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ひょんなことから謎の部活「ていぼう部」に入部することになってしまったインドア派の女の子・鶴木陽渚。そこでは個性豊かな部員たちが、豊かな大自然を舞台にのんびりと釣りを楽しんでいた――。7月から放送が再開されたTVアニメ「放課後ていぼう日誌」も、早くも折り返し地点。鶴木陽渚役・高尾奏音さん&帆高夏海役・川井田夏海さんの仲よしコンビと共に、前半のエピソードを振り返ります。
――まずはお互いの演じているキャラクターについての印象をお聞かせください。
高尾 夏海は、現実にいてほしい友達タイプナンバーワンの子だなと思います。一見、おてんばなおバカキャラなのかなと思いきや、実はしっかりしているツッコミ担当です。ボケボケなところが多い陽渚をいつもサポートしてくれる、本当に頼りになる子ですね。
川井田 陽渚は一見ほわほわしている感じなんですけど、ちゃんと嫌なことは嫌だって言うし、やりたくないことはやりたくないと言う、はっきりした子ですね。第一印象とはまた違った、芯のある子だなと思います。
――都会っ子の陽渚と野生児の夏海は対照的なところも多いキャラクターですが、ご自身としてはどちらのタイプに近いと思いますか?
高尾 私は、陽渚に近いかなと思います。私自身もいろんな方から「一見ほわほわに見えるけど、中身ちょっと変だね」と言われることがあるので(笑)。虫が苦手なところも共通しているので、夏海の野生児感はないかもしれないですね。
川井田 私も陽渚なんですよ。
高尾 え⁉
川井田 いや、本当に(笑)。どちらかというとお世話してもらうタイプというか、末っ子なので自分で何かができないんです。家族と釣りに行ったときも、魚が怖くて触れなかったですし、普段はインドアなので夏海とは、とても言えないです。
高尾 でも、私はいつもお世話してもらっているんですよ。だから意外ですね。
川井田 たかちー(高尾さん)は特別だよ!
高尾 やったー‼(笑)。
――お二人はこの作品が初対面だったそうですが、第一印象はいかがでしたか?
高尾 雑誌の撮影で初めてお会いしたんですけど、第一印象は夏海そのままだなって思いました。そのときもあまり会話ができなかったし、アニメの収録が始まってからも私が人見知りなところもあって、かわちー(川井田さん)に話しかけに行けなかったんです。でも、それこそかわちーが夏海みたいにグイグイ話しかけてくれて、お互いの呼び方を決めようよとなって。あれがなかったら私は今こんなに心を開けていなかったなって思うくらい、“THE夏海”という感じでした。
――「たかちー」「かわちー」という呼び方はそこで決まったんですね。
川井田 そうなんです。私はたかちーに初めて会ったとき、お人形さんみたいにかわいい子だなと思って、あまりのかわいさに「私、この子の隣に立つの?」と思いました(笑)。でも、たかちーは私が話し掛けてくれたと言っていますけど、それに対してすぐこたえてくれたから、ギクシャクせずに関係が築けたんじゃないかなと思います。
高尾 いや、うれしいです。なんか感動しちゃう……!
――陽渚と夏海は久しぶりに再会した幼なじみ同士ですが、二人の間の距離感や空気感を出すために演じる上で工夫していることなどはありますか?
高尾 陽渚は部長とかには人見知りしているところもあるんですけど、夏海に対しては思ったことをズバズバと言うんです。そういうときの陽渚は何も考えていない感じを出せるようにと思って演じさせてもらいました。
川井田 たぶん夏海も陽渚に対してそういうところがあるし、陽渚も夏海に対していちばん心を開いているんじゃないかなと思いますね。
高尾 よきライバル、ですかね。
川井田 それは陽渚が勝手に「夏海には負けたくない」と思っているだけだから!
高尾 「夏海でもできるんだから、私でもできるでしょ」みたいな。
川井田 何回も出てきますからね(笑)。
高尾 「今回も出てきたねえ」って、収録のときにも話していました。
川井田 まあ、仲がいい証拠ですね。
高尾 キャラクターも仲がいいし、中の人も仲がいいです!
――アニメの前半戦を振り返って、印象に残っているシーンやセリフはありますか?
高尾 私は、みんなで潮干狩りに行く回(れぽーと05「潮干狩りと顧問」)ですね。キャストの中でも大人気の回で、あの回を見ていると本当に笑いが止まらなくなるんです。
川井田 声もたくさん出したしね。
高尾 夏海と陽渚はずっと叫んでいて、「やめて!」「こっち来ないで!」みたいなやりとりをしていました。
川井田 潮干狩りのシーンもオススメなんですけど、その回はやっぱり先生の初登場ですよ! いや、本当にすごいインパクトでした……。最初は「ちゃんとした先生なのかな?」という面持ちで出てくるのに、お酒を飲んでしまってからの変わりようといったら! それを演じる小清水(亜美)さんの、テストのときのセリフを聴いていただきたかったと思います(笑)。ぜひアニメを見ていただいている方は、先生といっしょに飲んで、楽しんでください。ていぼう部は誰もいっしょに飲んであげられないので。
――画面を見ながら飲むことで、さやか先生とリモート飲み会をしている気分を味わえるということですね。
川井田 そうすれば寂しくない(笑)。先生を寂しい大人にしないであげてください!
――釣ってみたい、または食べてみたいと思った魚はいましたか?
高尾 私は4人が堤防に座って、アジゴの唐揚げを食べているシーンが何回見ても大好きで、実際に私たちも生放送でアジゴの唐揚げを作ったんです。本当においしかったので、また食べたいなと思っています。あとイカ刺しもおいしそうだったので食べてみたいですね。
川井田 夏海といったらシーバスですよ! 姿は見えたのに、ぴょんとなって釣れなかった、あのシーバス! 「夏海」という名前がいっしょで勝手にシンパシーを感じている私としては、いつか自分がシーバスを釣って「こっちの夏海は釣ったよ」って、夏海に言ってあげたいですね。どうにか原作で早くシーバスが連れてくれないかなとは思っているのですが、なかなか小坂(泰之)先生が夏海にシーバスを釣らせてあげない(笑)。先に陽渚に釣られないことだけを願っています。ビギナーズラックがありますから、陽渚には。
高尾 釣っちゃいそうな気もしますね。よきライバルということで(笑)。
――釣りや魚の描写に関して細かいところまでこだわって作られている作品ですが、制作に関するエピソードで「すごい!」と思ったことがあれば教えてください。
高尾 私が衝撃的だったのは、1話のアフレコのときにスタッフさんが私物の釣り竿を持ってきてくださったことですね。私は今まで釣りをやったことがなくて、演じる前に感覚をわかっていたほうがいいからということで、釣り竿を握らせていただいたんです。その釣り竿の糸の先を音響監督さんが持たれて「魚が来たときはこういう感じだよ」って、ブルブルって動かしてくださって、「こんなに動くんだ!」というのを初めて体験できました。
川井田 本当にこの現場って、実物がいっぱいあるんですよ。魚は1回も来たことないんですけど(笑)。でも、4話に出てきた不知火……電車の中で食べていた果物は実際に送っていただいて、私たちも食べました。あと、ていぼう部の4人はそれぞれ使っているリールが違うんですけど、それを4種類、きちっと用意してくださる!
高尾 「これが陽渚で、これが夏海で……」って。
川井田 「で、大野先輩がいちばん高いやつ」とか(笑)。部長は回す向きが違うリールを使っているとか、そういうのも全部見せていただいたので、実際のものがあるとこんなに違うんだなと思いました。それも全部私物というのが、またすごい(笑)。
高尾 釣りが大好きなスタッフさんだからこそですね。
――7月22日に発売された主題歌シングルの初回限定盤DVDにはOPテーマ「SEA HORIZON」のMVが収録されていますが、こちらの撮影で釣りに挑戦されていますね。
高尾 楽しかったですね。魚はまったく釣れませんでしたけど(笑)。
川井田 あのときが初めての釣りだよね?
高尾 私は初めてちゃんと釣りをしたんですけど、本当に藻しか釣れなくて、藻釣り名人になっていました。あとは地面と、ドローンが釣れていましたね。
――ドローンって、釣れるものなんですか?
川井田 さっさ(黒岩悠希役・篠原侑さん)か、あけさん(大野真役・明坂聡美さん)の垂らしていた糸にドローンが近づいていって、そのまま絡まって、糸が切られて。
高尾 すごいことになっていました。
川井田 あれは印象的だったよね。全然使われていませんけど(笑)。でも、釣りガールの格好をしているわけではなく、キャラクターそのままの制服姿で釣りができたのはうれしかったですね。あけさんが大野先輩が履いているようなブーツを履いていらっしゃったりとか、さっさだけが座って釣りをしていたりとか、キャラクターに寄せて撮っていただけたのもありがたくて。夏海ブイまで用意していただいて、本当にありがたい! ちゃんとライフジャケットもつけていますよ!
高尾 それもスタッフさんの私物でございます(笑)。
――今後の放送へ向けての見どころを含め、メッセージをお願いいたします。
高尾 「放課後ていぼう日誌」は今後もいろんなことにチャレンジしていきます。魚を釣ることだけじゃなくて、環境のことについてみんなで勉強したりとか、海とはこう向き合うべきなんだという講習を受けたりとか、さまざまなことに挑戦していくので、今後もそんな4人の絆が深まっていく姿を見守っていただけたらなと思います。
川井田 あと、新キャラもいっぱい出ます。新キャラといっても魚なんですけど、まあ、この作品の主人公は魚ですからね!
高尾 名言!(笑)。
川井田 なので、新キャラにも注目しつつ、そして魚のガヤなんかも気にしていただきつつ……意外と私たち、ほかの役をやっていたりしなくもないので。
高尾 キャストも毎回楽しみにしていましたね。
川井田 私もフナムシを1回やらせていただいたことがあるので(笑)、そういうところも注目して見ていただけたらなと思います。
【取材・文:仲上佳克】