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TVアニメ「転生悪女の黒歴史」のオープニング主題歌を担当したKID PHENOMENONメンバー全員にインタビュー(後編) 「主題歌をやってほしいと言われるような存在になっていきたい」


2025年はファンミーティングを全国で開催したKID PHENOMENON。6枚目のシングル「Black Flame」をリリースした彼らはこれからどこへ向かうのか。彼らの目指している未来像をうかがいました。

――KID PHENOMENONの6枚目のシングル「Black Flame」は、メンバー全員がマイクをもってパフォーマンスをされている楽曲です。皆さんの担当パートで注目してほしいところをお聞かせください!
夫松 先行配信されたときに、ファンの皆さんから、僕がどこを歌っているのかわからないって言われたくらいなんですけど(笑)。実はそれがうれしかったんですよね。今回、1コーラス目の「Hey 光の届かない place だからこそ 僅かな希望も I can feel it strongly」というフレーズは魔女や魔法使いのイメージで。ダークで不気味な雰囲気を意識して発声しているんです。この作品のひとつのアクセントになったんじゃないかなと思います。あと、歌いだしの部分はあえてブレスを多めにしていて。この楽曲で新しいイメージを感じてもらうような演出ができたのかなと。リリースイベントでパフォーマンスしたときに、ファンの方々に「ここは健介のパートなんだ」と驚いてもらえたのがうれしかったです。
遠藤 僕が注目してほしいポイントは2つあって。ひとつ目はサビ前の「君と出逢い 変わった運命 Heading to the light」というフレーズです。ここはディレクターさんと相談して、もっとしゃくりあげて歌うように表現したいとお話して。自分なりに考えたアプローチで歌うことができました。2つめは大サビのところ。「自分なりにフェイクを入れてみて」というディレクションがボーカルの2人(遠藤、山本)にあったので、いったんフェイクを入れてみてそれで「いいね」と採用していただいたんです。自分なりにいろいろと考えたアイデアが「Black Flame」には込められているので、個人的にもこだわることができた楽曲になりました。
山本 僕も歌い方をこだわることができましたね。特に歌詞の中で2か所の部分を大切に歌っています。「闇の中咲いた淡い一輪の炎」というところと「灰の中からでも君となら Once more」というところですね。この2つのバースには「希望」のようなメッセージ性を感じていて。こういうクールな楽曲だけど、メロディアスになるパートではしっかりとメッセージ性のある歌詞になっているところがすごくいい曲だなと思いました。実際に、このフレーズを気に入ってくださっているファンの方がいると、自分の思いが届いたような気持ちになってうれしいですね。
川口 ボーカルの2人と同じように、自分もラップのパートで作品の世界観や、自分の色を出すために研究しながらアプローチしています。かなり挑戦的なラップになっているので、注目してもらえるとうれしいです。
佐藤 僕は「Scared by the shadows, aye 不安に堕ちていく Heart」というパートを担当しているんですが、デモを聴いたときにこのフレーズこそが「Black Flame」という楽曲をわかりやすく表現しているバースになるのかなと思っていて。このパートを歌うときに、不安に落ちていく心情をわかりやすく表現するにはどうしたらいいかをめっちゃ考えたんです。つっちゃん(遠藤翼空)にも相談して、練習を重ねました。目をかっぴらいて、胃の底から吐き出すようなイメージで歌ったパートなので、ぜひ注目してほしいです。
岡尾 僕は曲が始まってすぐのパートを担当しています。冒頭なので曲の印象が決まってしまうといっても過言ではないと感じたので、この楽曲のダークなイメージや、ちょっと情緒不安定にも感じるような雰囲気をうまく出したいなと思って。あえて音に合わせずに、自然と漏れてしまう不思議な息遣いにして。この曲のミステリアスな世界観を冒頭から表現していきました。
鈴木 僕は落ちメロの「Vroom vroom vroom どこまででも Ready go」といったところを担当しているんですが、「Vroom vroom vroom 限界超えて」「Vroom vroom vroom Kick kick it」といったフレーズと三連チャンでうまくつながるように、僕が一番最後なのでテンション感も徐々に上がるように発声の仕方にも気を付けて、ラスサビにつながるような流れを意識しました。


パフォーマンス中のKID PHENOMENON


――皆さんのダンスも見どころのひとつですね。
夫松 今回の振り付けはKENSHO MURAKAMIさんが担当してくださったんですけど、すごく独創性がある方で。楽曲の不思議さを表現するために、見たことのないスタイルで振り付けをしてくださったんです。お化けみたいな、怪獣みたいな手の動きを入れてくださったり、サビの部分もクセになるようなキャッチーな動きを取り入れてくださって、楽曲とあわせて耳と目に残るけれど、世界観としてのダークさや不思議さは消えない振り付けになったと思います。自分たちにとっても初挑戦のスタイルで難しいところもあったのですが、KENSHO MURAKAMIさんもこだわりが強い方なので、身体の角度やアクセントの付け方にすごくいろいろなアドバイスをくださって。パフォーマンスも含めて、新しいKID PHENOMENONを表現できたんじゃないかなと思います。


さまざまなテイストの楽曲を披露するKID PHENOMENON


――活動して3年目になるKID PHENOMENONですが、皆さんの今後の目標をお聞かせください。
遠藤 僕たちはアニメのタイアップであったり、界隈が違う方々とコラボをさせていただくことが多いんです。そうやって分け隔てなく、ジャンルを問わず、活動を広げていくことで、僕らもどんなところにも溶け込めるような表現ができるグループになっていきたいなと思います。いろいろなジャンルのファンに僕らのパフォーマンスを楽しんでいただいて、それぞれのジャンルのファン同士が交流して、情報交換するときに、その中心に僕らがいることができたらいいなと思っています。いろいろな人に愛されるKID PHENOMENONになりたいですね。
夫松 ちょっと強めの言い方をすると、僕らはボーイズグループに偏見をもっている人たちに届けられるものをつくっていきたいと思っています。今はいろいろなアーティストのかたちがあるなかで、ボーイズグループの魅力はまだまだ受け入れられていない。中にはネガティブなイメージをもっている方もいると思うんです。もちろんそれは仕方ないことだと思うんですけど、僕らはそういった方にも受け入れられるアーティストになっていきたいと思っています。7人のアーティストが集まったグループとして、いろいろな人に受け入れられる存在になるということが自分たちの目指しているものです。これからも自分たちのファッション、楽曲、パフォーマンスをつくっていって、将来的にはKID PHENOMENON というスタイルを確立させたいと思っています。
佐藤 小さなころからいろいろなアニメを見てきたので、主題歌を担当できるのはとても光栄なことでした。僕にもアニメを通じて好きになった楽曲がたくさんあるのですが、それと同じようにアニメを好きな方が僕らの楽曲を好きになってもらえればそれが一番ステキだなと思っています。アニメをよりよいものにするために、より多くの方に届けるために、僕らもパフォーマンスを続けていこうと思いますし、自分たち自身も表現者としてより高めていきたいと思っています。自分たちはクリエイティブなことが大好きなので、今後もメンバーから発信できるものをたくさん増やせるように頑張りたいです。
山本 「るろうに剣心 ―明治剣客浪漫譚―」をはじめ、「転生悪女の黒歴史」の楽曲も担当させていただけてとてもありがたいですし、アニメとごいっしょさせていただくことで、僕らの活動の幅も広げていけたらなと思っています。自分たちは日本だけにとどまらず、グローバルな活動をしていきたいなと思っています。海外の皆さんには日本のアニメを好きな方がたくさんいらっしゃるので、アニメといっしょに楽曲を楽しんでもらいたいです。これからもジャンルにとらわれることなく幅広く受け入れられるようなアーティストになっていきたいと思います。
川口 自分たちのよさを増やしていきたいと思っています。今ボーイズグループがたくさんいて、とてもダンスが上手なグループや、ラップが上手なグループ、歌が上手なグループが数えきれえないほどいる。その中で自分たちが頭ひとつ抜き出るためには、スキルを磨くだけでなく、ほかのグループにない何か、魅力をつくらないといけない。でも、それはきっと、いい意味で「ことばにできないもの」なんじゃないかと思っています。KID PHENOMENONらしさを確立していきたいと思っています。
岡尾 これまでアニメ「るろうに剣心 ―明治剣客浪漫譚―」と「転生悪女の黒歴史」のタイアップ楽曲をつくってきましたが、そのどちらも全然違うテイストの楽曲なんです。作品にあわせて、KID PHENOMENONはこんなこともできるんだと、すごいねと言われるようなグループにこれからなっていけたらと思っています。KID PHENOMENONの歌声やパフォーマンスの幅をもっと広げていって、「あの作品もKID PHENOMENONに主題歌をやってほしい」と言われるような存在になっていきたいと思います。そのためにも引き続き自分たちもグループとして成長を続けていきたいと感じています。
鈴木 まずは「転生悪女の黒歴史」の主題歌を聴いていただいて、シンプルに楽曲を楽しんでもらえたらうれしいです。そして楽曲を通じて僕らのことも知っていただきたいと思います。そうやって楽曲のよさや、ライブのパフォーマンスのよさから、僕らを知ってもらうのが個人的には一番うれしいので。ぜひ、これからもいいパフォーマンスをしていきたいと思っています!

【取材・文:志田英邦】

■KID PHENOMENON 6th Single「Black Flame」
発売中

リンク:KID PHENOMENONオフィシャルサイト
    KID PHENOMENON公式X(旧Twitter)  ・@_KID_PHENOMENON
    TVアニメ「転生悪女の黒歴史」公式サイト

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