶望的な展開で幕を開けました。今回は主題歌と劇伴を担当した澤野弘之氏に、本作の音楽制作についてお話をうかがいました。


(C)Solo Leveling Animation Partners


――作品の第一印象はいかがでしたか?
澤野 単純に世界観がカッコいいなと思いました。弱いハンターと強いハンターのあいだに明確な格差があって、努力ではどうにもならないところなどは、どこか現代社会に通じるものもありますし。そんななかで、主人公だけがどこまでも強くなっていくというストーリーは、国や性別、年齢を問わずに誰もがグッと力が入るんじゃないかと思います。もちろん僕も大好きです。


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――音楽を手がけるうえで、特に意識されたことはなんですか?
澤野 アニメの制作発表当時から、すでに広く海外で受け入れられている作品でしたので、日本的な叙情的なメロディというよりは、ハリウッド映画に近いリズムの立ったオーケストラサウンドや大きいメロディの取り方は意識しました。とはいえ、もともと僕自身がそういう音楽に影響を受けていますし、いつもと違う音楽作りをしたというわけではなく、素直に今やりたい音楽を全面に出した形です。

――第1話でいうと、主人公たちが巨大な神像に襲われた際の音楽は、絶望や恐怖感がヒシヒシと伝わってきました。
澤野 ありがとうございます。あの神像のシーンはかなりショッキングなので、恐怖感や異質感、不気味さを出したいなと思いました。僕自身、動かないはずのものが動くとか、すごく怖いんですよ。子どものころに見た「チャイルド・プレイ」のチャッキーとか、めっちゃ怖くて苦手でしたから(笑)。なのでそんな気味の悪さは出しつつも、同時にバトルシーンでもあるので、どこかしらカッコよくも聞こえるようなバランスを目指しました。


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――さらに第2話では、ストーリー展開に合わせた音楽の仕掛けもありますよね。
澤野 ホルン、バイオリン、太鼓、コーラスがひとつずつ重なっていくシーンですよね。ここは楽器の指定があって、楽器ごとでも聞けるし、全体としてもアンサンブルになっている楽曲が欲しいというオーダーがあったんです。楽しみながら作ることができましたし、完成した映像を見たときにはなるほどと感心しました。ほかのシーンでも、「ここでこの曲が使われるのか」と唸らされるところがあって、音楽の使い方が印象的な作品だなと思います。

――劇伴を通じて、特に思い入れの深い曲などはありますか?
澤野 最初に作ったメインテーマですね。これは新情報PVに少しだけ使われているんですけど、冒頭でもお話しした通り、今のハリウッド音楽の流行を自分なりに取り込んで作った曲なんです。メロディアスな方向ではないんですが、僕自身すごく興味のある音楽性でもあって。これが作品世界に合ったことで、それなら今後もこの路線でいけるなと手ごたえを感じた曲でもあります。

――これから本編で流れる曲が楽しみです。
澤野 実は、これから作る曲もまだあるんですよ。ストーリーもかなり進んでいるので、どのようなアプローチをするかはまだ決めていないんですけど、もしかしたらまた少し変化するかもしれません。いずれにしろ、壮大なスケール感というものは重視していますので、楽しみにしてもらえたらと思います。


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――OPテーマ「LEveL」についてもうかがいます。韓国の5人組ボーイズグループ・TOMORROW X TOGETHER(以下、TXT)とのコラボですが、いかがでしたか?
澤野 ご一緒できて光栄でした。普段なら主題歌を作った後でボーカルを決めることが多いんですが、今回は曲を作る前からTXTとご一緒できることが決まっていたので、なんとなく彼らが歌って踊っているところを頭でイメージしながら作りました。彼らのサウンドはアメリカのポップス要素も取り入れているので、作品の世界観とともに、そういったところも取り込めたらいいなと思っていました。

――韻を踏んだりラップパートがあったりなど、ダンサブルでグルーヴィーな仕上がりですね。
澤野 そうですね。MVなども見ていたので、彼らの歌とダンスが引き立つようにというのはどこかで考えていたかもしれません。ボーイズグループではないですが、昔のデスティニーズ・チャイルドのような身体的な要素、動きの気持ちよさというのはなんとなくヒントとして頭にありました。

――実際にTXTの歌唱を聞いて、どんな印象を受けましたか?
澤野 ロックとまでは言いませんが、わりと激しめにリズムを立たせているので、そこをどんなふうに歌ってくれるのかなと思っていたら、サビなどはすごくエッジを効かせた歌声を乗せてくれて、英語詞を歌った際のグルーヴ感も含めてさすがだなと思いました。

――日本人が歌う日本語詞や英語詞とはまた違うアプローチが新鮮でした。
澤野 発音もリズム感も、やっぱり微妙に違いますよね。でもその違いから生まれるエッジの立ち方やサウンドの広がりというのは確かにありました。より英語圏の方々に刺さる楽曲になったんじゃないかと思います。

――では最後にファンにメッセージをお願いします。
澤野 OPテーマも劇伴も、僕が現在進行形でやりたいサウンドを詰め込むことができたと思います。劇中で流れる予定のボーカル楽曲もいくつか作っていますので、映像やストーリーと合わせてそちらも楽しんでいただけたらうれしいです。


(C)Solo Leveling Animation Partners


【取材・文:岡本大介】

■TVアニメ「俺だけレベルアップな件」
放送:TOKYO MX…毎週土曜 24:00~
   とちぎテレビ…毎週土曜 24:00~
   群馬テレビ…毎週土曜 24:00~
   BS11…毎週土曜 24:00~
   CBCテレビ…毎週土曜 26:08~
   読売テレビ…毎週月曜 26:29~
   アニマックス…2月3日(土)より毎週土曜 22:30~
配信:Prime Videoにて毎週土曜24:30より見放題最速配信。ほか各動画配信サービスで順次配信中

スタッフ:原作…DUBU(REDICE STUDIO)、Chugong、h-goon(D&C MEDIA 発行)/監督…中重俊祐/シリーズ構成…木村 暢/キャラクターデザイン…須藤智子/サブキャラクターデザイン…古住千秋/モンスターデザイン…徳田大貴/プロップデザイン…白石創太郎/アクションディレクター…菅野芳弘/キーアニメーター…鳥居貴史、丸山大勝、橋元快斗、中川 肇/美術監督…奥村泰浩/色彩設計…中野尚美/撮影監督…井関大智/CG監督…森岡俊宇/モーショングラフィックス…大城丈宗(Production I.G)/編集…近藤勇二/音響監督…田中 亮/音楽…澤野弘之/アニメーション制作…A-1 Pictures

キャスト:水篠 旬…坂 泰斗/諸菱賢太…中村源太/水篠 葵…三川華月/向坂 雫…上田麗奈/最上 真…平川大輔/白川大虎…東地宏樹/後藤清臣…銀河万丈/犬飼 晃…古川 慎

リンク:TVアニメ「俺だけレベルアップな件」公式サイト
    TVアニメ「俺だけレベルアップな件」公式X(Twitter)・@sololeveling_pr
    TVアニメ「俺だけレベルアップな件」公式TikTok・@sololeveling_pr

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